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APSS設計事務所 菊池 です。
43・「姉歯設計欠陥マンション等の根底をさぐる」
◇地球環境に貢献する「住まい」を考えていますか?◇
http://www.apssk.com/meru/kekanmm35.html#A
自分で「住まい」造りを考えるための知識を、
メールマガジン(MM)としてお送りしています。
「住まい」造りに役に立つMMですので、楽しみながらお読み下さい。
前回までのメールマガジンをお読みになりたい方は下記からどうぞ。
◇メールマガジン目次http://www.apssk.com/kekanmeru00.html◇
43・「姉歯設計欠陥マンション等の根底をさぐる」本題です
今話題の姉歯設計の構造欠陥マンション問題の根底を探り出します。
この問題の関連事項については、下記の国交省のHPをご覧下さい。
国交省の姉歯関連HP・http://www.mlit.go.jp/aneha/
姉歯設計の構造欠陥は、酷いものであり人間性の欠落から起きている。
したがって、人間性(モラル)の欠落したデベロッパーや施工会社、
不動産会社等のマンションやホテル、オフィスビルなどは、
どれでも可能性がある建物と考えられる。
なぜモラルが欠落するかと言えば、市場原理、
客の嗜好や流ればかりを、市場命題として、安いものを造れば売れる、
との発想から出発していることが原点である。
売れるものが良いものだとする昨今の風潮は、建築物にまで及び、
建築基準や安全性を無視しても安いものを造ろうとする体質に悪乗りした、
一部デベロッパーや建設会社が無理難題を押付け、
モラルの無い設計事務所が仕事欲しさに基準や安全性を無視して、
申請し施工もその設計通りにし、完成させたのが、
今回の欠陥マンション等の基本的な背景である。
車でも近くは三菱自動車の事件があり、
安全性を無視して販売していた過去があり、
歴史を遡れば様様な安全性を無視した工業製品は、
数え上げれば限が無い。
建築は一品生産であり、担当者に資格も必要なため、
よもやこんな欠陥が出てくるとは思ってもいなかった、
官的考え方が招いた結果とも言える。
今や建築物も工業生産品の1つになってしまい、
担当者の人間性を見ることが出来なくなったのが、
被害を大きくしたもう一つの原因でもある。
'05/12/01付の朝日新聞に基礎梁の基準断面と姉歯設計の断面が
出ていたので載せておくが、全く酷いもので
構造断面で60%程度しかなく、配筋量に至っては20%以下でしかない。
この状況ならば、少し知識のある者ならば疑問に思うはずであり、
検査機関が問題であるとの情報を得ながらも、
確認済みを与え検査済証も与えていたのは、驚くばかりである。
発言圧力の強い者に屈する、
この国の経済至上主義が色濃く反映された件でもある。
「安物買いの銭失い」との格言もあったわが国が、
高度成長を遂げ円の価値の高まりと共に、安い物でも使えるものが氾濫し、
選択の範囲が広がり、高価なブランド品も安価な贋ブランド品も、
そこそこ売れるため、本物を判断していた目がくもり、
見分けがつかなくなり、「住まい」選びも他人に頼るようになり、
「安くて良い買いだったよ」の口コミで、
相場より安いマンションが市場の一部を占めるようになったのである。
一生に一度の買い物なのに、安いものに飛びつく風潮は、
なんとも馬鹿げた発想と言う他に無い。
私共は、以前から一品生産の「住まい」に掘り出し物は無いと、
言い続けてきたが、現実にこのような事態が起こってみないと
判らないのが、人間の情けないところである。
「住まい」を安くするためには、土地か建物を安く調達しなくてはならない。
等価交換、定期借地、または倒産等で土地を安く調達できる場合もあり、
安いから悪いものだと言うことは出来ないが、
少なくとも納得する理由がある場合に限られる。
建物について言えば、外観は見えるので質を落とせない、
内装もこれまた人に触れる部分であり、
ある程度のレベルを保たなければならない。
設備も、近頃の高級志向と、ものぐさ志向が反映され、
費用は嵩むばかりである。
落とせるところと言えば、
完成すれば目に見えない部分、特に構造部分と、人件費である。
設計や施工者の質を落とし、モラルや建築基準などはどこ吹く風と、
安いマンションやビルを造り出し、売れるものが勝組みとばかりに、
販売に奔走しているが、本物の価値が判らない営業と、
安くて少しでも広い「住まい」が欲しいユーザーの意見が一致して、
このような被害をつくりだしたとも考えられる。
コストの削減はどの企画でも、設計でも、
施工でも同様に叫ばれている条件である。
したがって、大手が安全とか新興が危ないとかは、
はっきり区分け出来るわけではないが、
大手の建設会社の方が安全率が高いと言える事は確かである。
