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APSS設計事務所 菊池 です。
58・「子供が個室を欲しがるのは、親から避難のため。」
その3−自分の育った「住まい」の環境に対するアンケート調査の感想より、
今回は、子供が個室を欲しがる理由を掘り下げて考えてみました。
◇地球環境に貢献する「住まい」を考えていますか?◇
http://www.apssk.com/meru/kekanmm35.html#A
自分で「住まい」造りを考えるための知識を、
メールマガジン(MM)としてお送りしています。
「住まい」造りに役に立つMMですので、楽しみながらお読み下さい。
前回までのメールマガジンをお読みになりたい方は下記からどうぞ。
◇メールマガジン目次http://www.apssk.com/kekanmeru00.html◇
58・「子供が個室を欲しがるのは、親から避難のため。」
今回は、個室が良かったとの感想の根底を掘り下げ、
本当に私達の家族に合った「住まい」や間取りの考え方を提案してみました。
アンケート調査内容は
◇アンケート「個人用」・家族と室内空間・http://www.bekkoame.ne.jp/ro/apssk/anke/QUESTION1.htm◇
を見て欲しい。
☆アンケートに答えてくれた人達は、閉鎖的な「住まい」の何処を支持しているのか。
前2回は、開放的な「住まい」を支持する方々の感想でしたが、
閉鎖的な「住まい」を支持する方々も少数ですがいましたので、まとめて載せます。
***
20代後半の女性:Jさんの「住まい」に対する感想。
プライバシーがまったく守れなかった。
自室にいても落ち着かなかった<台所の隣>。
ガラス障子一枚しかさえぎるものがなかった。
当時は高校生だったので、その部屋で着替えをするのにもかなり神経を使ったように思う。
***
***
30代前半の男性:Kさんの「住まい」に対する感想。
高校卒業後に引越しをし、自分一人の部屋を持つ事ができ、
独立できたような気がしてうれしかった。 4畳半しかなくて少し狭かった
洋室だったので独立したかんじで良かった
***
20代の女性と30代の男性の2人が、代表的な意見で閉鎖的な「住まい」を支持しています。
その要因は、プライバシーと独立性にあります。
女性は、やはりプライベートな問題を強く持っていますので、更衣や化粧、
睡眠などの時にあまりにも開放性が高い家で、
個室を持っていながら見えなくすることも出来ない場合には、とても不快感が強く、
この感覚が芽生えると、なかなか開放的な「住まい」になじめなくなります。
視界を遮ることが、ちょっとした工夫で出来れば、それほどの嫌悪感を持たなくてもすみます。
この工夫(カーテンやブラインドなど)を親が考えてあげることで、
開放的な「住まい」に対する嫌悪感は、うすれます。
「住まい」に一緒に住む家族の工夫が、皆で住むことを楽しくし、
精神的にも、社会生活に対しても、良好な関係を維持することができるようになります。
30代の男性の場合は、高校卒業後に個室に入れるようになったので、
プライバシーも独立性も得られて、嬉しかったとの感想です。
高校卒業後ですので、自分の部屋を自分の責任で持つことは良いことです。
開放的な部屋と、閉鎖的な部屋との両方を経験することで、両者の長所と短所が感じられ、
自分が家族を持つ場合に、その経験が家族との生活に生かせれば、経験した甲斐があります。
高校卒業後の男性の場合には、一般的には居間に出てくることも少なくなり、
やっと自分の自由になる部屋を手に入れられたのが嬉しかったとの思いを強めたのでしよう。
米国では高校を卒業すれば、当然大人扱いされ、自分で稼ぎ自分の部屋を持つ時期ですので、
この国は少しあまえているのかも知れません。
個室を持つことの良さや、喜びは個人的なレベルで発せられることが多く、
個室に居ることで、家族としての集団での楽しさを感じる人はいません。
子供の時には個室を持った喜びが感じられますが、大人になり、自分の子供を持つと、
子供に個室を与えることでの不安や淋しさが増大してくるようです。
子供の頃の感覚は、自己中心的な思いが強く、個室が無い時に個室を与えられると、
自分の城として家族を排除して一人で居ることが、大人として認められた気がし、
独立したような気分になり、閉じこもることも多くなる。
特に男子の場合には、おしゃべり好きでない限り、趣味やパソコン、
携帯などを使うことで部屋から出てこなくなる。
家族とコミュニケーションすることが、子供にとっては負担のことも多く、
個室が都合の良い隠れ家になってしまうことが多いのです。
最近この国の家族関係は、核家族になり、個室中心の間取りが多くなった「住まい」で、
子供の躾や家族の伝統が失われ、どの様に子供を育てたらよいのか試行錯誤の家族が多く、
子供を居間や食堂などの家族の空間に出てくるように躾る前に、「住まい」を新しくしたり、
転居することで個室を与えられるようになると、勉強の邪魔をしないで生活できる、
プライバシーを守ってあげられるなどの、理由を考え子供に安易に個室を与えてしまうのです。
この感覚は親にとっても楽だとの気持ちがあり、「住まい」の目的として家族で楽しく過ごすとの、
基本的な目的を忘れたり、家族がお互いの負担になることを避けたりすることが原因なのです。
「住まい」の本当の目的は、家族が勝手に過ごすことではありません。
なぜならば、勝手に個室を使い勝手に過ごしていると、同居人と一緒ですので、
深い触れあいを避けるようになり、都合の良い時だけ楽しむような関係が良くなるのです。
家族として共に喜び共に苦しみ応援し応援される、
家族皆で深い楽しみを味合うことが出来なくなってしまうのです。
米国のドラマや映画を見ると、家族が反発し親子や兄弟関係が悪くなっている、
ストーリーが多いのですが、米国では子供に小さい時から個室を与えることが多く、
家族の躾も、個人主義で考えられていますので、家族としての関係は我が国ほど親密ではなく、
親子関係は子供が大きくなると、夫婦関係ほど親密さに気を使っていません。
米国に留学したり仕事に行ったりした人達の感想は、日本よりずっと個人主義的傾向が強く、
親子と言えども何時までも親密な関係でいることはなく、独立するのが当然と考えているのです。
したがって、高校を卒業すれば、独立した人として認めるが、
経済的にも精神的にも独立して欲しいとの考え方が、
社会的常識として家族の感覚の中にもあるのです。
この国の家族関係はそこまでドライな関係にはなっていません。
民族や歴史、感覚的な違いもあり、米国の家族のあり方よりもっと親密な関係でいるのが、
この国の家族関係の根底を流れている感覚です。
「住まい」の個室化は米国にように、プライベートな個室を多く造る方向に向いていますが、
本当に必要なことは、家族関係の良さをもっと生かす間取りやプランニングなのです。
今回は以上です。
次回もこの続きです。
次回をお楽しみに!
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