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◆         健康と住まい−23     ◆◆◆
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◆◆◆◆                 present by apssk


朽木 醒(くちき あきら)と申します。

健康と住まいの23回目になりました。

 「快適空間と断熱材の関係は?」

 断熱材についてもう一度考えたいと思います。
 断熱材が「快適住まい」の重要な要素の一つと言われるようになってきています。
 しかし、技術の進歩と共に断熱材の種類も増え何をどのように使えば良いのかが、
とても判りづらくなってしまいました。
 さらに、外断熱と内断熱との考え方も出てきて、プロでも迷うことがあります。

 まずは、断熱材の工法として、外断熱と内断熱と言われる2つの工法があるります。
 この外断熱と内断熱との考え方は、実際には建物の構法によって、異なってきます。
 構法としては、大きく分けて、木造、RC(鉄筋コンクリート)造、鉄骨造、
前記3つの混構造があります。

 木造では、外張断熱工法(一般的に外断熱)、充填断熱工法(一般的に内断熱)
と本来は言われます。
 RCでは、外断熱工法と内断熱工法と言い、本来RC造のとき使われます。
 鉄骨造では、外張断熱工法(一般的に外断熱)、充填断熱工法(一般的に内断熱)
言われ、木造と同様です。
 混構造ではRC部分と、その他の部分では呼び名が違ってくます。
 以上の呼び方の違いがあり、私は一般的な認識や混構造の場合も考慮して、
外断熱と内断熱との呼び名を使用しています。

 ちなみに、外断熱と内断熱の長所と欠点をあげておきます。
 断熱方法の違いによる長所と短所
内断熱−−−−−−−−−−−外断熱
費用が安い−−−−−−−− 費用は少し高め
施工が簡易−−−−− −−−施工性は足場があれば容易
材料が豊富−−−−− −−−使えない材料もある
内部結露がある−−−−−− 内部結露は無い
設備部分での隙間多い−−− 設備部分での隙間ほとんど無し
柱・梁による分断あり −−−柱・梁による分断無し (ヒートブリッジ小)
改修・修繕時の配慮大−−−−改修・修繕時の配慮、外壁以外小
すきま風多い−−−−−−−−すきま風少ない
室別空調が通常−−−−−−−住まい全体空調可能
柱・梁の通気不足耐久性小−−柱・梁の通気多い耐久性大
上記のような長所、欠点がそれぞれにあります。
 材質としてはどのようなものがあるのでしょうか?
材料−−−−価格比較−熱伝導率(小が良)−結露状況−密度−−−使用状況
グラスウール−−安価−−0.050W/mK−−可能性大−−10kg/u−一般的木造住宅
グラスウール−−安価−−0.045W/mK−−可能性大−−16kg/u−一般的木造住宅
グラスウール−−少高−−0.038W/mK−−可能性大−−24kg/u−高級木造住宅
グラスウール−−少高−−0.036W/mK−−可能性大−−24kg/u−高級木造住宅
吹込グラスウール−−少高−−0.052W/mK−−可能性大−−13kg/u−一般木造住宅
吹込グラスウール−−少高−−0.040W/mK−−可能性大−−30kg/u−高級木造住宅
ロックウール−−少高−−0.038W/mK−−可能性大−−30kg/u−高級木造住宅
ロックウール−−少高−−0.036W/mK−−可能性大−−50kg/u−高級木造住宅
ビーズポリスチレン−−中高−−0.037W/mK−−可能性小−−15kg/u−高級木造住宅
ビーズポリスチレン−−中高−−0.031W/mK−−可能性小−−30kg/u−高級木造住宅
押出ポリスチレン1種−−中高−−0.034W/mK−−可能性小−−20kg/u−外断熱木造、RC
押出ポリスチレン3種−−中高−−0.024W/mK−−可能性小−−20kg/u−外断熱木造、RC
硬質ウレタン1種−−中高−−0.024W/mK−−可能性小−−45kg/u−外断熱木造、RC
硬質ウレタン2種−−中高−−0.023W/mK−−可能性小−−45kg/u−外断熱木造、RC
吹付硬質ウレタン−−中高−−0.022W/mK−−可能性小−−25kg/u−断熱補助、RC
ポリエチレン−−中高−−0.038W/mK−−可能性小−−20kg/u−使用少ない
フェノール−−中高−−0.033W/mK−−可能性小−−45kg/u−外断熱木造
セルロスファイバー−−大高−−0.040W/mK−−可能性小−−45kg/u−高級木造住宅
炭化発泡コルク−−大高−−0.044W/mK−−可能性小−−?kg/u−高級木造住宅
炭酸カルシュウム発泡−−大高−−0.037W/mK−−可能性小−−?kg/u−不燃材
ウール断熱材−−大高−−0.045W/mK−−可能性大−−?kg/u−自然素材


