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☆☆☆         【自分で防ぐ欠陥住宅】☆☆☆
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APSS設計事務所  菊池 です。


68・☆ オイルショック後の省エネ住宅があとで問題に!☆

 お約束通りに今週もお送りします。
 お盆休み中の気分転換にどうぞ!

 宜しくお願い申し上げます。

 ◇地球環境に貢献する「住まい」を考えていますか?◇
http://www.apssk.com/meru/kekanmm35.html#A


 自分で「住まい」造りを考えるための知識を、
メールマガジン(MM)としてお送りしています。
 「住まい」造りに役に立つMMですので、楽しみながらお読み下さい。




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◇メールマガジン目次http://www.apssk.com/kekanmeru00.html◇


68・☆ オイルショック後の省エネ住宅があとで問題に!☆

☆「断熱材の安易な使用が後に問題化」☆

 高度経済成長により、日本も贅沢になり始め、住み心地の良い「住まい」が求められてくる。1973年にオイルショックが起き、オイルの高騰に伴い、エネルギー費用の大幅な上昇で、暖房費のコスト意識が生まれ、省エネとの観点からもエネルギーロスの少ない、省エネ住宅を望む声が出始めた。

それまでは床下にだけ気を使った、スカスカの隙間風住宅(内部も外部とほとんど変わらない環境の住宅)しか経験してこなかった為、省エネ住宅は壁に断熱材を入れることだけで対応してしまったのが当時の「住まい」の考え方であった。

 このことが最初の問題となる。

当時、断熱材はほとんどグラスウールであり、断熱材としては安価で断熱性能も良く、北欧の住宅にも使われている断熱材である。しかし、日本での断熱材としてのグラスウールの使われ方の問題点は、ただ充填すればよいと現場関係者に勘違いされた点にある。

さらに、建築環境学(北欧、ドイツ等では建築物理と呼ばれる)の専門家が日本に極めて少なく、グラスウールの使い方に混乱をおこし、当時のメーカーはあまり技術的蓄積も無かったため、充填するだけで、断熱機能が向上し、快適な「住まい」が得られると考えたのである。

  北欧の専門家は、断熱材としてのグラスウールを使用する場合は、防湿シートを使うか、通気層を設けながら使う必要があることを、建築物理の研究でつきとめており、通気の無い場所でのグラスウール使用の危険性を指摘していた。
  

☆結露で住い崩壊☆

 その危険が現れた、典型例として30年ほど前に北海道で起こった、なみだ茸事件があった。これは、壁の中に沢山のグラスウールを詰めたことで壁内部に結露を起こし、なみだ茸が繁殖し床土台柱等を腐らせ、「住まい」を崩壊させた悲劇であった。

 オイルショックによる灯油の値上がりが理由で、省エネ住宅が望まれたのを契機に断熱材としてのグラスウールを、当時北海道で主流だった50mm厚の充填から、倍の100mm厚の充填に改良した。

ところが、この100mmのグラスウールを、105mmの壁の隙間に充填してしまったのである。施工者や設計者としては、断熱性能を高めようとしての充填であったが、水蒸気に対する認識が甘かったため通気路を確保しなかった。

グラスウール内部に溜まった水蒸気が外気の寒さで結露し、通気による乾燥もできなくなり、土台や柱、大引などを腐らせてしまったのである。

 もちろん、グラスウールが50mmの時期も、水蒸気が結露していたのは確かである。しかしグラスウールの充填されていない残りの50mmの通気層や、自然の材料によって、換気機能が働き、結露を自然と蒸発させていたので、なみだ茸事件のようなことにはならなかったのである。
 

☆教訓生かし気密性・防湿性改善☆

 現在の北海道では、気密性と防湿性さらに壁内通気が可能な断熱材の使い方が定着してきた為、この事件のようなことは、ほとんど無くなり、この事件のことも忘れ去られはじめている。

 どの様な工法で解決したかと言えば、断熱性能は確保しなければ、省エネにならないため結露が起こる水蒸気を壁の中に入れないようにする方法にした。

室内側に防湿シートを張、その上に仕上げをするようにした。さらにスイッチやコンセント、換気扇等の壁の開口にも気密性のある器具を使い、一階と二階の壁の間も塞ぐことで水蒸気の壁への侵入を極力少なくし、結露を防いだのである。

寒い地域の北海道、北東北までは、防湿シートと気密性器具が必要になるが、それほど寒くない関東以南では、100mmのグラスウールを詰め込んでも、あまり結露しないので、

