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APSS設計事務所 菊池 です。
57・子供の頃の「住まい」は以外と影響が大きい。
その2−自分の育った「住まい」の環境に対するアンケート調査の感想より、
いじめや家族崩壊、離婚などへ発展する問題点が浮き出てきています。
◇地球環境に貢献する「住まい」を考えていますか?◇
http://www.apssk.com/meru/kekanmm35.html#A
自分で「住まい」造りを考えるための知識を、
メールマガジン(MM)としてお送りしています。
「住まい」造りに役に立つMMですので、楽しみながらお読み下さい。
前回までのメールマガジンをお読みになりたい方は下記からどうぞ。
◇メールマガジン目次http://www.apssk.com/kekanmeru00.html◇
57・子供の頃の「住まい」は以外と影響が大きい。
前回は、私のサイトのアンケートに答えてくれた方々の生の声を載せました。
意外と、「住まい」が影響し解放的な「住まい」は当時は嫌だったか、
大人になってその良さを感じている人が多いようですが、
自分の家族に一度閉鎖的な個室を与えると、なかなか元に戻すのは難しいようです。
では、前回の続きをお楽しみください。
アンケート調査内容は
◇アンケート「個人用」・家族と室内空間・http://www.bekkoame.ne.jp/ro/apssk/anke/QUESTION1.htm◇
を見て欲しい。
「開放的「住まい」の良さを本当に感じられるのは、大人になってから。」
アンケート調査に寄せられた「住まい」に対する感想と私共からのアドバイスです。
***
30代後半の女性:Fさんの「住まい」に対する感想。
子供の頃は,自宅が狭くテレビも一台でした。
しかしそのお陰で,家族がいつも集まっていたし,いつも話をしていたような気がします。
現在は新築のマンションを購入し,各部屋が広く子供二人は個室です。
同じ屋根の下にいながら,顔を合わせる時間が短いのが気になります。
「住まい」が広すぎ、家族が個室を持っていて,そこに籠もりきりになるのが不満。
もっと狭くても良いから,居間に集まるようにしたい。
***
このような感想が、最近多くなってきているのも事実です。
自分たちの子供のころには、それほど豊かでなかったため、
それこそウサギ小屋に家族寄り集まって、喧嘩もしながらわいわい楽しく居間で生活していました。
子供部屋も兄弟一緒か、とても小さく、居間に居るほうが楽しく落ち着いた「住まい」だったのです。
結婚し新築のマンションを持てるようになると、当然少し広めが欲しくなり、
広めの「住まい」で、子供たちに個室を与えることが出来たと喜んだとたん、
子供はそれぞれ個室に籠もりきり、居間に出てこなくなってしまい、
居間に出てきて欲しいとの嘆きの感想です。
「住まい」の伝統が無くなってしまったこの国では、
「住まい」が大きくなり各自が部屋をもてるようになった今、子供の事件や騒音事件、
夫婦の離婚などが多くなって来ていますが、
「住まい」の使いかたを知らないことが原因の場合もあるのです。
子供のころは小さい家に住んで、家族が皆でワイワイと楽しげに暮らしていたのですが、
大きくなったら、自分の子供には是非個室をあげたいとの思いを持ち続け、
やっと大き目の「住まい」を手に入れたとたん、家族の離反がはじまってしまい、
こんなはずではなかった如何しよう、と嘆きはじめている様子が目に浮かびます。
欧米などの先進国で中流以上の人達は、比較的大き目の「住まい」を保有していますが、
子供には部屋を与えるのではなく貸す感覚で子供の部屋にします。
米国などは、高校生までは子供として部屋にいますが、高校を卒業すると、
家を出て自活するか、仕事をし部屋代を親に払って居続けるか、
出世返しで大学に行き後で返すかとなります。
米国では、部屋のドアも基本は開放で使い、集中したい時、着替えの時、
寝る時などに閉めますが、子供が閉じこもらないように、なるべく開けておくように躾け、
小さい時から、自然に居間や食堂に出てくるように訓練しているのです。
そのような工夫を何もしないで、子供に部屋を与えると、
それこそ家を造って子供を失う結果になりかねません。
***
20代後半の女性:Gさんの「住まい」に対する感想。
中学、高校は姉妹それぞれの和室部屋と共同の洋間勉強部屋をあたえられました。
しかし、私は自分の部屋には荷物をおくだけで、眠るのは姉の和室に姉と一緒でした。
これを、和室一人部屋とよぶのかはわかりません。
大学生のときは、ワンルームというより、間借りでした。(トイレや風呂や台所は共同)