 その他にも、複合材など、本当に沢山の材料が出回っています。

 この中で、繊維系のグラスウールやロックウールなどは、壁の中に充填して、
使用しますので、多少の隙間が出来ます。
 高気密にする場合は、プラスチックフィルムをPBの下に張って気密性能を上げます。
 この繊維系材料が、壁内結露を起こしやすい断熱材です。
 地域によって必要性能が違いますが、必要性能に満たない(厚さが足りない)
場合や、詰め込みすぎで通気路が不足する場合などに結露の可能性が出てきます。
 ポリスチレンフォーム、硬質ウレタンフォーム、ポリエチレンフォーム、
フェノールフォーム等はプラスチック系の断熱材ですので、火に弱く、燃えると
有毒ガスを発生させます。
これらの材料を使用する場合には、建築的に燃えにくくするような配慮が必要です。
中ではフェノールフォームが燃えたときの有害性が一番少ないようですが、
費用も高くなります。

 これらの断熱材は外断熱用の断熱材として開発されたものも出ており、
外断熱用の施工システムも出来上がっています。
 主にプラスチック系の断熱材が外断熱工法に向く断熱材で、そのほかにも
炭化発泡コルク板や炭酸カルシュウム発泡板なども使用可能です。
 炭化発泡コルク板は燃えにくく、自然素材で有毒ガスの発生や、
化学物質汚染などの心配は有りませんが、高価です。
 炭酸カルシュウム発泡板は不燃認定材料で燃えにくく、
有毒ガスの発生も非常に少ないのですが、やはり高価です。

 セルロスファイバーは自然素材ですが、紙の綿のような材料ですので、
ゴミが増える可能性と、防カビ等のためホウ酸が多量に含まれているため、
ホウ酸の被害を受ける可能性もあり、価格も高価です。
 ウール断熱材もホウ酸が含まれている材料もあり、高価ですが、
自然素材ですので、安全性は高そうです。この2つは外断熱には不向きです。
 以上のような、断熱材の中から自分の住まいに合った、
断熱材を探さなければいけません。
十分に研究して、費用なのか、快適性なのか、自然素材の安全性なのか、
バランスなのか考えてみて下さい。

 他に、外断熱で木造住宅を建てている、ハウスメーカーを見てみましょう。
 最近一番広告等に良く出てくるのがNホームです。
 外断熱と集成材を構造体に使用した剛構造木造を特徴としています。
 Nホームではポリスチレンフォーム厚さ50mmを使っているようです。
 ポリスチレンフォームはウレタンフォームやフェノールフォームより
多少断熱性能が低いだけで、ほとんど変わりがない断熱材です。
 厚みも50mmで十分効果ある使い方です。
 但し基礎の断熱材の使い方が、基礎と耐圧盤を生かす
断熱システムになってない部分が残念なところです。
 Nホームの床下に関してはまだ、研究されていないと考えられます。
 もう一社、古くから外断熱を手掛けている、Iハウスの場合も、
ポリスチレンフォーム厚さ50mmを使用しています。
 したがって、Nホームとほとんど変わりがありません。
 ただ、Iハウスの方が気密性能に力を入れています。
 1Cu/u以下の気密性を達成しているのは、立派です。
 しかし、基礎に関しての扱いはNホームと同様で、疑問を感じています。
 外断熱をうたっているメーカーは、現時点では外断熱の良さを、
研究したメーカーでありと快適住居に気を使っているメーカーと言えると思います。

 「外断熱スパイラルエアーシステム住宅」の場合は、快適性にターゲットを絞り、
快適環境を自由な住まい方で得られるように考えています。
 間取りや機能性は設計事務所が直接設計しますので、使い勝手も良く、
住み易い「住まい」を、設計者と共にめざしている「建て主」の方にのみ、
提供する「住まい」なのです。
 現在使用しているのは、ウレタンフォームとフェノールフォームですが、
建物と費用に応じて使い分けています。
 この材料は、外断熱用のシステムがメーカーから提供されていますし、
施工をキッチリとすれば、かなり高気密住宅にすることが出来ます。
 断熱性能は前々回にも書きましたように、グラスウールの100mm厚と
たいして変わりませんが、柱や梁部分でヒートブリッジがおきない点、
すきま風が入らない点、基礎下まで断熱出来る点などが必要ですし、
厚みに対する性能や費用の点も考慮して、
ウレタンフォームかフェノールフォームにしています。

 快適性を創り出すためには、室内の上下に温度差が極力少なくなるような、
システムを考えなくては出来ません。
 高断熱で高気密にすることよって、室内上下の温度差を
少なくすることができます。
 しかし、高気密住宅の場合は、24時間換気が必ず必要です。
 「外断熱スパイラルエアーシステム住宅」の場合は24時間換気をしていますが、
 生活は24時間換気に縛られずに自由に、窓を開けたり閉めたり、
空調も好きなときだけ使用すれば良いのです。 
 床下の基礎と耐圧盤が、蓄熱槽になり空調の不足分を、
カバーするようなシステムになっています。
 人が快適に過ごす時に、制約があると快適性は半減してしまいます。
 使用方法が決められているような住宅は快適とは言えません、
自由に気にせずに「住まい」を使ってこそ本当の快適な「住まい」なのです。

 今回は以上です。


 「外断熱スパイラルエアーシステム住宅」のページです。 apssのhpに載せて置きました。 http://www.bekkoame.ne.jp/ro/apssk/kennkou/kennkou1.html



ありがとうございました。


apss設計までをお願いします。

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