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APSS設計事務所 菊池 です。
41・「家族の歴史を刻める家に!(民家再生は最適)」
◇地球環境に貢献する「住まい」を考えていますか?◇
http://www.apssk.com/meru/kekanmm35.html#A
自分で「住まい」造りを考えるための知識を、
メールマガジン(MM)としてお送りしています。
「住まい」造りに役に立つMMですので、楽しみながらお読み下さい。
前回までのメールマガジンをお読みになりたい方は下記からどうぞ。
◇メールマガジン目次http://www.apssk.com/kekanmeru00.html◇
41・「家族の歴史を刻める家に!(民家再生は最適)」本題です
日曜日、TVのビフォーアフターで民家再生の特集をやっていた。
青森・弘前の築70年の民家の大改造で、現在まで土間のある
生活をしていたことが、素晴らしいことだったが、
実際には不便極まりない家だった。
現代の住宅事情は、劇的に変化しており、設備も発展している。
その中で、その民家は隙間風も多く、設備は30年以上前のもので、
快適さは全くなかった。
民家の再生は、難しいと言えば難しいが、それは今まで使われていた、
歴史を持った建物を、どの程度生かすことが出来るかが問われるからであり、
一方で、中途半端な再生は、アンバランスな空間を作り出し、
快適さや空間の深みまでも殺してしまい、「住まい」に誇りを持つどころか、
破棄を早める結果にすらなることがある。
TVでの民家再生は、既存の古部材を大量に有効に使っており、
家族の歴史を伝える古部材が、要所で輝き優しい雰囲気を醸し出し、
設備も十分取入れ、好印象を与えていた。
藁葺き屋根の藁は、撤去せずに断熱材代わりに使い、
構造躯体は、増築部分を撤去し本来の建物部分のみにし、
再生をしている。
藁葺き屋根の藁は、囲炉裏の煙が使えない場合には、
カビや虫の問題が出ることがあり、撤去する場合が多いが、
費用不足の場合にはそのまま使用する場合もある、
屋根裏への通気を増やす等の対策を施した上で、
断熱材代わりに使うのが得策になる。
TVでの民家の増築部分を取り壊した後の建物の雰囲気は、
創建当初からのバランスのとれた形に戻り、
増築工事が外観を崩していたことが見て取れた。
再生後の外壁は、サイディング状の材料で覆われてしまい、
民家としての良さが、少し失われていたが、
費用のことを思えば、無理のないことかもしれない。
内部建具は当然生かして使われていたが、TV用にはインパクトが弱く、
取り立てて目立った建具はなかった。
家族の歴史を生かした、最高の部材は掘りごたつの縁を
新しい囲炉裏の縁に生かした造作かもしれない。
他に、流し台の縁が、洗面台の縁に蘇り、壁や床の青森ヒバは、
当然のように、床材として再生されていた。
田植え用の道具の六角は、照明器具として応用され、
階段の段板も、新しい廻り階段の踏板に再使用されていたし、
テーブルの足として、門構えの梁が生かされていた。
以前の基礎もヒバの古材と共に、庭のベンチとして再利用され、
歴史を伝える役割を果たしていた。
民家再生の良さは、住んでいる家族に歴史の重みを伝え、
受け継いでゆく価値のある建物だと思わせることにある。
受け継ぐことを決めた時点で、ゴミの発生が減ることになる。
さらに、「住まい」にかける費用が数世代に渡って減るので、
家族の生活を楽しむための費用が増える。
生活を楽しめる費用と時間は、家族や個人で、
趣味を持つ贅沢もでき、
無農薬栽培や有機栽培などを楽しむ余裕も生まれる。
室内の梁や柱も、今ではなかなか手に入らない、
重みと深みのある部材であり、壁や床、天井も
本物の古部材による時の経過を刻み込んだ空間を醸し出している。
ビフォーアフターの民家再生を見て思ったことは、
工業製品は、本物の材料に負けてしまい、見劣りがすることである。
現在では、都会も田舎も、サイディングがもてはやされており、
ハウスメーカーなどの影響で、新築当初は綺麗に見える
サイディングやビニールクロス、合板の付板フローリング材などが、
持てはやされ、昔の古部材は安物と思われているところもある。
しかし、TVで見ただけでも、外壁のサイディング状の壁材や、
ガルバリュームの屋根材、さらにアルミサッシュの窓も、
室内の本物の柱や梁と見比べると、えらく見劣りがする感じであった。
新しい材料でも、浴室や玄関に使った、十和田石は本物の材料であり、
柱や梁に見劣りしない、存在感を持っていた。
本物の材料の良さは、メンテナンスは必要だが、
時が経過しても材料の深みが内部からにじみ出てくるものであり、
深い味わいが出てくるものなのである。
現代の工業製品は、20〜30年も経つと、もう再生不可能であり、
塗装で誤魔化すしかなく、再利用しようとしても、
利用できる部分がないため、ゴミとして破棄するしか、
利用価値が無い材料と言える。
現在、残っている民家や古部材を使い、本物の家を造ることは、
今ならばまだ可能であり、それほど費用も高くならない。
技術を伝承している大工も結構いるし、左官や、塗装の
腕を持っている職人も集まるが、今後どのくらいの期間、
この技術が保たれるかは、判らない状況となってきた。
文化財的な技術は何時までも残るが、一般の民家に使える技術が、
妥当な費用で、本物の「住まい」を造れる時期は、
そう長くは続かない。
近い将来には、本物の材料と本物の技術を使った「住まい」は、
文化財並の費用を注ぎ込まないと、
出来上がらなくなってしまうのではないかと、
心を痛めているのは、私共ばかりではないだろう。
今回は以上です。
次回をお楽しみに!
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