防湿シートも通気層もつくらず、100mmの密度の高いグラスウールで、省エネ住宅のつもりが、壁内結露を起こし、北海道ほどの酷さではないが、カビや腐朽菌、白蟻に侵されて、欠陥住宅になっている住まいもある。

関東以南では、北海道の教訓は地域的な問題と考えられ、あまり実経験として生きていないのが実状である。

 
☆阪神淡路大震災で安全性重視、耐震・防火策が前進☆

 その後1995年の阪神淡路大震災(兵庫県南部地震)により、今度は耐震強度と防火性能が問題になり、断熱性や気密性で作り出す快適性より、安全性に重点が移っていった。

地震の影響は計り知れず大きいものであり、多量な死者を出した災害には、直ちに対策が講じられるものだが、阪神淡路大震災の場合も、その後の地震と火事対策を大きく進める要因となったのは確かである。


☆壁内部の傷みが崩壊原因☆

 阪神淡路大震災では、震災時より30年以前頃の木造住宅に被害が多く、その原因が研究された結果、壁の中で柱や梁が傷んだ住宅が屋根の重さもあり、地震のゆれで崩壊し被害を大きくしたのである。その根本原因として、床下の湿気の多さと壁の中の換気の悪さが上げられる。

 これが問題点の2つ目であり、多くの被害にあった住宅は、伝統の真壁造(柱が見える和室風の壁)と大壁造(柱を壁の中に隠す洋風の壁)が混在する時代の建築であり、真壁造は床下や屋根裏の見えない部分が被害の原因であり、

大壁造は床下と屋根裏に加えて、壁の中も見えない状態になっており、環境の維持が難しく大きな被害を受けていた。

給排水管の漏水や雨漏り、壁の中の結露などが起きても、状況の把握ができない為、腐朽菌やカビなどの繁殖が促され、柱や梁が傷んでいたところに、地震で大きな力が加わり被害を大きくしたのである。

 震災時の新しい木造住宅には、ほとんど被害が無く、古めの住宅に被害が多かったのは、耐震構造の不足も原因であったが、建築後の壁の中や床下、屋根裏の環境の悪さ(壁中の通気不足等)も柱や梁の構造強度を悪化させていたのである。


☆ 2000年、品確法が施行☆

☆ 基本部分の10年保証を施工者に義務付☆

 この地震の後で、構造的欠陥住宅も多く見つかり、2000年の「住宅の品質確保の促進等に関する法律」(通称:品確法)の施行につながるのである。(品確法の詳細については、国の広報やHPを見て欲しい)。

最大のポイントは、新築住宅に対して基本的構造部分(基礎、柱、梁、小屋等の躯体強度と屋根や壁からの漏水)については、施工者に10年間保証を義務付けた点である。

 この法律によって、施工者の構造に対する意識は一変した。その内容は、地盤の調査をし、基礎はべた基礎が一般的になり、布基礎は、よほど地盤の良い場所でしか使わなくなった。

土台、柱、梁等の躯体には、筋違いだけではなく、耐震用の金物が数多く用いられるようになった。今まで、あまり費用をかけなかった、目に見えない部分にも応分の費用を使うようになったのである。 


☆品確法は性能の等級を任意で選択・「空気環境」も項目化☆

 品確法によって、消費者が守られることになったことは進歩と言える。だが、品確法にはもう一つの側面があり、それが「住宅性能表示制度」と言われる任意活用の法律だ。

 この「住宅性能表示制度」には@構造の安定、A火災時の安全、B劣化の軽減、C維持管理への配慮、D温熱環境、E空気環境、F光・視環境、G高齢者等への配慮、H音環境の9つの「項目別性能」に対してそれぞれ等級がある。

そして、自分はどれが必要でどれが不必要かを選び、選んだ等級を満足させる図面を作り、その図面に合せて施工し、その施工内容をチェックするのが、任意選択に指定された法律なのである。

ただし、項目がかなり高度な技術的内容になっているため、素人では選択しにくい。さらにこの法律を取り入れて、施工をするためには、確認申請とは別に、検査機関の承認と検査が必要になり費用も発生する。

しかも、検査機関の費用ばかりでなく、9つの「項目別性能」について、上級の等級を選べば、その項目の内容に合わせて施工費用もアップするが、この費用が正当かどうかをチェックしてくれる訳ではないのである。

最低ランクならば確認申請と同様と言われているので、全てを最低ランクで申し込むのは、無駄であるし、上級のものを選ぼうとすると、どのようなものが良いかが分らず、費用の査定もないので、非常に使い難い。


 今回は以上です。


 次回をお楽しみに!
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