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APSS設計事務所 菊池 です。
55・「住まい」での子供室を見直そう。−3
◇地球環境に貢献する「住まい」を考えていますか?◇
http://www.apssk.com/meru/kekanmm35.html#A
自分で「住まい」造りを考えるための知識を、
メールマガジン(MM)としてお送りしています。
「住まい」造りに役に立つMMですので、楽しみながらお読み下さい。
前回までのメールマガジンをお読みになりたい方は下記からどうぞ。
◇メールマガジン目次http://www.apssk.com/kekanmeru00.html◇
55・「住まい」での子供室を見直そう。−3
日本住宅協会の機関誌「住宅」の特集/心の健康とハウジング・に
大学の教授達に混じらせて戴き、執筆した小論の続きです。
これからも、役に立つMMをお送り致しますので、宜しくお願い致します。
「3.子供室は勉強部屋にはならない。」
子供室と家族の関係の最終回、子供室は本当に必要かを問う。
三、子供室は勉強部屋にはならない。
今の子供たちが個室で勉強する機会がどの程度あるのか考えてみるとよいが、
学校では集団で勉強し、塾でもほとんどの子供が集団で勉強している。
図書館などでも集団の学習室であり、自宅に帰ってきても小学生ならば、
間違いなく宿題は居間やダイニングのテーブルで母と話をしながら、
聞きながら勉強するのが好きである。
我が家でも開放性の高い子供室であったが、子供室で勉強していても、
いつの間にか居間に来て親を相手に試験勉強をするのが、中学生までは確実に続いていた。
全国的有力新聞紙Aにも昨年11月に、「有名私立中学合格者の中でも難関校ほど、
居間や食堂の雑然としたテレビのある部屋で勉強していた子供たちが多かった。」
との記事が出ていたが、「独立した子供室で勉強すれば、はかどるとか、
一人の静かな環境でないと勉強が出来ないだろう」と
考えるのは勝手な思い込みであった、と報じられている。
このように、研究者や学者等特別な人以外では個室を勉強に使うことは少なく、
皆の居る居間や食堂などで、ながら勉強しつつ、
コミュニケーションをはかっていることの方が、親子共安心で信頼できる関係になれるのであり、
遊びやTVなどからの切り替えも早くなる傾向にある。
子供が居間や食堂で勉強することは、家族のコミュニケーションにとっても良いことで、
家族崩壊や非行などの危険の確率も減り、「開放的な住まい」は一石二鳥いや、
三鳥の効果が考えられる。
四、グロピウスもタウトも日本的文化を絶賛し、開放的な「住まい」を評価した。
日本人は自分達の良さを見つけるのが下手である。
ドイツでバウハウスを始めたグロピウスは、プレハブ住宅の先駆者としても知られているが、
昭和29年に来日し2ヶ月にわたり日本建築を視察して、日本の伝統的な住宅建築について、
次のような感想を述べている。
「日本にきて驚いたことは、日本住宅に見られる近代性ということだ。そこには開放性、転用性、
簡素さと言うものが尺度になって人体的な関係を保ちながらよく調和したものを生み出している。
また、障子や土管などが規格化されているのも知り、百年以上前から建築の一部については
量産の過程に入っていたことに注目させられた。」と述べ、さらにグロピウスは、
日本の在来住宅の開放性について、「封建制の所産」とか
「家長が家族に目を光らせて支配下に置くための融通性」との当時の一部の日本の建築家の
意見を退け、むしろ開放性を積極的に評価したのである。
ブルーノ・タウトは近代日本住宅の先駆者、
藤井厚二の住居「聴竹居」を昭和8年に訪問した際の印象をタウトの日記(日本)に書き残している。
「聴竹居」と周りの自然とは見事なまでの調和を保っており、
とりわけ感銘をうけて「実に行きとどいた心づかいを感じる」としるしている。」
ブルー・タウトはご存知の人も多いと思うが、桂離宮を「永遠なるもの」として、
日本の伝統的建築を再評価したことで知られる建築家である。
外国の建築家に戦前も戦後も、開放性と調和の美を絶賛されたのであるが、
全くその本来もつ精神的機能性について、検討されることがなかった。
