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☆☆☆ 【自分で防ぐ欠陥住宅-03】☆☆☆
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APSS設計事務所 菊池 です。
03・「設計事務所にもご用心」
【自分で防ぐ欠陥住宅】です。
自分で欠陥住宅を防ぐための知識を、メールマガジン(MM)としてお送りします。
「住まい」造りに役に立つMMですので、楽しみながらお読み下さい。
「設計事務所にもご用心」
私も設計事務所を主宰していますので、設計事務所の悪口はあまり言いたくありませんが、
今回取り上げた欠陥問題では、設計事務所が主役を務めていますので、
事実をそのままお伝えすることにします。
設計事務所と施工会社が問題を起こした欠陥住宅の場合です。
ネット上でそのトラブルの全容がご覧になれます。
http://owlet.org/
さて概要ですが、自分の目指す医療を志し、個人の小児科医院を計画し、
古代ローマの石積み教会のような建物をイメージしたI医師がいました。
I医師の知り合いの医師が、一級建築士のA氏に頼んだ医院は、県の建築の賞を取った、
素晴らしい建物でしたので、I医師もその知り合いの医師が建てた、
医院の建物を見て気に入ったのでした。
I医師はそこで、A氏に設計を依頼し、A氏も再び賞が取れるような建物を目指して、
設計に取り組んでいったのです。
ここまでは、素晴らしい出だしだったのですが、A氏はイメージは描けるものの、
本当の設計が出来ないようで、ほとんどの図面を下請けの設計事務所に頼んでいたのです。
したがって、図面の製作に時間がかかり、全てが仕上がらない前に、
施工を始めてしまったのですが、その施工を請け負ったのは、
I医師の医院の融資をしてくれる銀行に推薦された、地場のC建設で、
設計担当のA氏とは、全く面識のない建設会社でした。
一般的にイメージで設計し、建設会社に任せるような設計の仕方は、
巨匠と呼ばれる偉い建築家がやる手法で、その場合は、
その建築家から良く仕事を引き受けている、パートナーのような建設会社に頼むのです。
パートナーのような建設会社の場合は、その建築家の考え方を飲み込んでおり、
さらに設計の至らない技術的な部分のフォローをしながら、施工を進めてゆくので、
問題が発生しないだけでなく、より良い建物になるのですが、
面識のない建設会社と中途半端な図面で、イメージだけをふくらませた場合には、
どの様なことになるのかが、この医院を欠陥医院にしてしまった、
根本的な原因だったのです。
さて話はもとに戻りますが、施工が始まっても、A氏はイメージを膨らませ続け、
建物の基本イメージであり、施主のI医師とで合意のあった、
古代ローマの石積み教会との雰囲気から、ギリシャ神殿のイメージに変貌させてしまい、
I医師の医院の建物を造り上げてしまったのです。
このイメージの問題だけであったのならば、大した問題になる欠陥建築には、
ならずにすんだはずですが、イメージを作り上げる過程で、構造的強度や、
雨漏りの原因となる、屋根や樋までも、技術的な裏付もなしに変更し、
技術的なサポートをするはずの、建設会社にも技術的なバックアップ体制が、
整っていなかったため、A氏に言われるままに、変更を受け入れたのでした。
A氏のように押しの強いタイプのデザイン志向の設計士が、イメージに拘った場合には、
多少の構造的問題や、雨じまいなどの、基本的建築性能を犠牲にしても、
デザインを優先させることがよくあります。
I医師の医院の場合のA氏は、賞を取りたいとの気持ちが先走っていたのだと思いますが、
構造的に重要な部分を、イメージの曲線の壁面にする為に犠牲にし、
軒先を美しく見せる為に、雨じまいを犠牲にし、雨漏りだらけで、
構造強度の物凄く不安な欠陥住宅を造ってしまったのです。
施工会社のC建設も、この欠陥建築に加担したのは確かなことです。
建設会社も、基本的建築性能に不安がある場合には、それを施主と設計者に申し出て、
施主と設計事務所と施工会社の三者で協議をし、基本性能を維持するよう、
技術的なサポートを考える必要があるのです。
そのようなサポートが出来ない場合は、いくら設計者が決めたことでも、
建物に対しては、技術者としての義務があるため、欠陥住宅にしてしまった場合には、
その建物の改修や補修をしなければならない義務が生じるのです。
このI医師のケースは、とても不幸なことに、設計者側も建設会社も、
建築の構造や雨仕舞いに対する基本技術に疎く、施工チームの中に、
これらの基本技術をしっかりと身に付けている人が、いなかったことなのです。
建築の技術は、最近特に飛躍的な進歩を重ねていますが、
基本の構造的な強度や雨仕舞いなどの考え方は、昔とあまり変わっていません。
奇抜なデザインをする場合には、より慎重に考えながら、
図面を何枚もスタディーする必要があり、時間もとてもかかることになります。
さらに、設計者1人のチェックでは、身びいきになるケースが多く、
抑止力が働かなくなるのです。
このようなケースでは、工事中に構造や雨仕舞いの問題点に気づき、
欠陥住宅から逃れるのは、大変に難しいものなのです。
設計監理を行っている設計事務所がいると、それ以上第三者検査などを付けるのは
難しいですし、役所においても、木造の二階建で小規模の建築の場合、
対外的な部分以外は、監理の建築士に任せるように法律がなっているのです。
したがって、防ぎ難い欠陥住宅であることは確かなのですが、
複数の目で欠陥建築になるのを防ぐことが出来る可能性は、
施工をする建設会社の選択方法にあったと言えます。
知人の医師の医院の設計をしていたことで、A氏に設計を依頼したのであり、
知人の医院が欠陥住宅であるとの情報がない事から考えて、
知人の医院がある程度無理をしている造りとは思われますが、
その建設会社であれば、設計士の意向をくんで、かつ建築の基本の技術的なフォローをして、
建設することが出来たかも知れません。
さらに突っ込んで考えてみると、知人の医院を施工した建設会社は
技術的なフォローのために、費用をそうとうつぎ込んだとも考えられ、
あまりA氏設計の建物を造りたくないと考えていたのかもしれません。
このような設計士を頼む場合には、気に入った建物に問題点が無かったかを
知人から聞くと共に、施工を担当した建設会社にも素直に設計士の内容を聞いてみると、
問題点が浮かび出てくる場合があります。
今回のI医院の場合でも、「住まい」造に関わる人が問題であり、
A氏のような設計士に頼んでしまった場合には、
欠陥住宅は避けられないのかも知れませんので、最初に会った時の印象を大切にし、
本当に建て主のことを考えて、設計してくれる事務所かどうかを、
自分で見極めなければなりませんし、施工においても施主の方を向いて、
建設に携わってくれる建設会社であるかどうかを、判断することが重要になるのです。
自分で防ぐしか方法がない、欠陥住宅に遭遇することもあるのです。
このI医院の場合でも、平成7年5月に設計がはじまり、平成8年の1月に竣工し、
直ぐに欠陥が発覚、裁判になって、平成13年の7月までの経過がHPにはでており、
その時点までは裁判は継続されていました。
続報がありませんので現在の状況は、はっきりしませんが、
ここまでで5年の歳月が経過しています。
いずれにしても欠陥住宅になると、解決に長い時間がかかることになります。
その間の、建て主の経済的及び肉体的、さらに精神的負担は
推測出来ないほど大きなものとなることが察せられます。
このような場合は、自分で欠陥住宅にならないように守るしかありません。
次回をお楽しみに!
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