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APSS設計事務所 菊池 です。
53・「住まい」での子供室を見直そう。
◇地球環境に貢献する「住まい」を考えていますか?◇
http://www.apssk.com/meru/kekanmm35.html#A
自分で「住まい」造りを考えるための知識を、
メールマガジン(MM)としてお送りしています。
「住まい」造りに役に立つMMですので、楽しみながらお読み下さい。
前回までのメールマガジンをお読みになりたい方は下記からどうぞ。
◇メールマガジン目次http://www.apssk.com/kekanmeru00.html◇
53・「住まい」での子供室を見直そう。
長い間お休みしていましたが、再開です。
最近日本住宅協会の機関誌「住宅」の特集/心の健康とハウジング・に
大学の教授達に混じらせて戴き、小論を書きましたので、
今回はその小論を数回に分けてお送り致します。
これからも、役に立つMMをお送り致しますので、宜しくお願い致します。
「子供室が家族をだめにする。」
「住まい」と家族関係について、建築的観点から、
プランや部屋の配置を基に心理的な側面も含めて、
現代の家族の崩壊や子供の問題を考察してみた。
最近も家庭内で妹を殺害し、死体までバラバラにした事件が発生し、
普通の家族と思われている家庭の内情が危機に瀕していることを示している。
楽しく一緒に過ごし、助け合い、仲間にも応援団にもなるはずの家族が、
いがみ合い不仲になり、ついには殺人にまで発展してしまう原因の一端が、
「住まい」のプランや間取りにあることは、
専門家の間ではある程度認識されているが、
一般的認識となるとまことに心もとない状況である。
ましてや、実際にプランを研究する場合に、プランのどの部分が心理的に影響するのか、
調べることが難しく、プラン造りに役立つ資料はほとんどない。
☆子供室は家族関係を崩壊させる。☆
子供室の害についての面白いアンケート調査がある。
「家をつくって子を失う」の松田妙子氏の著書に出ている調査である。
登校拒否児の「親の会」の協力ののもとに行われたアンケート調査であり、
登校拒否とは凡そ30日〜35日以上の欠席日数があり、
その欠席の理由が体の病気とは言えない状態だそうで、
つまり、精神的な影響で(いじめや引きこもり等が含まれる)学校に行けない状態の生徒のことである。
(調査した生徒は男子27名女子23名の計50名、アンケート内容を部分的に抽出)
☆1.あなたは個室を与えられていますか。
はい49名、いいえ1名
経済状態も豊かになり、個室を与えられる環境が整ったとはいえ、
50人中49人までが個室を持っている状況は多すぎるように思う。
個室を与えるのは良いのだが、個室を与える場合には躾やフォローが必要になる。
家族となるべく一緒に過ごし、精神的負担を分け合い、
家族と楽しみも分け合える「他人を思いやる」心が身につかないうちに、
個室を与えると引きこもりや登校拒否に陥り易い。
今家庭の多くが子供の問題を抱えているが、
その原因を顕著に表しているのがこの数字といえる。
☆2.あなたの部屋へ玄関から入るとき、親にあいますか。
毎日会う2名、たまに会う27名、全く会わない21名
顔を合わせないですむ毎日だと、挨拶すら面倒くさくなる。
顔を合わせるだけであるから、毎日会って当然だが、
毎日玄関から入るのに顔を合わせるのは2名だけである。
プランの問題が大きく影響していると思うが、
ほとんどの「住まい」が直接子供部屋に行ける配置になっていることを
示しているように思える。このようなプランが登校拒否を生み出したとも考えられる。
プランや間取りの考え方が、家族関係に大いに影響することを、この項目は示している。
☆3.個室を与えられたのは何歳からですか。
3歳までに10名、3歳から10名、5歳から10名、7歳から9名、10歳から9名
この調査をみると、個室を与えるのが早すぎる感がある。
中学生や高校生になってから個室を与えても十分であり、
むしろ早く個室を与えるのは弊害のほうが多い。
アメリカ映画や育児書の影響ではないかと思うが、
一人で寝かせると独立心が育つような気になるのかもしれない。
しかし、躾や家族の絆がしっかりしていないと、
愛情不足から信頼されていないと思い込み、逆になかなか独立できないことにもなる。
また、個室を与えたのだから、勉強は自室でしなさいとか、
遊びも部屋を汚すから自室でしなさいと、
親が子供を個室に追い込む傾向が出るのも個室を与えたからであり、
悪影響になりかねない。
個室は与えればよいのではなく、愛情と信頼を子供が感じられるような部屋とし、
使い方も家族で考えて使って行く必要がある。
☆4.親と会話する部屋で、もっとも話をする部屋を1つ挙げてください。
居間21名、食堂15名、親の部屋7名、台所2名、廊下1名
これは順当な結果だと思うが、自分の個室に入って欲しくないと言う、
思いも見え隠れする結果である。部屋に親や兄弟を入れなくなるのは、
心が病み始める兆候であり、面倒な事はせずに自室に閉じこもる気持ちが