個室化の問題現象は、50年程前のアメリカでも起こっており、
快適で安価な2x4の開発で個室型の郊外住宅を手に入れ、
その生活を楽しむはずであった若いアメリカの夫婦の多くは、
その後数年から十数年で、多くの離婚家族が出現したのである。
快適な個室を主にした「住まい」のみが原因とはいえないが、
「理想だったはずの住宅で夫婦関係が上手くいかなくなった。」と語る人や
「自慢の家庭を維持するために、子供にプレッシャーがかかった。」と
「住まい」の影響を認める家族もあったのである。
これらの「住まい」の家族に対する影響は、
「住まい」の個室化を進めると家族に問題が起こるのであり、
グロピウスやタウトはこのあたりを見据えて、日本の伝統的住宅の開放性の高さが、
精神的強さを自然に導きだし、家族の絆を強くすることになると指摘していたのであろう。
日本の文化は浮世絵や陶器などに限らず、グロピウスやタウトなどの外国人の再評価により、
開放的な「住まい」と言う文化的良さを見直すべきであった。
「住まい」の開放性についても良さが認識できずに、欧米の真似である個室を多く取るプランを、
そのまま取り入れてしまったのである。個室化をすると勉強がはかどるように錯覚し、さらに、
独立性が育つなどと勝手な思い込みで、個室化を進めているのである。
五、家族が楽しく暮らし、夢を実現できる「住まい」とは
これまで述べてきたように、「住まい」の中の個室化は、家族に問題を提供することはあっても、
楽しさや信頼関係を創りだすことはない。
ただ、逃げ込み寺的な避難所としての機能は発揮できるので、寝るだけの小さな空間でよく、
扉などもなくし、ブラインドのように開放的なものがよい。
家族はお互いになんとなく相手が感じられる空間に居ることによって、相手を思いやる心や、
配慮の精神を身に付けるのであり、一人の空間にいるときには、わがままになり、
自分勝手な行動をとるものである。
配慮の精神を身に付けた家族は、子供のことをそれとなく励まし、
また子供も家族の応援をプレッシャーに感じることなく、自然にエネルギーに変えることができ、
創造性や応用性さらには、集中力まで身に付くため、自分の好きな道も見つけやすく、
好きな道を突き進む応援もしてもらえるため、自分の夢を仕事に出来る可能性はとても大きくなる、
個室に閉じこもって育った子供とは比べものにならない。
以上の経験や考え方を踏まえ、最近よくあるマンションや一戸建てを基に、
日本の伝統文化を取り入れた「開放性を生かした住まい」の例を示してみた。
http://www.apssk.com/meru/kekanmm54ph1.html#C
よくあるマンションの個室が沢山配置されている例と。
開放的で創造性を刺激するマンションの例。
開放的な「住まい」に改良したプランは、大テーブルや作業コーナー、
読書コーナーなど工夫次第で発展できる「住まい」になっている。
http://www.apssk.com/meru/kekanmm54ph1.html#D
一般的建売で、2階に個室がならび、階段も玄関から直接入れるため、家族と全く顔を合わせなくても生活できるプランの例と。
開放的で家族が何時も顔を会わせ、信頼と愛情をはぐぐみ、皆が仲良く楽しく住める戸建の例。
建売を開放性を持たせた「住まい」にした改良プランで、子供室を小さくし入口もブラインドに、
子供の共用の勉強読書コーナーや吹抜を配し、立体的にも気配が感じられる。
階段もLDから昇るため、家族が自然と顔を合わせる機会が増え、
自分達で新しい空間やコーナーを創り出せる余裕のあるプランとした。
開放性の考え方は色々あり、無意識的に配慮を学ぶ姿勢のプランから、
意識的に配慮を学ぶプランまで、その家族の考えに合った「住まい」が必要になる。
閉鎖的な「住まい」を造る場合には、閉ざせばよいだけなのでそれほどプランに差は現れないが、
開放的なプランの場合には、人や家族によって開放度の程度と、
すでに身に付けている作法(礼儀)や配慮の違いが有り、
家族ごとに開放性の程度を探し出し、それぞれに合った開放型のプランを見つけ出す必要がある。
今回は以上です。
次回をお楽しみに!
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