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☆☆☆         【自分で防ぐ欠陥住宅】☆☆☆
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APSS設計事務所  菊池 です。


21・「住まい」のために、欠陥家族になることもある。


【自分で防ぐ欠陥住宅】です。
 自分で欠陥住宅を防ぐための知識を、メールマガジン(MM)としてお送りします。
 「住まい」造りに役に立つMMですので、楽しみながらお読み下さい。





前回までのメールマガジンをお読みになりたい方は下記からどうぞ。
◇メールマガジン目次◇





21・「住まい」のために、欠陥家族になることもある。の本題です。


マスコミでも有名な池内 ひろみ (離婚の学校主催)さんが、
私の書いたメールマガジンを紹介してくれましたので、そのメールマガジンの内容を、
このMMの読者の皆さんに紹介いたします。

 そのMMは、「住まい」と家族特に子どもとの関係を題材に書いたものです。
神戸須磨区で起こった酒鬼薔薇事件を題材に、彼の育った「住まい」と、
その「住まい」を家族がもっと親密に過せる「住まい」とする場合に、
どのような「住まい」のプランが考えられるかとの想定したものです。

 池内さんのコメントには、「すでに成人し、
社会の中で生きる酒鬼薔薇聖人の自宅を分析するのは、
残酷ではないかと思われる方もあるかもしれません。
でも、歴史に残る犯罪を犯し報道されたということの意味を考えるためにも、
風化させてはならないと思います。
 また、菊池氏のこのシリーズによる考察は、
住宅建築の専門家ならではの視点からだけでなく、
文化を背景とした深いものでもありますので、今
後もお願いして続けていただきたく思います。」 と付加えられています。
 この場を借りまして、シリーズを続けてゆくことを、考えたいと思っております。


 「少年犯罪の中で「住まい」の役割は?」

 少年犯罪、や離婚など家族生活と「住まい」が果たす役割につい
 について、犯罪を犯した少年の住んでいた「住まい」の間取りを
 例にして、話を進めて行きます。


 神戸の酒鬼薔薇事件はここで繰り返す必要の無いほど、世間を驚
 かせた事件です。
 ちょっとだけ概要を見てみますと、1997年の5月下旬に当時
 中学3年のS少年が、よく遊び相手にもなっていた、知的障害の
 ある当時小学6年の児童を殺害し、頭部をS少年の通っている、
 中学校の校門の前に置き、ゲーム感覚の犯行声明を出した事件で
 す。
 この少年Sは、なかなか捕まらず、1と月以上過ぎ第二の犯行声明
 を出し、近くでの異常犯罪者のリストから、以前にも女児を殺害
 したり、傷害を負わせたりしていたことから、S少年が浮かび上
 がり、逮捕されたのです。

 事件の概略は上記ですが、このメールマガジンの趣旨として、
 このような事件を起こした、S少年とその「住まい」の関係を見
 てみたいと思います。

 S少年は神戸市内のマンションに両親と弟2人の5人家族で住ん
 でいましたが、S少年が小学1年の時に祖母が1人で住んでいた、
 北須磨の一戸建て住宅に引っ越しました。

 そこでは、祖母を交えて一家6人の生活で、S少年も祖母に大切
 に育てられ、明るく闊達な子供だったといわれていますが、S少
 年が5年生になった時、祖母が死に、性格が、変化していったと
 報道されています。

 須磨で住んでいた一戸建ての「住まい」が、以下のA図です。
http://www.bekkoame.ne.jp/ro/apssk/kennkou/meru/kenmeru30.html

 間取りを見ますと、古いタイプの一戸建と思われますが、典型的
 田の字プランで、S少年の部屋は、2階の階段の登り切った所に
 入り口があります。
 その奥には弟達の部屋があり、1階には両親の寝室と、ダイニン
 グルーム、リビングルーム、キッチン、洗面室、浴室、そして玄
 関の脇にトイレがある間取りです。

 ダイニングルームが狭く、リビングルームが独立してダイニング
 ルームの奥にある、この間取りでは、両親との関係が良好な場合
 であっても、子供との交流の場所がありません。

 子供は本来親と居ることを願がっているものなのです。
 犬や猫など動物は子供のときは、本能的に親と居るのが自然であ
 り、安心できるため、親の影響範囲に居ることを欲しますし、親
 と居るだけで、楽しい事なのです。
 子供は本能的に親の保護の中にあることを望み、安心して過ごし
 たいと、願がっているものなのです。

 しかし、S少年の「住まい」の場合、子供が親と居る場所が狭く、
 親側に煩わしさが感じられる為、その感情を子供は敏感に感じ取
 ります。

 そのため、子供の感情は不安になり、楽しくない場所を敬遠して、
 自室に閉じこもることになるのです。
 子供は、家族に触れ合うことによって、精神的な免疫をつけ、集
 団の中で生活をしてゆける、精神力を身につけるのですが、免疫
 を付けるための触れ合い空間が無くなってしまうと、次の空間と
 して、自分だけが閉じこもる第二の安住空間へこもり、自分の世
 界を作ろうとします。
 それは、1人で過ごせる空間であり、精神的な葛藤が無い世界で
 すので、かえって自立への大きな妨げになります。

