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欠陥になり易い部分−3:外壁、屋根、窓・玄関、バルコニー、樋、断熱材

INDEX
● 1. 敷地、地盤、基礎
● 2. 土台、柱・梁、筋違、小屋組
● 3.外壁、屋根・樋、窓・玄関、バルコニー、断熱材
 ☆外壁:
 ☆屋根・樋:
 ☆窓・玄関:
 ☆バルコニー:
 ☆断熱材:

● 3.外壁、屋根・樋、窓・玄関、バルコニー、断熱材


 ☆ 外壁:
  外壁に関しての主な欠陥は雨漏りにつきます。外壁モルタルのひび割れ、
  外壁タイルの剥離、外壁サイディングのシール不良など全て雨漏りの原因です。

 ★外壁モルタル吹付タイル仕上げの場合、下地のアスファルトフェルト430
   (u430g以上の製品、430と650がある)で最終的な防水を
   しますので、アスファルトフェルト(防水紙)が縦に貼ってあり、
   継ぎ目の重ねしろは90mm程(公庫仕様)必要です。
   縦に貼っても材料が不足した場合の為に下から貼り上げることも大切です。
   窓枠廻りにも重なるように施工されているか、タッカー(ホッチキスの
   大型の留め釘)で隙間無く留めてあるか、特に継ぎ目部分は要注意です。 
    ワイヤラスはモルタルの接着と補強を強化する材料です。
   ワイヤラスの継ぎ目の重ねは一山以上重ね力骨(ワイヤーラスのワイヤーより
   一回り太い鉄線)を補強します。
   窓の開口部の四隅にも100mmx200mm程度のワイヤラス部材を
   重ね張りしてコーナー部分の補強とします。また、ワイヤラスには力骨を
    モルタルのひび割れ防止には力骨が付いていることは有効です。
   モルタルの壁塗りは建築工事の中でも難しい工事です。腕の良い左官職人は
   非常に少なくなっており、外壁面がムラなくピシット仕上がるのは望み薄
   です。したがって、外壁面のモルタルのムラを隠すため、粒の粗い仕上げや
   スタッコ調の仕上げを薦めてきます。この仕上げ材には協力した方が良い
   でしょう。
    但し吹付タイルの場合防水性能のあるものと防水性能の無い吹付タイルと
   がありますので、多少値段が高くても防水性能のあるタイプにしましょう。
   仕上げ表面と、モルタルの下地の防水紙で2重の防水をすることで雨漏りを
   ダブルに防ぐことになります。
    モルタルの少しのひび割れなどを防水タイプの吹き付けタイルはカバーする
   働きもあります。
   また、ラスにはワイヤラスの他にメタルラスやラスシート等があり、取扱は
   少しづつ違いますが注意点は同じ様な部分です。
    詳しくは公庫(住宅金融公庫)の仕様書等をご覧下さい。

 ★外壁タイルの剥離ひび割れは下地のモルタルがひび割れることによって
   起こります。下地のモルタルは上記の外壁モルタルの項で述べました様に
   下地の作り方が問題になりますが、その他に構造体の耐力壁が少なく動きが
   大きい場合や、構造体の火打ち梁や金物の固定不良や間柱が少ない場合、
   下地材の合板が薄く波打つ場合、貫板を使って下地材にする場合は
   固定不良や間隔の開きすぎなど、モルタルのひび割れの原因はいろいろ
   あります。剥離も下地モルタルの不良か接着モルタルの不良です。
   タイルを張る場合はいろいろな下地材に注意をしなくてはいけなくなります。
   少しでも問題になりそうな部材を減らすことは安心出来る要素が増えます。
   ラスカットと言う下地はワイヤラスやアスファルトフェルトをカット
   出来ます。下地の耐水構造用合板に防水シートを貼り乾式工法のタイル
   を張ると、ラスやモルタルが省略できて、通気を取ることも出来ます。
    タイルの乾式工法は木造の住宅にタイルを張る工法としては今のところ
   最良な工法だと思いますが、費用が嵩みます。(一部でこの工法のことを

