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[住まいにやすらぎの力はあるのか!・9902]隔週土曜発行
発行部数1031     
         離婚や家族崩壊の原因を住まいから考えるメールマガジン

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朽木醒(くちきあきら)です。
♀♂∴∞[住まいにやすらぎの力はあるのか!] 第2回目です。
早くも1000名を超える読者の方にお読み戴き大変感謝しております。

 今回も前回同様住まいのアンケートの気になる感想を取り上げて、
住まいの家族に対する影響について、考えてゆきたいとおもいます。

2回目に取り上げる感想です。

34-30才の女性
「閉鎖的な部屋のときは、安心感があったけれど、おちこんだときは
どしょうもない孤独感があった。実家に自分の部屋がなくなった
時、存在してはいけないような錯覚におそわれました。
親のけんかがつつぬけだった。
部屋が通り道だった。」

 やはり、30代の女性です。この女性は、子供のころ個室を与えられていた
ことが記されています。その個室は閉鎖的な部屋であったとのことです。

 個室の場合、勉強をする、仕事をする等自分自身で何かにうちこむ時は
とても効率良くこなせる環境ですが、この女性の感想にもあるように、おちこんだ
時には個室にいることが、より孤独感を高める効果を発揮します。

 人はそれぞれのバイオリズムの波を持っており、躁と鬱の時期が必ずがあります。
鬱の時期に1人で個室に隠っていることは、耐え難い孤独感にさらされるものです。
鬱の時でも個室にこもって居られるのは、VTやTEL、インターネット、
TVゲームなどで、気分を紛らわせているからです。

 鬱の時期は助けを求めている時期にあたります。
 自分からは、個室に入り落ち込んでしまうと、どうにも為しようが無くなります。
 誰かが助けに来てくれれば、その人のエネルギーにより、より早く回復することが
出来ることになるわけです。
 自分一人で回復を待つ場合には、バイオリズムを待っているだけですので、
時間がとてもかかることになります。

 幼児のころに手を差し伸べられた経験があると、成長してからも人の居るところに
出てきて、鬱時期の早期回復をはかるようになります。
 また、助けを求めている場合でも、手を差し伸べられない場合もあり、
救済される時と、されない時の違いを学ぶことにもなります。

 欧米で、赤ん坊の時から個室を与えられている子供は、この鬱状態の時期には
救済の手を差し伸べられた経験から、居間や食堂などに、無意識に出てきます。
機嫌良く1人遊びをしているうちに、突然居間などに子供が現れるシーンが
洋画などによく見られますが、この様な時期を表しているものです。
この、無意識の居間への出現が鬱の時に家族に救いを求める訓練になっているのです。

 日本の住宅の場合、赤ん坊の時から個室を与える風習も一般にはありませんし、
それほどの余裕もありません。また、子供が小さい時期はべったりくっついている
親がとても多く、さらに現代の大人達で、鬱状態の時居間に出てくるような教育を
受けている人はほとんどおりません。

 したがって、幼児期の1人遊びが重要な自立の訓練になることを見逃しているの
です。もっとも、20年以上前の日本の住宅事情は、襖や障子の間仕切であり、
大人が鬱時期の子供の状態を十分に感じ取れる空間に居ましたので、
子供の気持ちを察することで鬱状態の子供に対処することが出来ました。
 さらに、子供も、幼児期以上になると、住宅の特性から大人の気持ちを察する
ことを自然に学び取ることが出来る住宅だったのです。
 
 しかし、住宅事情も、供給状況も変わってきました。住宅事情はまだ米国なみには
ほど遠いようですが、方向的には確実に米国方式に近ずこうとしています。

 家族の住まいに対する教育も米国方式を採り入れる必要が出てきました。
 したがって、幼児期の子供の居場所を作る必要があるわけです。

幼児期の子供の場所は、居間の隅のコーナーに設置するのが良いでしょう。
居間の隅のコーナーを提供する場合は、その空間をある程度の閉鎖状態にする
必要があります。壁で仕切るのは、現在の住宅事情では居間を狭くするだけです。
衝立やおもちゃの部屋(段ボールなどで出来ている子供が入れる部屋)、
ブラインドなどの壁的な心理作用のある物を応用して、半閉鎖的コーナーを創り出し、
恒常的に設置しておくことにより、幼児が居間とそのコーナーを行き来することで
幼児期の鬱状態の訓練や教育になります。もちろん、作って置いておくだけで
良いわけではありません。この空間を上手に使いこなさなければなりませんが、
少なくとも、このコーナーの存在が家族の意識を刺激することになるのは確かです。