大手建設会社は、そう安くならないのが常であり、
安くなる場合にははっきりとした理由があるので、
欠陥に繋がるようなダンピングは少ないと言えるが、
競争で安くした物件や、現場の所長あたりが費用のことばかりを
考えている場合には、可能性がある。要するに人間性の問題となる。
新興はどうかと言えば、今回のヒューザーのように、
近年急速に業績を伸ばしてきたデベロッパーで、
コストを売り物にして伸びてきた企業はとても怪しいと言える。
報道によれば、一般に210万円/坪程度する同等の物件が、
140万円/坪で、入手できるとのシステムで販売戸数伸ばしてきたようだが、
2/3の価格となれば誰でも安いと思うのは当然であり、
触手が動くのはしかたがないような気がする。
しかし、冷静に考えてみれば掘り出し物には、
その理由が厳然としてぶら下っているので、納得できる理由もなしに、
安い「住まい」は、危険信号と感じる必要がある。
今までの欠陥住宅や欠陥マンションを見てくると、
無理に費用を安くしていることが多く、
いつもそのしわ寄せは構造部分や見えない部分に現れている。
欠陥住宅や欠陥マンションで争った場合でも、
完全に弁済されることは少なく、経済的負担に加えて、
精神的な負担も過重にのしかかってくる事は、
過去の事実が語りかけている。
今後はむやみに安い物件に飛びつかないことであり、
安い物件の場合には納得できる理由を把握する必要がある。
高ければ良いと言うわけではなく、適切な価格と、
その「住まい」に携わった人の、人間性を見ることが大切になる。
販売会社のトップと関係者の人間性、施工のトップとそのグループの
人間性を感じ取り、本物の「住まい」かを判断する必要がある。
何事も人によるが、特に建築は人の持っているノウハウの集積物であり、
個々人の影響力が大きく、職人によっても違いが出るため、
本物を見極めることが難しいのである。
したがって、人を見ることが重要になり、とりわけトップにすわる人の
人間性を良く見て判断するのが、判断しやすい条件と言える。
もう一度繰り返すが、「住まい」の基本は安全に快適に過ごすことであり、
そのうちの安全性が犠牲にされ安価を目指したのが、今回の事件である。
もちろん、悪いのは構造や設計の担当であり、
指示を出していた開発業者のデベロッパーなのだ。
また、沢山のホテルも姉歯に構造を依頼していたようだが、
営業中止や自粛に追い込まれているところも多数にのぼる。
これらのホテルは、コンサルタント事務所が企画立案したもので、
施工が木村建設が受持ち、平成設計との木村建設の子会社のような
設計事務所が設計し、構造が姉歯設計とのラインで
一貫生産していたホテルである。
このコンサルタント会社、総研の方法は、コンサルタント料は確実に取り、
施工費や設計料は抑えて、トータルコストを安くし、
ホテルのコストパフォーマンス良く見せ、収益が高く揚がるように見せ、
顧客を集めていたのである。
ホテルの場合も、最終的には目に見えなくなる構造と人件費を、
極力少なくすることで、総研に人を惹きつけていたといえる。
施主サイドは、特殊なノウハウを持った良いコンサルタントだと思い、
競って発注していた節も見受けられるが、手品の種を見てみると、
何とも原始的な方法でコスト削減をしていたのであり、
結局安全性を犠牲にして築かれたローコスト工法だったのである。
スーパーゼネコンであれ、大手建設会社、大手不動産会社でも、
名前で安心できる時ではない。
今や施工コストは安値横ばいであり、これを家電量販店同様に
3割4割安くするのは、無理があると考えるのが良識ある考えである。
これらの教訓より、「住まい」造りのために、
一品生産の住宅の施工業者としては、地元の手頃な規模の工務店が良い。
名前に胡座をかかず、地元の評判を大切にし、変な仕事をしないことが、
企業の立地点になるからであり、
トップの顔が見え、「住まい」にかかわる人達へ、
施主としての意思が伝わり易いからである。
結局人間性を見ることに繋がる。
人間性を見れば、意図的に問題を起こす人は、
必ず欠落点が見て取れるのである。
建設会社でも、設計事務所でも、デベロッパーでも、不動産会社でも、
結局自分で担当者の人間性を見て、
安心出来るかどうかを最終判断することが必要になる。
人任せにすると大きな痛手を被ることにもなりかねないのが、
現代の状況である。
人は、つい人間的尺度を無くしがちであり、
他人の意見や行動に左右されやすいものである。
利の感覚が人間本来の、人間性の感覚を鈍らせるのであり、
利とモラルとのバランスが取れた状態を保つのはとても難しく、
利に傾く傾向にある。
だからこそ、自分の人間性を磨き、
本物を見逃さないようにすることが大切なのである。
今回は以上です。
次回をお楽しみに!
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