小学生から中学生の途中で、引っ越しにより部屋数がふえ個室に充分たる広さの個室を得ましたが、
結局、家族とコミュニケーションをとっていた居間中心の生活からかえられず、
眠るときは姉と一緒、自室は荷物のための部屋になってしまいました。
小さいときは自分の部屋がほしかったです。つねに家族に干渉されるため。
また、中学、高校と与えられた部屋は独立しておらず、他の居室をとおるのに
つかわれるため、自分のひとりになれる部屋ではありませんでした。
でも、大学生になってみると、家族がいつも居間にいたこと(部屋がなくて)も
よかったかとおもいますが、開放的な和室での両親の夫婦生活には問題があった
ように感じています。
各々の部屋にいるのがあたりまえでなく、いくら部屋が複数あっても、
居間にいることがあたりまえでした。
話す機会とか意識しなくても、家族でいろいろな会話ができた点。
日本の居住構成がいろいろかわって、家族関係のありかたにも影響をあたえていると
おもっています。
欧米風の間取りでありながら、家族間のコミュニケーションのとり方は、
むかしの日本の様子(つまり、和室は閉鎖性が低いため、自然とコミュニケート
がうまれるので、自発的にコミュニケートをアクションするものと考えていない)とか、
家族ですごす時間を欧米ほど大切にしない傾向があるなど、住居構成と家族関係は
その家族のありかたの考えにもとづいて構成しないと問題が生じるとかんがえています。
***
この方は、和室の個室を中学の時から与えらてたが、なにげなく姉との一緒の部屋とし、
生活していた、とのことです。
その結果、家族がいつも居間にいて、
自然とコミュニケーションを取れたことは素晴しいことだったと言っていますが、
半面夫婦生活や欧米風の閉鎖性の高い個室を各自が持った場合に、
家族が自然と居間に集まってくるかどうかを危ぶんでいます。
この前に出てきたFさんの感想にもあるように、安易に広めの個室を与えると、
子供は居間に出てこなくなり、そうなると、子供を居間に呼び出そうとしても、
なかなか効果的な方法が見つけられません。
和室で開放的個室がありながら、家族が何時もいる居間に育った親が、
ドアで仕切られた閉鎖的な個室を子供に与える場合、子供に居間が居心地が良いと感じさせ、
普段から居間に出てくる習慣を付けさせるのには、如何したらよいかとの点です。
自分たちは躾けられて居間に居たわけではなく、自然と居間で家族と話したり、TVを見たり、
勉強の手助けをしてもらい、家事の手伝いをしながら生活していたので、
子供を居間に引っ張り出す経験に乏しいことが、不安となって現れています。
ここでの解決方は、ドアを閉めさせないこと、
居間での勉強は手伝ってもらえ、誉めてもらえるし家族を巻き込めるので楽しいと思えるようにする、
さらに、家族でのおしゃべりやTV観賞が楽しく、家事の手伝いは人のためになり、
気持ち良くなるなどを感じさせ、家族で居ることが楽しいことだと心から思わせることなのです。
それには、子供室の扉をガラス付にしたり、ブラインドやカーテンにする、
極端な場合は最初から取り外し扉無しにしておくことも考えられます。
居間では勉強や読書がし易いコーナーや大きなテーブルを用意したり、
本棚や道具箱なども使いやすくし、絵や音楽を見たり聞いたり家族で描いたり演奏する場所を、
創るのも素晴らしいことですし、
TVは見やすくオーディオとしても使え音質の良いものを居間だけにするなど、
居間に集まりやすい環境を作り出すことです。
一度ドアを閉じ閉鎖的な個室に閉じこもると、家族もなかなか入り難くなりますし、
子供も干渉の少ない自分の空間から、家族と言えども気を使わなくてはならない、
負担の多い居間には、素直には出てこなくなります。
人は我侭な動物ですので、面倒くさいことは躾けられなければしませんし、
楽しくなければコミュニケーションもしないのです。
コミュニケーションが楽しいと感じられるからこそ、
皆で集まってワイワイするのですが、家族関係が冷えてくると、
家族でのコミュニケーションも無くなってしまいます。
スキンシップと愛情が大切な小学生くらいまでに、
躾けや家族とのコミュニケーションや手伝いの楽しさを通して、
家族が一緒に楽しんで生活してゆくことを身に付けておくことで、
自分の家族の伝統が育ち、社会生活を学んで行ける土壌となるのです。
***
30代前半の女性:Hさんの「住まい」に対する感想。
生まれ育った実家はとても狭く、3人姉妹でプライバシーも何も保てず
整理整頓もスペース上できない状態でひどいものでした。
生まれ育った実家は狭かったが、家族五人がいつも顔を合わせていなければならなかった分、
コミニュケーションだけは充分取られていた。
