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◆         健康と住まい−18     ◆◆◆
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◆◆◆◆                 present by apssk


朽木 醒(くちき あきら)と申します。
健康と住まいの18回目になりました。

18・「2つの設計をした建て主−4」

 今回、掲載中の「外断熱スパイラルエアーシステム住宅」(T邸)の見学会を読者の
皆様に開催することと致しました。
ご興味のある方、又お近くにお住まいの方など、ご遠慮なくお越し下さい。
 もちろん、見学のみですが、入居前の住宅のためマナーはお守りください。
期日は6月29(土)30(日):場所は東京・練馬です詳しくはHPをご覧下さい。
 「外断熱スパイラルエアーシステム住宅」見学会のページです。
apssのhpに載せて置きました。

http://www.bekkoame.ne.jp/ro/apssk/takmo/spiral0x.html

 今回「外断熱スパイラルエアーシステム住宅」の見学会を催しますので、
なぜこのシステムが必要なのか、歴史的流れからご説明致します。

 元来日本の住宅は、吉田兼好の「徒然草」にあるように、「家の住ようは夏をむねとすべし」
の言葉と同様、夏の暑さをしのぐことに重きを置いてきました。
 お寺や神社のように礎石の上に柱を立て、床下を高くし風通しを良くして、
夏の暑さと、建物の耐久性に対応していました。
 基礎も土台も無く、床下の風通しが十分にあり、室内も外気と同じ空気に触れており、
空気の澱む部分が無いのが、本来の日本の建物でした。

 戦後住宅が庶民のものとなり、個人の住宅が建つようになってから、
建物の強度のことを考え、基礎と土台がセットで取り入れられて、
今日の住宅の建て方となりました。
 また、日本本来の家屋では、すきま風だらけで冬は寒く、住み心地悪く、
暖房費も高くなるため、オイルショックの時期から省エネの考え方が生まれ、
断熱材を壁に入れるのが、一般的な仕様となってきました。

 一方、基礎を造ることは、床下の風通しを悪くし床下の湿度が高くなり、
土台を腐らせたり、シロアリの被害を受けるようになりました。
床下の湿度が家全体の寿命を短くする最大の原因になったのです。

 住み心地向上と省エネを目的とした断熱材も、とんだ問題を持ち込んだものです。

 壁の中に押し込まれた断熱材が空気の動きを塞ぎ、結露を起こしカビを発生させ、
耐久性を阻害する問題を起こすことが、判明してきたのです。
 耐久性ばかりではありません、近頃有名な、シックハウスの原因でもあったのです。
化学物質だけでなく、カビやダニもシックハウスを作り出すのです。

 その後上記の問題点は改良がなされ、床下は通風口を大きくするようにしました。
 断熱材についても、断熱材を入れる袋の改良や、壁の防水紙に透湿性能のある
防水紙を使い、外壁を通気工法にするなどの色々の工夫がなされました。
 これらの仕様の改良により、居心地も、耐久性能も大分良くなってきたのです。

 しかし、世界的環境の保護の考え方から、より一層の省エネの要望が強くなり、
断熱材を厚くしたり、気密性能を増すための気密シートを張りこむ仕様も追加され、
またまた、壁の中の通気は通らなくなってしまいました。

 他にも、住宅工事には量産のため、工場生産の工事部材が増え、接着剤や、
塗装材、塩ビ材、防腐剤等による、化学物質が人体に影響を与えることが判りました。
 急きょホルムアルデヒド等のVOC(揮発性化学物質)の含有量の基準が示され、
換気の基準も指針として表示されるようになりました。

 さらに、新築の住宅では、構造や防水に対して10年の保証が必要となり、
ベタ基礎や補強金物は住宅を建てる場合の常識になってきました。

 これらの、法的改正や仕様基準改良を受けて、色々な工法が開発されて来ました。
 しかし、全ての住宅の工法で、特に問題になるのが、断熱材と床下の扱い方です。
 これらは、本来の建築工事には存在しなかった部分や材料なのです。

 断熱材は現在でも内断熱(壁の中にグラスウール(一部別材料有)を詰め込む)
工法が主流で、現在の新築住宅の90%以上に採用されています。
 北欧では外断熱(構造材の外側に隙間無く断熱材を張る)工法が、結露やカビの
心配が無く安定した室内環境をつくり出す為、常識の仕様となっているのです。

 外断熱工法は、構造材が外気の影響を受けず、安定した温度を維持するため、
構造材の耐久性も大幅に向上します。
 また、コンセントやスイッチ、照明等の影響を受けず、壁の中を通気に使えますので、
「外断熱スパイラルエアーシステム住宅」を創り出すことが出来るのです。
 外断熱の良さは、それ以外に外気の侵入が少ないことなのです。

