◇◇「住宅性能表示制度」−04◇◇
◇◇◇ present by APSS・住まい研究所
APSS・住まい研究所の 菊池 と申します。
「品確法で住まいは守れるか?」のNO.09です。
(第三者検査については下記参照して下さい。)
http://www.bekkoame.ne.jp/ro/apssk/sannsya/sannsya1.html)
ここ3ヶ月ほどお休みをし大変失礼いたしました。
様々なことへの充電期間として、とらせて戴いていました。
品確法に関しましてはさらに突っ込んだかたちで考えて行こうと思っております。
今後ともよろしくお願い致します。
さて、今回は「品確法の性能評価」は全く任意の法律であり、
どのような使い方も可と言われている部分についてです。
以前にも書きましたように、品確法の中には1.「住宅性能表示制度」と
2.「住宅に関わる紛争処理体制」、3.「瑕疵担保責任の特例」の
3本の柱があります。
この中で、1.「住宅性能表示制度」と2.「住宅に関わる紛争処理体制」に
関しては、関連した関係にありますが、
3.「瑕疵担保責任の特例」(新築住宅への10年の瑕疵担保期間の義務付)は
全く別物の法律と考えても差し支えない法律です。
3.の「瑕疵担保責任の特例」は義務ですが、1.「住宅性能表示制度」と
2.「住宅に関わる紛争処理体制」は任意であり、2.の「住宅に関わる
紛争処理体制」が1.の「住宅性能表示制度」を補完する関係になっています。
そこで、任意の1.「住宅性能表示制度」と2.「住宅に関わる紛争処理体制」に
関して、どこが任意かと言うことについて説明してゆきたいと思います。
1.の「住宅性能表示制度」では、「日本住宅性能表示基準」を設けて、
この基準に則して設計住宅性能評価を行い、その設計住宅性能評価に添って
建設住宅性能評価を行うことになっています。
この性能評価を行う機関は、指定住宅性能評価機関と言いますが、一定の基準を
満たせば、財団法人等のような公益法人だけでなく、株式会社でも
指定住宅性能評価機関になることが可能で、ハウスメーカーやプレハブ会社、
大手ゼネコン等の出資も認められています。
現状ではハウスメーカー系や建材会社系の機関や大手ゼネコンや
電力会社関連の機関、さらにそれらの大手会社の相乗り機関等と財団法人系の
機関が設立されており、全国で70機関程度になっているそうです。
その機関で評価した物件は現在まで設計住宅性能評価段階が全国で
3000件程度あるそうですが、まだ建設住宅性能評価を受けた物件は1軒も無い
(2001年2月段階)とのことです。
任意性の考え方は、設計レベルで止めても良いし、建設住宅性能評価まで
クリアーするように徹底してやっても良いし、その途中で止めても良いと言う
全く任意に段階を選択出来ることです。
さらに、日本住宅性能表示基準に準じる、独自の基準を作り、
「○○住宅性能基準劣化対策等級3(日本住宅性能表示基準劣化対策等級3同等)」
などの、表現も自由(日本住宅性能表示基準と別物との区別の表示必要)に
出来ることです。
したがって、もし必要ならば私共でも、「APSS住まい性能基準」
(日本住宅性能表示基準準用)などの使い方が可能となります。
要するに、住宅性能評価に関しては、使用しても良いし、使わなくても良く、
「日本住宅性能表示基準」と別物との区別の表示をすれば、独自の評価基準でも
「日本住宅性能表示基準」の何処の基準と同等の基準として設けたと言うことが
出来ることになります。
ただし、条件として考慮しておかなければならないことは、
独自の性能評価基準の場合は、指定住宅性能評価機関での評価を受けられないし、
評価書も受けられないと言うことです。「日本住宅性能表示基準」に基づいて
指定住宅性能評価機関に申請した場合にのみ、性能評価マークの付いた
評価書を受けられるのです。
また、「設計住宅性能評価を受けなければ、建設住宅性能評価を受けることが、
出来ません」し、さらに「建設住宅性能評価を受ないと、住宅に関わる
紛争処理体制の恩典(安い費用で迅速な紛争の処理)を受けることは出来ない」
と言うことです。
このように、割と自由に使用することが可能な法律ですが、
まだまだ本格的に運用されているわけではないので、実際の使用時で良い面と
問題点との洗い出しが不足しており、まだ法律としての評価を出来る段階では
ありませんが、町の工務店等にとっては、なかなか取っつきにくい基準であり、
法律であることは確かです。
なぜならば、この評価を受けるためには、図面類の整備が確認申請ノミより
数倍必要になります。図面が多くなることは、別に悪いことではありません。
むしろ必要なことであり、建て主にとっては喜ぶべきことですが、
設計に、より費用がかかることも認識しなければいけないと言うことです。
設計費用は安くします。無料で設計しますとの言い方が、不自然であることが
良くお解りになると思います。
また、施工中の変更はよくありますが、その変更が非常にしづらくなります。
性能評価の内容に関わる変更の場合は、設計評価からやり直しですので、
時間ばかりかかってしまったり、再評価の申請が必要になり、評価費用が新たに
必要になったり、工事を一時中断しなければいけなくなったりする可能性が
非常に高くなると言えます。
これらの処理においては、町の工務店の処理能力はあまり高くありません。
建て主の言うことを良く聞いてくれる、良心的な経営ほど、設計や事務経費を
節約しているからです。
設計に時間と費用をかけてじっくり考えた住宅ならば、変更も少なく、
性能評価に影響のない部分の変更程度で済むと思いますが、
ハウスメーカーの設計のように時間と勝負している場合には、
規格住宅ならば良いでしょうが、自由な間取りでオーダーメードの設計方式では
とても無理な考え方です。
ともかく、性能評価基準は自由に使える、任意の基準であり、
任意であるからこそ建て主も、どの項目のどの等級が必要で、
どの項目が不要か等の判断が出来る知識を、身につける必要があると言うことを
肝に命じなければならないのです。
今回は以上です。
ありがとうございました。
次回の予定は
個別の項目について、良い点や問題点を考えてみる予定です。
久しぶり配信へのご熟読感謝致します。
次回からも宜しくお願い致します。
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