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◆         健康と住まい−29  ◆◆◆
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朽木 醒(くちき あきら)と申します。

健康と住まいの29回目になりました。



29・「住まい」を多くの工法から選ぶには?-3

今回は、「住まい」を多くの工法から選ぶには、の最終章です、
混沌とした工法の中で、最適な「住まい」の選び方があきらかになって来ます。


4.鉄筋コンクリート造(RC造):
 鉄筋コンクリート造とコンクリート系プレハブ工法は材料がほとんど同じであり、
性能も耐火性、耐久性、気密性に優れており、断熱性が悪いのも同様ですが、
違いは工場生産率が大きく違う点にあります。

 この違いによって生じる長所、欠点は、工場生産性の低いRC造はプランとしての
自由度が高くなりますが、現場での作業が多くなる分コストアップになる。
 工期も長くなり、現場での品質管理や施工監理も大変ですので、
品質の安定性からみても、RC造が劣ります。

 しかし、住み心地から考えると、プランの自由度はとても大切な要素となります。
 敷地が狭い場合や、変形の敷地に建てる時、またこだわりを持った生活を
実現する為には、コスト、工期、品質の安定性をある程度犠牲にしても、
防火性能があり、自由な設計が出来るRC造にすることがあるのです。

 但し、結露による、カビやダニはRC造の断熱性の悪さを考えると、
避けられません。
 コンクリート系プレハブ工法の項でも記述しましたが、
コストアップにはなりますが、外断熱工法にすると、結露やカビ、
ダニの害から逃れられ、さらに夏冬の熱によるコンクリートの膨張、
収縮の変化もほとんど無くなり、耐久性能の大幅アップと、
省エネルギーの効果と供に、室内の快適性も得られます。 





RC造の建物
ただ、欠点としては室内環境が人工的になり過ぎる感じがある点、
コンクリート自体が硬質な感じを人間に与え、軟らかい雰囲気が出しにくい点、
が問題点と考えられます。

 また、ドイツのノイフェルト建築大辞典によると、人間の生物学的見地から見て、
鉄筋から発生する微量の磁気や、コンクリートから発生する微量の放射線が、
人体に影響を与える可能性が高い、との記述があります。

人は有史以来、木や植物、土、石、毛皮等の住まいには住んできましたが、
人工の材料である、RC住宅に住み始めて200年も経っていません。

 静岡大学グループのマウスの実験でも木製ケージ、と金属製ケージ、
鉄筋コンクリート製ケージとで、マウスを育てた結果、生存率が金属製で41%、
RC製ではたったの7%でしかなく、
木製ケージで育てたマウスの生存率は、85%もあったとの実験結果もあります。

 マウスの生存率の実験から、色々な要素を差し引いて考えても、
RC造があまり人の体には良く無さそうだとの、感じがします。
 したがって、RC住宅を選ぶ場合は、RC住宅を選ぶ為の、
はっきりとした目的を持った場合にするのが良さそうです。

 目的としては、耐火性能が非常に大切な場合、3階建て以上の住宅、
カーブの面や変形の住宅等の建物を造りたい場合です。


5.鉄骨造(S造):
 鉄骨造とは、一般に重量鉄骨造での住宅を指します。
 軽量鉄骨の場合は前に記述したように、
ほとんどが鉄骨系プレハブ工法での住宅になります。

 鉄骨造住宅はあまり多くありませんが、RC造に比べて軽量な点、
柔軟な構造になる点、スパン(柱の間隔)を大きく出来る、
工期もRCより少し短い点などが特徴です。

 敷地の地耐力が少なく、あまり重くない住宅が必要な場合や、
大きいスパンが欲しい建物の場合が、S造を選ぶ根拠になります。
 外壁はALC板やセメント押出成型版等の、躯体の動きに追随する必要があり、
工場生産の壁材が一般的ですが、防水材や目地シール材等の発達で
耐久性も大分良くなってきています。

 ただし、鉄骨も熱伝導率が高いので、結露の可能性が高く、
断熱材をどうするかと、換気を如何にするかが、ポイントになります。
 RC造の時にも記述した、外断熱工法にすれば、気候による温度変化からの、
躯体に与える伸縮等の影響を少なく出来、「住まい」としても、
住み心地がよくなります。
 欠点はRC造に比べて少し軟らかく、プランの自由度が低い点です。


6.コンクリートブロック造:
 コンクリートブロック造は現在では、非常に少ない工法です。
 特徴としては、RC造の壁構造と同様の構造形態として扱われており、
構造強度としてもRC造壁構造と同程度の基準になっています。
 したがって、違いは型枠の量が少なく、工場生産品のコンクリートブロックを、
壁に使う点にあります。

 特性としても、RC造とコンクリート系プレハブ工法との中間に位置する工法と、
考えれば判りやすいと思います。
 壁の両面型枠を多量に造り難い敷地や、RC造より工期が多少短く出来る点、
などが長所となります。
 コストの面でもRC造よりは経済的ですが、他の工法に比べれば高くつきます。
その他の、長所短所はRC造壁構造とほとんど同じ特性を持ち、耐火性、
気密性は良いのですが、断熱性が落ちます。

 断熱材の工夫が必要で、外断熱工法を応用できれば、室内環境的には、
満足できる「住まい」になる可能性はあります。
ただし、プランの自由度においては、RC造に大分劣りますので、
なぜブロック造にするのか、この場合も「住まい」の目的をハッキリさせてから、
選択する工法だといえます。


