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[住まいにやすらぎの力はあるのか!・9903]隔週土曜発行
発行部数1060
離婚や家族崩壊の原因を住まいから考えるメールマガジン
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朽木醒(くちきあきら)です。
♀♂∴∞[住まいにやすらぎの力はあるのか!] 第3回目です。
今回は少し遅くなり失礼致しました。あせらずじっくりとの方針で発行してゆきます。
暖かい心でお待ちいただけると幸せです。
今回は、育ちの違いと、人の結びつきの関係について考えてゆきたい思います。
私の関係している、「家族と住宅に関するアンケート」でも区別しているように、住まいには開放的な住まいと、閉鎖的な住まいとがあります。
そのどちらが良いと言うことではありませんが、人と人との関係を重視するのであれば、
開放的な住まいで育った人達の方が、人との対応において柔軟性が高いことが、前出のアンケート調査でも示されています。
しかし、だからといって、開放的でありさえすれば良いと考えるわけにはいきません。
その人、その家族に合った住まいとは、家族の性格を反映し、さらに家族の短所を補うことが出来る可能性をもった住まいであることが、とても大切なことです。
そこで、開放的な住まいや閉鎖的な住まい等で育った人達が、同じ様な環境に育った人と結婚したり、全く異なった環境で育った人と結婚したりすることがあります。
その結婚のタイプと、その結婚によって、その家族にどの様な影響が出てくるかについて考えたいと思います。
先ずは住まいの育ち方の環境を分類します。
1.開放的な住まい
2.中間的な住まい
3.閉鎖的な住まい
育ちの環境を3タイプに単純化します。
上記3タイプの環境に育った人達の結びつき(夫婦)の種類は、
A.開放的な住まいに育た人同士
B.閉鎖的な住まいに育た人同士
C.中間的な住まいに育た人同士
D.開放的な住まいに育た人と閉鎖的な住まいに育た人
E.開放的な住まいに育た人と中間的な住まいに育た人
F.閉鎖的な住まいに育た人と中間的な住まいに育た人
の6タイプに分かれることになります。
これらの6タイプについて、それぞれどの様な特色があり、欠点はどの様な部分か、
さらに、どの様な方向で住まいを考えると、その家族にとってプラスになるのかを、
タイプ別に考察してゆきたいと思います。
A.開放的な住まいに育た人同士の家族
この環境の人達は、40、50代以上の年齢層に多くなっています。
育った時代の状況によって、伝統的要素に因って開放的な住まいが多かったことが背景にあります。時代を背景に持っていますので、お互いに分かり合えると思いこんでいる部分が強く、話し合いはあまり得意ではありません。
どちらかが主導権を握り、他方が無理なく従う場合は良いのですが、お互いに譲らない場合や、
どちらかに従っても、不満がくすぶり続けている場合がけっこう多くなっています。
開放的な住まいに育っていると、以心伝心の感覚が伝わっていると思っていることが多く、
相手の領域に、知らず知らずの内に踏み込んでしまっている場合には、自分ではなかなか
気がつきません。
人の気持ちを考えながら行動する、感覚はこのタイプの多くの人が身に付けていますが、
この感覚が強すぎて、相手の領域に無意識に踏み込んでいる場合もあります。
したがって、押しつけ気味に物事を進める場合が見受けられます。
さらに、この環境に育った人達は、閉鎖的な個室に憧れている場合が多く、書斎や家事室を
欲しがります。しかし、手に入れてみて、使い方が上手くなく、また子供時代の使用経験が無いので使いこなせず、はからずも納戸や物置、子供部屋に変化している場合がほとんどで、書斎や家事室があまり役に立っていないのが現状です。
このタイプの夫婦は、自分たちの願望から子供達に閉鎖的個室を与えることが多いのですが、個室を与えた場合の、話し合いや家族の団らんの方法を、育ちの時期に学んでおらず、子供と理解しあえない家族になっていることがあります。
このことは、戦後家庭での伝統が無くなる傾向にあるため、親として子供にどの様な躾をするか、
新しい家族の躾や伝統のあり方を模索している内に、子供が育ってしまったことを示しています。
私もこのタイプの結婚をしていますが、私の場合は子供達(女の子2人高校生)に閉鎖的個室を
与えていません。むしろ、与えられなかったと言う方が本音かも知れませんが、開放的な2人1室に居るため、コミュニケーションは良く、子供との断絶を感じる状況ではありませんが、子供の感覚が昔と変化して、個人主義的な方向を向いていることを切実に感じ取れます。生活の豊かさが個人の人格の中にもはっきりと現れている証だと思います。
躾か家族の過ごし方かわかりませんが、週に2度は家族全員で夕食を取ることにしています。
また、話し合いの場もこの夕食の時を使っています。
全員で食事をする時に、たまにTVを見て食べることがありますが、TVを見ると全員がTVに気を取られほとんど会話が無くなります。今更ながら、TVの影響度のすごさを痛感しています。
夫婦の間では開放的な空間で2人共育っている関係から、寝室は1つでも1人になりたいときは、どちらかの居ない居間か寝室で過ごすことで十分対応できています。子供達が1人になりたいときの対応の方が難しい問題ですが、2人共が1人になりたい時はめったにありませんし、子供が1人になりたいときも、空いている部屋に移って過ごしているのが現状です。したがって、経済的な問題が左右するのかも知れませんが、家族が開放的な空間で一緒に過ごすことに不便を感じてはいません。
逆に経済的な環境で、開放的住まいを子供に押しつけたことになり、子供の方は大きくなってから、新しい環境に合った住まいと躾、伝統などを探さなければいけなくなります。次世代へのたらいまわしになるかも知れませんが、時間の経過も重要な要素だと考えて、そのようにしています。
10月の下旬の朝日新聞に、”社会が豊かになると、「クール」な女性に憧れる”との記事がありました。アジアの女性の意識調査の結果、女性が目指すタイプは平均所得が高い都市ほど、
「家族重視」→「上流の生活」→「キャリアウーマン」→「クールタイプ」の順に変化してくるそうです。
このことは、所得の上昇が子供を生み育てる使命を帯びた女性にも、個人的自由を重んじる傾向が強く、さらには個人主義的な方向に向かうことを示しています。
この様に見てきますと、この開放的な住まいに育た人同士の夫婦の住まいとしては、やはり閉鎖的住まいにするのではなく、開放的な居間と、開放的な個室を造り、育ってきた環境を大切にし、伝統的躾を重んじ、襖や障子に準ずる間仕切を建築的に上手に使いこなす住まいが適した住まいと言えます。
日本人の所得の上昇が、閉鎖的個室の上昇を後押ししていますが、開放的住まいに育った人達同士の家庭の場合は、空間を広く取るのは良いことですが、憧れで閉鎖的個室を多く持った住まいを計画することは、そうとうの覚悟を持って考えるべき住まいだと言えます。
次回からも次々に、タイプ別の夫婦の特徴と個性や長所欠点について、考えてゆきます。
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