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◇◇「住宅性能表示制度」−01◇◇

◇◇◇                present by APSS・住まい研究所


APSS・住まい研究所の 菊池 と申します。
「品確法で住まいは守れるか?」のNO.06です。

「住宅性能表示制度」−1

(第三者検査については下記参照して下さい。)
http://www.bekkoame.ne.jp/ro/apssk/sannsya/sannsya1.html)
 住宅性能表示制度が10月1日より施行されました。
新聞等で1、2度記事が出ていましたので、目に留めた方もいると思います。

 ●住宅性能表示制度には2つの仕組みがあります。

 @住宅の性能を明きらかにし、その性能が達成された住宅を引き渡す仕組み。
 A、@の制度を利用して評価を受けた住宅がトラブルになった場合、裁判以外の
   紛争処理体制を整備して、迅速に解決が出来る仕組み。
 以上の2つの仕組みが主な内容です。

 @に対しての背景としては、今までの住宅は、ハウスメーカーやプレハブメーカー
  工務店や大工さんがそれぞれ施工をしており、基本的な住宅の性能が明らかで
  なかった点が建て主に解りずらかったのを、共通のルールの上で同じ性能を
  有する住宅として、評価出来るようになりました。
   メーカーや工務店が勝手に表示している今までの性能が、性能表示制度の
  性能項目の中でどのレベルに相当するのかが解り、一般的な評価として比べる
  ことが可能になったことです。
   大工さんが施工した建物でも、注文すれば最高評価の性能の住宅が保証
  されることになります。

  また、大工さんが最高評価の性能の住宅を建てた時にこれを評価する機関が
  ありませんでした。性能表示制度では、図面の段階と、施工期間との両方の
  時期でチェックをし評価の証明をしてくれる、
  半公的評価機関が設立されました。

 Aに対しての背景としては、今までの住宅のトラブルでは、建設紛争審査会
  または、裁判に因るものでしたが、建設紛争審査会は施工者寄りの傾向が強く
  なかなか合意に至りませんし、裁判では時間も費用もかかることとなり、
  消費者(建て主)の負担はかなりのものでした。

   したがって、@の評価を受けた住宅に対しては、新たに住宅紛争処理機関を
  整備し、費用も安く期間も短く迅速に処理することを前提としました。

  ● 性能表示制度の流れ

☆設計者が住宅供給者と別の場合
住宅取得者

設計者に設計の依頼

性能表示住宅の設計

指定住宅性能評価機関に申し込み

設計住宅性能評価書(設計段階での性能の証明書)の交付

住宅供給者と設計住宅性能評価書を添付した契約書で工事契約をする。

住宅供給者は性能評価住宅として施工

住宅供給者のチェック(施工管理として)

設計者のチェック(設計監理として)

指定住宅性能評価機関のチェック(竣工検査を含めて4回)

建設住宅性能評価書(住宅性能表示マーク付)の交付

性能評価住宅として竣工(完成)


☆設計者が住宅供給者と同一(主にハウスメーカーや建売等)の場合
住宅取得者

住宅供給者に設計の依頼

性能表示住宅の設計(設計段階では建物の工事契約は出来ない)

指定住宅性能評価機関に申し込み

設計住宅性能評価書(設計段階での性能の証明書)の交付

住宅供給者と設計住宅性能評価書を添付した契約書で工事契約をする。

住宅供給者は性能評価住宅として施工

住宅供給者のチェック(施工管理と設計監理が同一)

指定住宅性能評価機関のチェック(竣工検査を含めて4回)

建設住宅性能評価書(住宅性能表示マーク付)の交付

性能評価住宅として竣工(完成)


☆住宅のトラブルが発生した場合
性能評価住宅のトラブル

住宅取得者及び住宅供給者

指定住宅紛争処理機関等で受付

あっせん、調停、仲裁による処理

住宅取得者及び住宅供給者の両者の合意が得られない場合

民事裁判による処理

以上のような流れになります。

 ● 注意点として)

  1.建設住宅性能評価書の性能は引渡後何年かで性能が低下しないことは
    保証していません。
    つまり、検査時点の性能の保証であり、その後の性能低下については
    分かりませんとの考え方です。

  2.住宅性能表示制度は選択制であり、義務ではないと言うことです。
    住宅取得者と住宅供給者との合意があって初めて指定住宅性能評価機関に
    申し込みをすることになります。
    上記の流れの中ので「設計者が住宅供給者と同一(主にハウスメーカーや
    建売等)の場合」にも示しましたが、この制度を使用する場合は、
    設計契約と工事契約が同時には結べません。
    ハウスメーカーや建売業者等は、なるべく早く工事契約をしたいと
    望んでいますので、ハウスメーカーや建売業者等はこの制度を
    使いたがらない会社が多いのではないかと思われます。
    性能表示部分は別途などの、含みを持った契約ならば出来そうですが、
    費用が大きく変わることを覚悟しなければなりません。

  3.この制度の対象は現在のところ、「新築住宅」です。
    中古住宅は含まれません。
    また、共同住宅や店舗や事務所との併用住宅は含まれます。
    もう一つ対象外になるのが、検査済み証が発行されない住宅です。
    確認申請は取りますが、室内規定や駐車場等が建築基準法をクリヤー
    出来ずに、検査済み証が出ない住宅が多くありますが、
    その場合は住宅性能評価の申し込みをし検査を受けても、
    「建設住宅性能評価書」は交付されなくなります。

今回は以上です。
ありがとうございました。

 次回の予定は@構造の安定、A火災時の安全、B劣化の軽減、
C維持管理への配慮、D温熱環境、E空気環境、F光・視環境、
G高齢者等への配慮、H音環境の9つの「項目別性能」についてです。


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