 床下や屋根裏は外断熱工法では、内部扱いです。内断熱になると半屋内的な
扱いになり、外気と室内の空気とが混じり合う場所となってしまいます。
半屋外的な場所を造らない外断熱工法では、室内空気と外気とが混じり合うことが
ほとんど無く、一年中安定した室内環境が得られるのです。

 床下に関しては、相変わらず基礎に通気口を大きく設けて、外気と室内空気を混ぜ、
結露を起こしやすくしている工法がほとんどです。
 開口が無くても土台パッキン工法(基礎の上に20〜25mm厚のパッキン材を置き
土台と基礎の間に隙間を設ける)で、床下に通気を取っている工法もあります。
一見したところは、床下開口が無いように見えますが、結果は同じで床下で
外気と室内の空気の混じり合いが起こる通気工法です。

その他、夏には床下通気口を開放し、冬は密閉する、開閉工法が有りますが、
夏の冷房の冷気と湿度の高い外気とが混じり合わないか、心配があります。
 内断熱の場合は、床で断熱するため大いに通気を取り、きちっと内部と外部を
分けることが大事です。

 外断熱でも、内断熱でも同じですが、室内と屋外を明確に区分せず曖昧にしたまま、
空調を行い、外気と室内の空気や温度を混じり合わせていた結果、カビや腐朽菌、
シロアリ等の害を招き、構造体の耐久性に問題を起こしていたのです。

 床下ににしても同様です。室内側か屋外かをハッキリさせず、中途半端な考え方で、
基礎を考えていたのです。
 床下換気口を大きくし、床下通気を取るように考えましたが、
基礎の構造的な問題(床下換気口を大きくすると基礎は弱くなる、
費用をかければ別です)が出ますし、
狭くして換気量が少なくなると湿気が問題になります。

床下は外壁や小屋よりもっと中途半端な工法が多く、外断熱工法でも、
中途半端に開けておくと同様の結果を招きます。
外断熱の少し進んだ考え方では、床下換気口を夏は開放し冬は閉鎖する、
開閉式床下換気口もありますが、それでも中途半端に変わりはありません。

 「外断熱スパイラルエアーシステム住宅」の場合、明快に屋外と室内を区別します。
 断熱材までが屋外、構造体からは室内と考えることが可能であり、
 断熱材で確実に区画し、そのために十分な働きをするのです。
 他の工法では、今までの施工実績や住宅公団の仕様、床下通気方法などで、
明確に区画が出来ず、中途半端に通気する方法を選んでいるのです。

「外断熱スパイラルエアーシステム住宅」は吸気口と排気口を明確に設定し、
その間は屋内空気だけを処理システムとし、外気と混ざることを一切排除したのです。

 まとめとして申し上げますと、外断熱と内断熱の決定的な違いは、床下や屋根裏も
含めて、外断熱ではきちっとした区画が出来ますが、内断熱での区画はとても
難しく、不可能と言っても良いと思います。
 室内の空気と外気とをキチッと区画できれば、空気や温度の混じり合いの場所が
なくなり、自然と結露や湿気を帯びた部分が無くなります。
そのためカビやダニの温床も無くなるのです。
 また、区画がキチッと出来、通気をコンスタントに動かすことによって、
VOCの発散されたガスも通気に乗って排出されるのです。

最後に「外断熱スパイラルエアーシステム住宅」主な特徴について書き添えます。

 「外断熱スパイラルエアーシステム住宅」は、井戸水効果と美術館の空調方式の
良さを取り入れた新しいタイプのエコロジー住宅です。
 スパイラルエアーシステム住宅は、住む人が快適に感じる室内空気を、床下から
壁の中に通し、住まいを包み込みながら排気する、人に優しい住宅です。
 床下は、断熱材で保温した蓄熱槽としてのベタ基礎が、井戸水と同様に大地の熱を吸収し、
安定した温度で通気をコントロールします。
 この床下に送り込んだ通気が、換気扇と温度差、気圧差の相乗効果により、徐々に屋根裏から
排気する際に、室内を包み込むような空調の役目もする、換気システムを備えた住宅です。
 建物としても中庭や、空中庭園、屋根裏部屋、エコロジーで伝統的な漆喰を素材とした
壁材を使い、さらに全ての部屋が明るく風通しの良い等、新しい発見のある住宅です。
 興味のある方に、ご覧いただければ、一見の価値がある住宅だと考えています。

 今回は以上です。

ありがとうございました。


apss設計までをお願いします。

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