出てきた時が多い。こうならない前に自然に家族が触れ合える場創りが大切である。
したがって、鍵の取り付けなどは全く必要が無く、
扉を開け放しにすることを習慣的に行ったり、扉を外してしまうことや、
扉の替わりに障子やガラス、ブラインドなどにすることも考える必要がある。
☆5.夕食を家族揃ってとりますか。
いつも揃って9名、平日は別々25名、いつも別16名
☆6.食事を家族としない人はどこで食べますか。
自分の個室9名、その他6名(食堂や外食)
夕食をいつもそろって食べる人が9名もいるのは、びっくりするのだが、
反面自室で食べる人が同じく9名いるのにも驚かされる。
食事を個室で摂るような生活にしてしまっては、本末転倒も甚だしく躾や行儀の問題以前に、
こもる側も、こもらせる側もお互いの家族としての絆がなくなっている状況と思われる、
登校拒否児だから当然かもしれないが、早急に意識改革が必要な段階にきている。
食事は家族が集まり、自然に話をする、とても良い機会であるので、
週に1、2回でも週末や日曜日に美味しい食事をしながら、とりとめのない話をし、
コミュニケーションの方法を自然に身に付け、
家族がお互いに信頼しあえるように心がけるべきである。
☆7.自分の部屋で何をしますか(該当するものいくつでも)
TVを見る37名、マンガ本35名、音楽を聴く33名、TVゲーム30名、雑誌読書26名、
電話をかける17名、手紙を書く16名、(以下略)
☆8.自室で親に隠したい社会的に悪いことをしたことがありますか。
男子:タバコ11名、ポルノ雑誌6名、酒4名
女子:テレクラ5名、酒3名、タバコ3名
子供は子供室では勉強しないことがこの調査に示されている。
上記の2つの設問で解るが、個室ですることは、息抜きであったり、
遊びやダラダラすること、または親に隠れてしたいことがほとんどなのだ。
この傾向は登校拒否児童に限らず、ふつうの子供がかなり大人になっても続く。
インターネットのピンクサイトや出会い系サイトなども子供に限らず、
大人でも個室によって繁栄しているのかもしれない。
良きにつけ悪しきにつけ個室や書斎は隠れ家と考えた方がよいことが、
この設問にも明らかに示されている。
一般的に、良いこと誇れることは他人のいるところで行うのが人の感覚であり、
親や友達などに誉めてもらい、一緒に喜びたいとの感情があるが、
悪いことや気が引けることになると、
誰も来ない個室に篭って自分だけで楽しみたいのである。
本当に心に残る楽しみや喜びは、家族で楽しんだり喜んだりすることで、
より増幅されることがあるが、それは皆が喜んでくれることで
一層自分の喜びや楽しみが増すからである。
家族で楽しんだり喜んだりすることを身に付けると、家族の絆が深まり、
家族がより信頼できるようになる。
☆9.「おはよう」「おやすみなさい」の挨拶を家族としますか。
する2名、時々する20名、全くしない19名
私の小さいときに祖父母と住んでいた時期があり、
朝起きて顔を洗い祖父に「おはようございます。」の挨拶に行くと、
おめだといって動物ビスケットなどのお菓子を少しもらった記憶がある。
就学前の子供であったが、恥ずかしい気持ちもあり、
「おはようございます。」の一言がいえない時もあった。
しかし、お菓子に釣られてしっかり挨拶するようになったように記憶している。
小さいときから家族と挨拶していれば何時でも、誰とでも、自然に挨拶できるようになるが、
大きくなってからではなかなか難しい面がある。
小さいときから躾として自然と身に付けさせたい礼儀である。
家族が顔を合わせ挨拶をすることは、家族が精神的なつながりを持つ第一歩である。
挨拶も常時しているのは2名で、玄関で顔をあわせる人と同一だと思う。
顔を毎日あわせれば挨拶も出来るようになり、家族で楽しく過ごせるようになるので、
挨拶もプランが重要なポイントであることを示している。
☆10.最近、1日に親と話した平均時間は。
0分5名、1分15名、2分5名、3分6名、5分4名、10分5名、20分2名、30分2名、2時間3名、
3時間1名、4時間2名
親と話す時間が少なすぎる。10分以下の人が40名(50人中)、80%の人が10分以下の状況であり、
親子の会話の時間を増やすことが、家族の楽しみと信頼を維持することになるのは明らかである。
子供のうちはなるべく親子の顔を合わせる時間や空間を増やすことが、会話を増やすことになり、
家族同士の信頼と楽しみも増すことになる。
ここまで、登校拒否生徒のアンケート調査を見てきたが、親子の触れあいやコミュニケーションが少なく、
挨拶もできず個室に引きこもり、個人的な楽しみのみに興じているさまがあらわれている。
個室ばかりのせいとは言えないが、個室で扉を閉じて引きこもると、家族とのコミュニケーションすらも出来なくなり、
徐々に問題児になり、ニートやパラサイトシングルの可能性が増し、挙句の果ては家庭内暴力や、
非行や少年事件を起こしたり、家族崩壊に繋がる道になりかねない。
今回は以上です。
次回をお楽しみに!
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