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◆         健康と住まい−19     ◆◆◆
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朽木 醒(くちき あきら)と申します。
健康と住まいの19回目になりました。

19・「外断熱、高気密、高断熱とオープンな住まいとの相性は?」

 「外断熱スパイラルエアーシステム住宅」(T邸)の見学会へ
お越し戴きました方、ありがとうございました。

 「外断熱スパイラルエアーシステム住宅」の見学会当日は今日ほど暑い日では
なかったのですが、換気システムが効いていて、
空調なしで窓を閉め切っていても涼しいくらいの、室内環境でした。
 ちなみに外気28度で室内25度程度の温度でした。
前の日から「スパイラルエアーシステム」の換気だけをまわしていたのですが、
玄関から一歩入ったとたん、一寸ヒンヤリして空気が清々しい感じがしました、
窓も開けずに、見学者に見てもらいました。
 皆様の反応は「涼しい感じがしますねエー」との感想がありました。
人を優しく包み込む室内空気環境は、じっくり住んでみないと、
本当の良さが分からないのですが、見学会としては、
十分価値のある室内環境を提示出来ましたことに感謝しています。

 「外断熱スパイラルエアーシステム住宅」のページです。
apssのhpに載せて置きました。

http://www.bekkoame.ne.jp/ro/apssk/kennkou/kennkou1.html


 さて、「外断熱、高気密、高断熱とオープンな住まいとの相性は?」に移ります。

 先日の見学会に来た見学者達は、よく勉強している人が多く、中で1人の方は、
高気密、高断熱と中気密、高断熱とどちらが良いのか判断がつかないと言い、
悩んでおられました。
 多くの書物が出版されており、沢山の考え方があります。
 色々あって良いと思いますが、迷ったあげくに全く意に反する住宅を選んでしまう
ことがよくあります。
 この現象は、工法や機能を見て、正しいと思われる住宅を選ぶのですが、学究的に
取り組みすぎて、家族の趣味趣向を忘れて工法で選んでしまい、
何か違う住宅になってしまった、とのことだと思います。
 木を見て森を見ずの例えのように、面白いものにはまり込んでしまい、
本来の目的を忘れないようにして下さい。

 例えば、自然の風や日の光等自然が好きで、空調はあまり好きでない方が、
高気密、高断熱住宅を選ぶと宝の持ち腐れになる可能性があります。
 また、子供が小さく家族全体で楽しめる空間が欲しいのか、家族がほとんど大人で
独立しており、つかず離れずの関係を保てる住宅が欲しいのかでも違うはずです。
 住宅の機能性だけに目を向けると、機能は住宅の要素の中では分かりやすい
要素ですので、機能だけを追求することになりかねません。
 住まいを造る場合には、家族とどのように暮らしたいかを最優先に考え、
家族の暮らしにあった住まいを考え、さらにその暮らしにあった機能を
選ぶべきなのです。

 人はよく、車や家電を買うときに機能中心に選び、高い買い物をすることがあります。
 これは、一番わかりやすいもので尺度を測り、その中で一番良いものを選ぶ
傾向にあるからです。
 沢山の機能が付いている車を選び、日本の道路事情では、ほとんどの機能が
使えなかったり、子供が大きくなりすぎているのに、
ワンボックスワゴンにして、夫婦2人で乗り駐車場を探すのが大変になったりします。

 住まいの場合にも、厨房のシステムだけを良くしたり、大きな吹抜を欲しがったり、
子供部屋を一番良いところに配置するなど、現時点での思いこみや不便さの
解消だけに気を取られて住まいを造ってしまう場合がよくあります。
 さらに、大手メーカーだから、外観が良いから、セールスマンの感じが
良かったから等の理由が、住まい造りの決め手になる場合もあります。

 しかし、本当によく考えて欲しいのは、最初の発端は何であったかと言うことです。
 そして、今後創り出す住まいでは、どのような暮らしがしたいか、
さらにその暮らしは、何年ぐらい続けることが目標になるかです。

 家族が増えたから、子供が大きくなってきたから、勤務先が変わったから、
親との2世帯住宅なら造れそう、など発端は物理的な問題から発生していることが
多いと思います。
 それでは、これからの住まいでどのような暮らしをしたいか、と考えるとどうでしょう。
すぐに自分の趣味や楽しみが頭に浮かび、住まいの空間を思い浮かべられる方は、
大変少ないと思います。

 子供や親や職場が発端になっていると、どうしても物理的な広さや機能性ばかりに
目がいってしまいます。
 しかし、住まいは雨風を防ぐ箱ではなくなりました。
 家族の生活を楽しむ場として造ることが、これからの住まい造りにとって、
必要なことなのです。

 アメリカでは、中流家庭がホームパーティーを開き友人や知人に自分達の住まいを
自慢し、趣味を自慢し合います。
 このアメリカの文化が、夫婦と友人知人との触れ合いを深め、
アメリカの住まいをも豊かにしたと言えるのです。