 ★外壁サイディングのシール不良は、外壁をサイディングにした場合に一番多い
   雨漏りの原因です。サイディング材でセメント系の材料は材の継ぎ目の
   縦方向を突きつけで納めシールで防水するのが一般的です。
    下地に防水シートが貼ってあれば、サイディングの表面の防水性能と、
   下地の防水シートのダブル防水になるのでかなり安全です。
   防水シートが無い場合はシール不良で、即雨漏りを起こす恐れが
   ありますので、シールのチェックをしっかりする必要があります。
   防水シートを施工できない工法は出来るだけ避ける必要があります。
   壁下地の防水シートの有無をよく確かめて下さい。
    私の調査物件でもサイディングのシール不良の為すごい雨漏りに
   なっている建物がありました。ただこの建物は防水シートが必要なのに、
   敷地いっぱいに建てる、サイディングの内張り工法を採用し防水シートの
   使用が出来ない工法を採用していたため、よけいに被害を広げました。
    これから建てる住宅では必ず外壁の防水には、下地に防水シートを使用し、
   仕上げ材の表面でも防水するダブル防水タイプを使うようにして下さい。


 ☆屋根・樋:
  屋根の欠陥は当然雨漏りが問題になります。
  樋は縦樋の本数と軒樋の勾配が主な欠陥部分です。

 ★屋根は特に防水性能が問題となります。
   防水性能より屋根の形状を考えますと、当然簡単な形状が雨漏りの可能性を
   少なくします。
    大まかに、屋根形状による安全順序は片流れ、切妻、寄棟、入母屋の順です。
   近頃の住宅は寄棟屋根が多くなってきていますが、普通の施工をすれば
   問題はありません。ただ、谷樋が必要な屋根形状の住宅も良く見ますが、
   なるべく避けるべき形態だと考えておきましょう。
    昔から屋根の防水は屋根表面と下地面との2重の防水層で処理してきました。
   
   現在の下地面の防水はアスファルトルーフィング940(u当たり940g
   以上の製品、940と1500がある、またアスファルトフェルトは主に壁に
   使用する)以上で下ぶきする。アスファルトルーフィングを下葺きする際の
   注意点は、下から張り上げること、重ね合わせ部分は、上下(勾配方向)は
   100mm以上、左右は200mm以上必要です。立上り部分の長さは
   瓦葺き250mm以上、その他は120mm以上の立上げが必要になります。
   (立上げや重ね寸法は公庫仕様)

 ★屋根葺き材料は金属板(塗装鉄板、アルミ板、ステンレス板、銅板等)、
   コロニアル(石綿スレート:セメント強化板着色製品)、
   アスファルトシングル(アスファルトシートを屋根張り部材用に小さくし
   補強と塗装をした製品)、瓦(粘土瓦、セメント瓦)等があります。
    近頃の屋根材は補助部材なども充実し製品の仕様書通りに施工をすれば
   んが、一番注意しなければいけない箇所は谷にあたる部分です。
   屋根の谷葺きはどの屋根材を使用の場合でも金属板で葺きます。
   谷の部分は風圧により雨漏りがし易い部分ですので、アスファルトフェルトを
   2重に敷くようにして下さい。谷葺き材は継ぎ目のない1本もので造って
   あることを確認して下さい。
    次ぎに雨漏りの多いのが立上り部分です。立ち上がり部分に関しては
   前項の立上り寸法を取るようにして下さい。
   軒先、けらばについては屋根材のメーカーの仕様に従っていれば問題ありませ。
    雪の降る地域には雪止め材を取り付けて下さい。
   豪雪地帯等は地域の仕様を確認して下さい。