けんかは絶えなかったが、信頼関係はできていると思っている。
***
この女性の感想も子供時代狭い家で、嫌でも顔を合わせて生活していたため、
喧嘩も多かったが、家族のコミュニケーションと信頼関係と愛情が育まれたのです。
このような生活がこの時代は多かったので、どこの家族もわりと仲良しだった気がします。
この時期から社会全体が裕福になり始めて、
結局精神的な愛情や絆が失われ始めたような気がします。
もちろん「住まい」のせいばかりではないでしょうが、「住まい」も大きな影響力があり、
それに気づかずこの国の人達は、安易に個室文化を取入れてきたのです。
***
30代前半の女性:Iさんの「住まい」に対する感想。
私が中学に進学した時、それまで弟と同室だったのが、それぞれ個室を与えられ
両親から、個人として認められたように感じて嬉しかった。
その際、私は必ず居間を通らないと用が足せない部屋を与えられたが、
弟は完全に独立した部屋を与えられ、その頃を境に、
弟は家族とのコミュニケーションをあまり取らなくなってしまった。
実家では、DKが北側に、居間が南側の日当たりの良い場所にあったが、食事の後、
誰もわざわざ居間に移動しようとせず、そのまま、狭くて日当たりの悪いDKでだんらんをしていた。
せっかく日当たりが良く、眺めも良い居間のスペースが勿体無かった。
***
この感想は、極端なほど端的に開放的な部屋と閉鎖的な部屋の特徴を現しています。
開放的な部屋を与えられた姉は、居間によく来て家族とコミュニケーションするのに、
閉鎖的な部屋を与えられた弟は、
家族とのコミュニケーションをあまり取らなくなってしまったとのことです。
男と女との差もありますが、それを抜きにしても「住まい」の中での個室の影響が、
如何に大きく作用するかを現した感想です。
もし閉鎖的な個室と開放的な個室が「住まい」の中にあるのならば、
閉鎖的な個室をドアを取り払う位の決意で、
開放的になるべく近つけてから子供に使わせる必要があることを示しているのです。
現在はまだ、ほとんどの人が、個室のプライバシーのことばかり気にしていますが、
アメリカに留学していた時の娘がホームステーしていたお宅でも、
なるべく個室のドアは開けるようにしていたそうですし、
その後のシェアールームでも、友達に来てもらっても良い時にはドアを開けて生活していたそうです。
娘のドミトリーを訪れたときも、季節的なこともあったかもしれませんが、
結構ドアを開けている部屋が多く、ドアを開けておくことに抵抗が無い様子が感じられましたし、
ドアを開けた部屋があることで、同じドミトリーに住む仲間でもコミュニケーションが取りやすくなり、
廊下を歩くことも何か楽しくなるような雰囲気でした。
ドアを閉めることは、この国の伝統的な躾けであり行儀作法であったのですが、
これは開放的な室の大人のたしなみであり、子供に対する躾としてではありません。
閉鎖的な部屋を子供に使わせる場合には、ドアを開け放しにしするぐらいの心がけで、
普段、家族は誰でも自分の部屋に、迎え入れることができる心を育てるのが躾なのです。
数年前にシックハウスに関する建築基準法が改正になり、
部屋の空気は常時少しづつ流し続けることが、一般の家庭でも義務付られました。
建築の技術が進化し、新築や改修された「住まい」は気密性が高くなったにもかかわらず、
接着剤や塗装材、壁紙などの化学物質が「住まい」に沢山使われるようになり、
シックハウス症状の人が沢山現れたので、その規制として、定められた法律であり、
常時通気の義務だけでなく、建築材料もF☆☆☆☆との化学物質の放散のとても少ない
材料を使わなければならなくなったのです。
シックハウス症に対しては、法律の効果や社会的認識の高まりもあり、最近の新築住宅では、
基準値を大きく下まわる、化学物質汚染の少ない「住まい」が普通になって来ています。
しかし、最近は家庭で使う殺虫剤、除菌材、芳香剤、消臭剤、化粧品、洗剤、
など本人持ち込みの化学物質がとても増えており、
各部屋から常時換気することが、健康維持の観点からも大切になってきています。
法律的にはドアの下の10mm程度の隙間でも良いことになっているのですが、
実際にはドアを開放し換気をした方が、約200倍も有効であり、効果が高くなります。
各個室のドアを開けておくことは、各家庭で持ち込む化学物質汚染の被害から、
家族を自分たちで守るのにも役に立つことなので、
子供室の扉を開放で使うことは、その意味でも価値があります。
今回は以上です。
次回もこの続きです。
次回をお楽しみに!
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