 精神の育成も、血液の免疫と同じことが言えるのです。
 母親の母乳による免疫も有りますが、普段触れる細菌には赤ん坊
 の時に、大いに触れて、風邪をひいたり熱を出したりして、血液
 の中に免疫細胞を作らなければ、以後生活して行くことが出来ま
 せん。

 精神の場合は細菌ではなく、人と触れ合うことで、精神的免疫を
 創り出すのですが、触れ合いの場を作るための空間が必要になり
 ます。

 一般的に、居間に階段を造るプランの場合、監視の目が行き届く
 と考える人が沢山居ますが、実は家族と触れ合うこと自体が、楽
 しさと不満とが共存し精神的葛藤が生じ、精神的免疫を創りだし、
 自立を促す場となるのです。

 親にとっても、子供にとっても、煩わしいことであり、
 また楽しいことになるのが、触れ合いの場なのですが、免疫を付
 けるための訓練だと判かれば、楽しい反面、嫌なことがあっても
 当然なことが、お解り頂けると思います。

 最初から、大きな独立した空間を子供に与えてしまっては、嫌な
 こともある触れ合いの場には、出てこなくなります。

 自分だけでいれば、嫌なことは避けられ、自分なりの楽しみを味
 わえるからです。
 人と触れ合うことは、楽しいこともあれば嫌なこともある、親と
 楽しいことを一緒に味わえることは、1人での楽しみより、2倍
 も3倍も楽しさが増すことが理解でき、精神的支えになります。

 このような精神的免疫を植えつけてから、個室を与えなければな
 りませんし、その個室の主も子供ではなく、親だとの認識を持た
 せてから、与える必要があります。
 それまでは、子供の部屋も共同か、親と一緒の部屋にします。

 さて、話を元にもどしますが、S少年の場合、5年生までは祖母
 が生きていたため、祖母との触れあいで、精神の安定を得ており、
 明るく成績も中の上程度の子供でしたが、5年生になった時に祖
 母を亡くし、触れ合いの出来る人がいなくなったようです。

 母親は専業主婦でしたが、2人の弟の世話をすることが大変だっ
 たのか、長男だから躾に厳しかったのか、ともかくS少年には口
 やかましく接しており、S少年をノイローゼ気味にしていたよう
 です。

 間取りでも判るように、S少年には2階の1室を与え、弟2人は
 2階の共同の大部屋です。
 トイレも玄関脇にあり、食事と風呂以外は家族と顔を合せなくて
 も済むのです。

 これでは、自然な触れ合いが出来ないばかりか、弟達に母を取ら
 れて、自室に直行と言うパターンになってしまうのも当然です。
 1階に弟達と一緒に遊べる広いスペースがあれば、家族の中で、
 楽しさを探すことも出来、大いに精神状態も変わったのではない
 かと思われ、誠に残念なことです。

 このS少年の「住まい」の場合、間仕切りの変更程度でどの様な
 触れ合いの空間が出来るか、ためしに考えてみたのがB図です。
http://www.bekkoame.ne.jp/ro/apssk/kennkou/meru/kenmeru30.html

 B図は、キッチン、WC、浴室等の水周りは全く変更していま
 せんので、費用はそんなにかかりません。
 階段をリビングルーム内に取り込んだため、親も子供もリビング
 ルーム経由で、動かなければならなくなります。

 子供室は3人共用であり親の寝室と同じフロアーですので、音や
 雰囲気が、お互いに感じられる空間と言えます。
 さらに、子供の成長に添って個室としての間仕切りが出来るプランです。

 家族の触れ合いが自然と出来、何時も家族が顔を合わせることが、
 普通の状態として感じられるようになります。

 リビングルームとダイニングコーナー、キッチンは1つの大きな
 空間になり、スペースとしての広がりが確保できる為、小さい頃
 からこのような空間があれば、子供達は安心して遊びながら親の
 確認が出来、親も家事をしながら、狭さを感じず大らかな気持ち
 で、子供たちに接することが出来るのです。

 人は、それぞれの個性もありますし、考え方も違います。
 したがって、やってみなければ判らない場合もありますが、少な
 くとも、B図のような間取りにしてあり、家族が自然に触れ合う
 ことが出来る、空間で暮らしていれば、他人の気持ちを思いやる
 心が生まれてきますので、親子関係が多少おかしな関係になった
 としても、ここまでの問題を起こすことは無かった筈です。

 家族には、嫌なことがあって当然なのです、嫌なことがあるから
 こそ、楽しいことがより楽しくなり、問題があった場合の処理能
 力(精神的免疫)が、創られて行くのです。


 今回は以上です。


 次回をお楽しみに!


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