 ★樋の種類は、塩ビ製、金物を芯に入れた塩ビ製、ステンレス製、銅製等です。
   1/200以上の勾配を縦樋までスムーズにとる必要があります。
   勾配がとりきれず雨水が溜まる樋がありますが冬には破損の原因になる
   ことがあります。
   縦樋は1本の軒樋に対してなるべく2本以上が取り付いているようにして
   下さい。落ち葉などで詰まっても残りが役目を果たします。
   軒樋受金物は亜鉛ドブ浸けのスチール製か、ステンレス製を使用し、
   塩ビ製軒樋で700mm間隔以下、金属製軒樋で900mm以下とします。
    軒樋が雪等で壊れる地域もありますので、軒樋、縦樋を全く取り付けない
   地域もあります。

 ☆窓・玄関:
  窓・玄関などの開口部の欠陥は雨水の浸入と結露水によるものが主です。

 ★窓・玄関などの開口部は外壁との取り合い部が問題になります。
    開口部は外壁下地防水のアスファルトフェルトをサッシュの取付額縁の上に
   重ねるように被せて、サッシュと防水紙をシールで処理しておきます。
    外壁の仕上げをし、外壁の仕上げ材とサッシュの間は再度シールで埋め、
   雨水が入らないようにします。
    サッシュはサッシュメーカーの仕様書通りに取り付けるのですが、
   アスファルトフェルトとの取り合いの処理をしない現場を良く見かけます。
   サッシュと防水紙との取り合いの部分の防水処理が施されていないと、
   仕上げ部分と下地部分のダブル防水で無くなり、建物の耐久性が格段に
   落ちてしまします。
    住宅の開口部は防水が中途半端になりやすい場所です。
   特に注意をして見るようにして下さい。
   雨漏りがサッシュ自体から起こることは無いでしょうし、サッシュの欠陥の
   場合はサッシュメーカーが保証しますので、安心です。

 ★サッシュや窓ガラスの結露は、ペアーガラスタイプのサッシュを使用すると
   おおかた改善されます。本格的に結露を避ける場合は2重サッシュにするか、
   高気密高断熱タイプのサッシュにする必要があります。北海道等の
   寒冷地では、3重サッシュが当たり前になってきています。
    調査物件でのサッシュの欠陥では、サッシュ廻りから入り込んだ雨水が、
   室内側の額縁や壁の仕上げ材を汚しているのがありました。
   当然外部防水の欠陥ですが、下地の防水をしっかり処理していれば避けられた
   欠陥なのです、ダブルの防水仕様の重要性が認識出来ると思います。


 ☆バルコニー:
   バルコニーの欠陥はバルコニー自身の強度と雨水の処理です。

 ★バルコニーの躯体(構造部分)はキャンチレバー(片持ち出し)の場合が多く、
    バルコニーは鉢植えや空調機の屋外機を置いたり、結構重量がかかる
   場所です。この重量を柱なしで、建物からの持ち出しの形で支える
   のが、一般のバルコニーですので、構造部分を堅固にする必要があります。
    バルコニー用の梁が躯体の2本の梁で上下を押さえているか、重さに
   耐えられるようにしっかり固定されているかチェックして下さい。
   不安があるようでしたら第三者の専門家に見てもらう必要があります。

 ★バルコニーの雨水処理では、バルコニーの防水の立ち上がりの高さが
   問題となります。室内からの開口部のテラス窓でバルコニー床レベルより
   最低100mm程度(150〜200mm程度あると良い)の立上がりが
   必要です。
   この程度の立上がりが無いと、バルコニーの防水は納まりが出来ません。
    室内と繋がっている部分の防水の処理が要です。
   室内側に入らないように防水の立上げを処理しているか確認して下さい。
    防水材としてはシート防水が適当と思いますが、銅板やステンレス防水を
   使う場合もあります。
    一般に、テラス窓の下端での防水の納まりは、バルコニーの防水を
   立上げてアルミFB(フラットバー)でビス留めし、シールで押さえます。
    この作業が出来る高さがないと、シールだけで押さえることになり、
   防水の不安要素が高くなります。
    もう一つの欠陥の多い箇所はバルコニーの手摺の天端部分です。
   上から金物の笠木でかぶせる、手摺付の既製の笠木ですと問題は
   ありませんが、現場で銅板やステンレス板を曲げて造った笠木の上に
   ステンレス製パイプの手摺を取付けた場合などは、手摺取付部分から雨水が
   浸入して漏水を起こすことが良くあります。
   笠木上部の防水には、十分注意してください。
    なるべくアルミやステンレス製の既製の笠木付き手摺を取り付けるように
   してください。既製品以外の場合はシール処理での防水になりますので、
   シールが綺麗にキッチリ出来ているか良く確認することです。