7.スパイラルエアーシステム「住宅」はどの工法で建てると良いか:
 スパイラルエアーシステム「住宅」は、換気システムを最大限効率的に利用した、
基本として在来木造軸組工法を使い、システムを創りあげます。





戦後の木造建物

 なぜか? まず木材が一番人に馴染み易い点が上げられます。
 RC造の項でも少し記述しましたが、静岡大学グループの研究は、
極端と言うことも出来ますが、生物が生きてゆくうえでの環境は、
なるべく自然由来の環境で「住まい」を造るのが良いことを、示しています。

 生命の起源は水が存在することですが、水の次には水と炭酸ガスを
生命維持活動に使える植物が発生し、植物を食料とした、草食動物が続き、
さらに肉食動物が現れ、雑食動物となり、最後に人が発生してきたと
考えられています。

 どの動物も森の中を棲家として生活し発展してきた歴史から、
植物由来の環境から、人は生命維持の基本となる酸素を取り入れ、
エネルギーを得てきたのです。

 鉄やコンクリートには磁気や放射性物質などの、ある種の有害物質を、
放散している可能性が高いのです。
 これらの材料の生体との相性を考えると、木造は人の生命維持と精神の安定に、
最良の環境を提供しているのです。

 二番目の理由は、木造の中で躯体の木材を長く使えるような、
耐久性を考えられている工法は、どれかと考えれば判り易いと思います。
 現在の木造住宅では、在来軸組工法、2x4工法、木質系プレハブ工法が主です。
 この中で、本当に長期的な耐久性を考えられる工法は在来軸組工法しかありません。
 2x4工法、木質系プレハブ工法共にパネル工法であり、
壁の中に通気が出来るように考えられて、創り出された工法ではありません。

 現在の住宅は在来軸組工法でも、梁や根太、床材、天井材等によって、
壁の中の通気が出来ない工法が、沢山あります。





風通しの良い神社建築

 しかし、古来からの神社・仏閣の耐久性が良かったのは、
躯体全体が風(通気)されていたからです。
 昔の神社・仏閣は壁の中に隠される柱や梁は無く、全ての構造材が、
屋外か室内や床下、屋根裏の通気のある場所に取付けられており、
風(通気)にさらされていない、澱んだ空気の充満した壁の中にあるような、
 構造材は無かったのです。

 風(通気)にさらされていることが、木材の耐久性を高める為に、
本当に必要な不可欠の条件だったのです。

 従ってスパイラルエアーシステム「住宅」にとって、
可能となる工法は「在来軸組工法」であり、
さらにスパイラルエアーシステム「住宅」にする為には、断熱材や梁、根太、
床板等の工夫をして、壁の中も安定した、通気が出来るようにする必要があるのです。

 スパイラルエアーシステム「住宅」は、家族が自分の感覚に応じて
窓の開け閉めや、住環境のコントロールを自由に出来、快適な「住まい」を気楽に
楽しみ、維持ができる空間のことです。


 それには、住んでいる家族とそのシェルター(防護壁)である、
「住まい」自体も健康でなければなりません。
 その健康を維持するために、必要なのは風なのであり通気なのです。
 昔から日本の建築では、最大限に風を取り入れてきました。
 そのため、「住まいは夏を旨とすべし」との言い伝えもありましたし、
開放的な在来軸組み工法が、日本の風土に適した工法として、
受け継がれてきたのです。





室内も外部も風が流れる戦前の木造建築

 しかし、ここ20〜30年でこの国の生活は贅沢になり、
何時も一定温度の環境になっている室内が、求められるように成ってきました。

 火鉢や、まきストーブ、石油ストーブの時代は、熱の来る側だけが暖かく、
部屋全体が暖かい状況になくても、我慢が出来ました。
 まして、冷房などが戸建住宅に必要になるなどとは、思ってもいなかったのです。

 従って、壁の中に結露が起きるなど考えられないことでした。
普通に住宅を建てたときの隙間が、十分な通風の役目をはたしていたのです。

 夏、冬共に空調を使い、壁に断熱材を入れるようになって、
壁内結露が起こり、カビ、ダニ、腐朽菌、白蟻等の被害が、圧倒的に増えたのです。

 本来は通風の多い昔に戻れば良いのですが、
それでは「住まい」の快適性は得られません。

 室内環境を空調により、人工的に創り出した現代の住宅では、躯体(構造)部分の、
耐久性を長く維持する為には、室内の空気を利用した風を使うしか無いのです。

 居住する家族の健康を維持する為には、今まで何度も述べてきたように、
新しい空気の供給が不可欠です。
 室内に供給された空気は、一般的には汚れた空気として、
そのまま、捨てられてしまいます。
 その空気には、空調機で熱を付加されており、人の呼吸や水蒸気も含まれています。
 熱だけを回収して、あとは排気処理するのが最良の使い方です。

 この通気を大いに利用し、人も「住まい」も共に健康を維持し、
快適な「住まい」を、創り出すための通気のシステムが、
スパイラルエアーシステム「住宅」なのです。

 今回は以上です。



 「外断熱スパイラルエアーシステム住宅」のページです。 apssのhp参考にしてください。 http://www.bekkoame.ne.jp/ro/apssk/kennkou/kennkou1.html

ありがとうございました。


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