 日本の文化はどうでしょう、戦後(第二次世界大戦)日本の家庭の文化が
無くなったと言われて久しいのですが、本当に無くなってしまったのでしょうか?
 私も戦後の生まれですが、貧しい子供時代を過ごして来ました。
 子供の頃の住まいは、和室2間に廊下程度、家族は6人いましたので、
食住分離などはまさしく夢で、食事の部屋が居間にも寝室にもなっていました。
 物理的な空間で考えると、正に貧しい生活でしたが、
気持ちとしては貧しくなった訳ではありませんでした。
 襖と障子で仕切られて、家族が沢山いる空間は、
喧嘩や騒音が絶えない空間でしたが、みんなが何時も集まっており、
何となく安心し家族の繋がりも確かめられる空間でもあったのです。

 ホームパーティーを開き友人知人を呼ぶ空間を、住まい造りの最初から
イメージするのは、一寸大変ですので、日本の家族の文化である、
何となく一緒に過ごす安心感と繋がりをイメージすると、
家族の空間のイメージが住まいの中に広がってきます。
 日本の家族の文化は、やはり家族が寄り集まり、勝手なことをしていても
何となく安心感と楽しさが味わえる文化なのです。
 壁と扉で閉ざされた個室に入り込み、自分だけ楽しもうとしても、
何処かで家族の温かみや、友人との繋がりを求めています。

パソコンにしても、携帯にしても、友人や家族との繋がりが、
気軽にもてるようになったからこそ、爆発的に広まりました。
 その機能性と共に、繋がりや温かみにより高い価値があったと思います。

 私の娘は現在アメリカでホームステーをして、1年が過ぎますが、
先日メールで我が家の家庭のことについて、家はとても良かったと言ってきました。
 何かと思いましたら、ホームステー先の自分の部屋は、
日本の我が家の部屋よりずっと大きく、1人で過ごせるので快適だけれど、
家族の繋がりが希薄になると言うのです。
 我が家では狭い部屋で、妹と一緒であり、さらに間仕切りは襖でしたので、
「狭くて監視されているようで、とっても嫌だと思っていた」そうです。
 しかし、アメリカでホームステーをして、広い部屋に一人で自由に居ることになると、
「家族の繋がりが感じられず、不安で寂しくなる」と言っていました。
もちろん慣れてきますし、居間に行けばホストファミリーの家族も居るのですが、
「心のよりどころは家族との繋がりであり、何となくの安心感です。」
との内容でした。

 アメリカでは夫婦単位が基本ですが、日本では家族です。
 この家族単位の住宅では、あまりに孤立した部屋を造らず、
何となく家族を感じさせる空間にすることが、家族の繋がりと安心感を
維持していく要素となります。
 その上で、ホームパーティーを開けるような空間を確保し、
社交性や国際感覚を身につけられるような、空間に変更できるような、
フレキシビリティーに富んだ住まいを考える必要があると思います。

 住まい建設後の生活時間を考えて、住まいを家族構成にあった空間にし、
家族の増減と共に移り住んで行く合理性を日本人が身につけるには、
大分時間がかかりそうですし、現実には土地に執着して、実行不可能かも知れません。
 従って、家族の増減や趣味の変化に対して、
今住んでいる住まいを変更する必要に迫られるのです。

 リホームや改築、減築などの手法により、住まいを変化させることになります。
 この場合もなるべく間仕切りを自由にし、簡易な壁で考えておくことによって、
ある程度の変化に対応出来ます。
 20、30年でやってくる、家族の大きな変化の波には、
大幅な住まいの見直しが必要ですが、自由になる間仕切りを備えている場合には、
自分たちで対処することも可能ですし、日曜大工で処理し、
後々日曜大工が趣味へと繋がる楽しみもあります。

 日本の住まいに、欧米流の壁と扉を持ち込んだ理由は、
住宅の物理的空間の貧しさを豊かにしようとの考えからです。
 しかし、欧米の文化をそのまま持ち込んだため、
空間は広くなったのですが融通が利かなくなりました。
 その物理的に広くなった空間を、日本流にアレンジして、
自由に使える空間にすることで、持ち込んだものが消化され新しい文化となり、
日本の住まいとなります。

 その日本の文化としての住まいを造る過程に現在はあると思います。
 個室化でプライベートの尊重をとの主張があったり、
オープン化で家族の繋がりを密にし孤立化を防ぐのが良い、等の主張になります。
 これは、極端な話の方が面白いし、判りやすいからですが、
実際に家族と住まいの両方を眺めながら考えますと、
オープンな個室化の方向が見えてきます。
 個室にしてもオープンな部分と繋がった仕掛けを持つこと、
オープンな部分にコーナーとして、個室的空間を確保すること、
また、閉鎖的な囲まれた空間は倉庫や納戸になることを、
念頭に置いておくことなどです。

 これからの住まいは、家全体を快適空間にし、
フレキシビリティーに富んだ住まいとし、
趣味空間をいかに取り入れるかと考えることです。
 この家全体を快適空間にするために必要な道具として、
外断熱、高気密、高断熱住宅が適しているのです。

 なぜならば、外からすっぽり建物を覆ってしまう、外断熱住宅は住まい全体を、
同じ室内環境にすることが簡単だからです。
 隙間風や、断熱材の欠落部分が少なく、軽めの空調で家全体を、
コントロールし易いのが外断熱住宅です。
 さらに、外が快適な環境な場合には、外の環境を室内に取り入れて、
室内の環境で、全部の室を包み込むように、熱と通気を再度使うのが、
「外断熱スパイラルエアーシステム住宅」です。

 今回は以上です。

ありがとうございました。


apss設計までをお願いします。

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