 ☆断熱材:
   断熱材は欠陥の多い部分であり、その多くは断熱材同士の隙間、
   間仕切壁の上下、1階床下の根太と断熱材の隙間、浴室や押入の壁や
   天井の断熱材の欠如などが目立つ部分です。

 ★断熱材の隙間は主に筋違部分や建築部材に合わない、半端な寸法の部分で
   目立ちます。
    断熱材は1.5尺(約450mm)に合わせて出来ている場合が多く
   この断熱材をそのまま間柱等に取り付ける場合はあまり隙間は出来ません。
   筋違部分で壁の中に取り付ける厚さ30mm以上の筋違を使用した場合は
   筋違部分に入れる断熱材を、筋違に合わせてカットする必要があります。
   間柱間隔が1.5尺より小さな部分も、断熱材をカットして合わせていれます。
    断熱材のカットはどれも比較的簡単に出来ますので、寸法の種類はあまり
   ありません。カットした断熱材でグラスウールは特に形が変形し易く、
   水蒸気も入りやすくなります。
    水蒸気が入って結露すると断熱材としての性能が極端に低下します。
   また、変形して隙間が出来ると、水蒸気の侵入する量が増え結露が
   さらに増えることになります。
    施工中の壁の中や天井裏などは簡単に見られますの良く見て下さい。

 ★間仕切り壁の上下部分は、断熱材を施工時に、間仕切り壁が出来ていることが多く、
   部屋の中で、見える部分の壁には断熱材を施工しますが、間仕切り壁の
   上下は気が付かないこともあり、忘れたり、見逃したり、時にはワザと
   気が付かないふりをして、節約する場合もあります。
    間仕切り壁の上下の部分は、断熱材を床下部分や天井部分から
   押し込むように取り付ける必要があります。
    屋根裏のダウンライトの廻りなどもくりぬいて穴が空いている場合が
   ありますが、本来は上に布団のように掛けておくのが良いのです。
   ただ、断熱材がライトの熱で燃え出す事故もあり、ライトとの間に隙間を
   開けるなど配慮が必要です。
    断熱材が不足したり、断熱材同士の隙間が有ると、壁の中で冷気と暖気の
   混合が起こり、壁の中の断熱材の周辺に結露が生じることになります。
   また、断熱材の隙間から冷気が室内に入ってきます。この冷気は「すきま風」
   と呼ばれ、室内がより寒く感じたり、室内に結露を引起こす原因でもあります。

 ★1階床下の断熱材にグラスウールを使うと自重で垂れてしまい透き間が空いて
   しまいます。垂れ下がり防止の板材等を取り付けるなどの処理が必要に
   なります。1階の床には、発泡材系断熱材ですが専用の断熱材があります。
   床専用の断熱材を使用すると垂れ下がりもなく隙間も出来ませんので、
   断熱効果が高くなります。

 ★浴室や押入の壁や天井の断熱材は、よく省略されます。
    目立たない場所だと思われていることや、ユニットバスなどで、
   断熱が軽く施こされてされている機種があるからです。
   押入は結露のし易い場所ですし、浴室は冬に裸になる場所です、
   両方とも湿気が多い場所ですので、壁の温度が少し違うだけで結露し易い
   場所です。
    断熱材が無いと、温度が安定せず、結露やカビが多発する場所だと考え、
   断熱材の種類や厚さを確かめてください。

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