![]() RC造の建物 |
ただ、欠点としては室内環境が人工的になり過ぎる感じがある点、 コンクリート自体が硬質な感じを人間に与え、軟らかい雰囲気が出しにくい点、 が問題点と考えられます。 また、ドイツのノイフェルト建築大辞典によると、人間の生物学的見地から見て、 鉄筋から発生する微量の磁気や、コンクリートから発生する微量の放射線が、 人体に影響を与える可能性が高い、との記述があります。 人は有史以来、木や植物、土、石、毛皮等の住まいには住んできましたが、 人工の材料である、RC住宅に住み始めて200年も経っていません。 静岡大学グループのマウスの実験でも木製ケージ、と金属製ケージ、 鉄筋コンクリート製ケージとで、マウスを育てた結果、生存率が金属製で41%、 RC製ではたったの7%でしかなく、 木製ケージで育てたマウスの生存率は、85%もあったとの実験結果もあります。 マウスの生存率の実験から、色々な要素を差し引いて考えても、 RC造があまり人の体には良く無さそうだとの、感じがします。 したがって、RC住宅を選ぶ場合は、RC住宅を選ぶ為の、 はっきりとした目的を持った場合にするのが良さそうです。 目的としては、耐火性能が非常に大切な場合、3階建て以上の住宅、 カーブの面や変形の住宅等の建物を造りたい場合です。 |
![]() 戦後の木造建物 | なぜか? まず木材が一番人に馴染み易い点が上げられます。 RC造の項でも少し記述しましたが、静岡大学グループの研究は、 極端と言うことも出来ますが、生物が生きてゆくうえでの環境は、 なるべく自然由来の環境で「住まい」を造るのが良いことを、示しています。 生命の起源は水が存在することですが、水の次には水と炭酸ガスを 生命維持活動に使える植物が発生し、植物を食料とした、草食動物が続き、 さらに肉食動物が現れ、雑食動物となり、最後に人が発生してきたと 考えられています。 どの動物も森の中を棲家として生活し発展してきた歴史から、 植物由来の環境から、人は生命維持の基本となる酸素を取り入れ、 エネルギーを得てきたのです。 |
![]() 風通しの良い神社建築 | しかし、古来からの神社・仏閣の耐久性が良かったのは、 躯体全体が風(通気)されていたからです。 昔の神社・仏閣は壁の中に隠される柱や梁は無く、全ての構造材が、 屋外か室内や床下、屋根裏の通気のある場所に取付けられており、 風(通気)にさらされていない、澱んだ空気の充満した壁の中にあるような、 構造材は無かったのです。 風(通気)にさらされていることが、木材の耐久性を高める為に、 本当に必要な不可欠の条件だったのです。 従ってスパイラルエアーシステム「住宅」にとって、 可能となる工法は「在来軸組工法」であり、 さらにスパイラルエアーシステム「住宅」にする為には、断熱材や梁、根太、 床板等の工夫をして、壁の中も安定した、通気が出来るようにする必要があるのです。 スパイラルエアーシステム「住宅」は、家族が自分の感覚に応じて 窓の開け閉めや、住環境のコントロールを自由に出来、快適な「住まい」を気楽に 楽しみ、維持ができる空間のことです。 |
![]() 室内も外部も風が流れる戦前の木造建築 | しかし、ここ20〜30年でこの国の生活は贅沢になり、 何時も一定温度の環境になっている室内が、求められるように成ってきました。 火鉢や、まきストーブ、石油ストーブの時代は、熱の来る側だけが暖かく、 部屋全体が暖かい状況になくても、我慢が出来ました。 まして、冷房などが戸建住宅に必要になるなどとは、思ってもいなかったのです。 従って、壁の中に結露が起きるなど考えられないことでした。 普通に住宅を建てたときの隙間が、十分な通風の役目をはたしていたのです。 夏、冬共に空調を使い、壁に断熱材を入れるようになって、 壁内結露が起こり、カビ、ダニ、腐朽菌、白蟻等の被害が、圧倒的に増えたのです。 本来は通風の多い昔に戻れば良いのですが、 それでは「住まい」の快適性は得られません。 室内環境を空調により、人工的に創り出した現代の住宅では、躯体(構造)部分の、 耐久性を長く維持する為には、室内の空気を利用した風を使うしか無いのです。 |
|