住宅をこれから建てる人であれば、居間の続きに、幼児期用のコーナーを設定し、
不必要になった後に居間の一部として使うのが良いでしょう。
 
 以上の様な配慮をし、さらに食事やお茶の時間は家族と一緒に団らんをする習慣や
教育をした上で、子供に個室を与えるべきなのです。

 小学校に行くから、受験があるから、勉強が大変になったからとの理由で子供に
個室を与えると、家族の居るところへ出てくるタイミングや接し方が分からず、
家族と居るのがめんどうになり、TVやTVゲーム、ステレオ、パソコン、電話
などを個室に持ち込み、閉じこもりがちになります。また、その弊害として親を
個室に入れたがらなくなるわけです。

 幼児期の訓練と、教育が気楽に居間に出てくる意識を植え付け、家族関係を学び、
その後の子供の家族との接し方を方向付ます。幼児期にどの様な接し方をし、
どの様な接し方が出来る空間を住まいの中に用意出来るのかが、個室を子供に
与えたときに、意識としてまったく違ってくることとなります。

 この女性の場合、気楽に楽しめる団らんの場としての居間の存在が
感じられません。住まいの中で、自分の部屋にしかその人自身の居場所が無い
ような感じを住まいに持つことは、住まいが家族全体の憩いのそして楽しみの
場所としての機能を果たしていなかったことを示しています。

 このように、家族全体の団らんの場がない住まいを、「個室主義の住まい」と
名付けますが、この「個室主義の住まい」で育った場合は、親子の接触が少なく
なりがちです。

 幼児期の家族との接し方の訓練や教育がない住まいに育った人が、大人になった
場合の住まいとしては、居心地の悪い個室を持った住まいを考える必要があります。

 居心地の悪い個室とは、3畳程度の広さの部屋で、設備も最小限に留め、
天井も低く、落ち込んだ時には、落ち込んだ感覚を十分にあじ合わせてくれる
個室です。へんに妥協した中途半端な個室が現在の住宅では主流になっていますが、
これでは、家族崩壊の温床になるばかりか、家族が集まるときと、1人になる時を
感じることが出来なくなります。
 
 現在のハウスメーカーやプレハブメーカーなどによる一般的住まいずくりは、
流行と技術(居心地がよく安全性が高い)に重きを置いた設計をしています。
このことは当然のことであり、今後も個々人の事情に合わせた設計をすることが、
主流になることは無いでしょう。

 現在のメーカ主導型の住宅は、コストダウンにしのぎを削っています。
すなわち、なるべく工場生産で大量に作り、安く提供することを主眼と
しているのです。
 従って、流行のもの(断熱サッシュ、断熱壁材、環境融合仕上材、
強制換気システム、太陽熱発電装置、バリアフリー等)を独自に開発し、
他社との違いを示すことで、競争をしています。

 このこと自体はとても良いことなのですが、その技術や考え方にしたがって
造る住宅は、単一方向を向いた各社それほど差のない、一般向け住宅が
できあがるのです。

 それらのメーカーの客になった人達はどうでしょうか?
良いことであり流行を開発競争し売り込んでくるのですから、それらの技術や
流行に目を奪われるのはしかたのないことです。

 だからこそ、住まいに対する確固とした考え方と、それぞれの家族の特性を
考慮した思いを持たなければなりません。
この作業は他人には出来ないことですし、大変な労力が伴う作業であることは
確かです。

 しかし、伝統的な(古典的日本家屋)住宅を捨て、洋風な住宅に住み替えが
進んでいる現在の日本では、自然に意識が伝わることは、ほとんど無くなって
しまいました。
 この時期に、あえて住まいを意識させ、家族を意識させる空間の確保が
必要なことを提唱しているのです。

 「コンピューター電気が無ければただの箱」とのジョークがあります。
 コンピューターは電気を入れ、使う人が何に使うか決めることによって、
大いに役に立ちます。
 住まいも使う人の意識と意志、知恵によって大いに役に立ち、家族の触れ合いの
仲立ちもしてくれるはずです。
 住まいは統計的に割り出せるものではなく、それぞれの家族が家族と共に、生み
出さなければならないものなのです。

以上が[住まいにやすらぎはあるのか!]の2回目のメールマガジンです。


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