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◆         健康と住まい−15     ◆◆◆
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◆◆◆◆                 present by apssk


朽木 醒(くちき あきら)と申します。
健康と住まいの15回目になりました。


15・「2つの設計をした建て主−1」

 またまた、長い間のご無沙汰でした。良質の情報を伝えるには時間がかかります。
新しい知識と経験のための充電期間でしたが、外断熱方式を使った、
健康住宅に取り組み始めました。これから、数回はこのオリジナルな健康によい、
外断熱住宅の設計と施工の様子をお送りします。
 今回は時々、写真も登場しますので、マウスクリックでhpも見て下さい。


 さて、「健康住宅」とは、以前にも申し上げましたように、複雑な要素の組合せで、
一概にこれだと言うわけには行きません。
 従いまして、外断熱システムを使った、快適な住まいと言う方が、
正しい表現かもしれません。
この住宅は、私が、提唱している「スパイラルエアーシステム住宅」にも当たります。
又、とてもスリリングな関係で、設計をすることになりましたので、
きっと、住まいを考えている方の役に立つと思い、連載することにしました。

 ことの発端は、昨年の12月ゴロのことです。
 知人より、変な工務店に頼んでしまって、だんだん信用出来なくなって困っている
人がいるけれども、相談に乗ってくれないか、との急な問い合わせから始まりました。

 この建て主をA氏としますが、A氏と電話で話しますと、
2300万円で頼むと言ったのに、いざ蓋を開けてみると3200万円だと
 言ってきました。どうも信用が出来ないようになって来ました。
どうしたら良いでしょうとの相談でした。

 値段が高くなるのは、良くあることですが、
工務店やハウスメーカーのコストを上げる為の手でもあります。
 状況も内容もわかりませんので、内容を見ないと判断のしようがないと言いますと、
是非、内容を見て説明させて欲しいとのことですので、話を聞きに伺いました。

 図面類を見せてもらい、話を伺いますと、
一般的な工務店の図面で建売的な計画ですが、
設計者は施工サイドの考え方で、設計を進めているため、
どうしても費用が高くなる設計に成っていました。
 建て主の言った通りを図面化するのは良いのですが、
それでは内容がふくらむばかりで、どうしても費用が高くなります。
 それを見越して、工務店やハウスメーカーは、建て主の要求をどんどん入れて、
設計図を造り上げ、あなたの希望を叶えた設計ですから、
オプションが増えて、高くなりました。
 基本の費用は安いのですが、基本部分に建て主の希望を入れると、
このような費用になるのです。
との理屈で説得しますので、ほとんどの方は、この説得に納得してしまい、
契約をし施工に移ってゆくことになります。

 この段階ではほとんどの人が多少のお金を払っていますし、
役所の手続きも始まっていることが多く、ある程度費用が高くなっても、
希望を叶えてくれたのだし、また、同じことの繰り返しの苦労を考えると、
もう、今の続きで行こうと思うのが普通です。

 A氏の違っていたところは、住まいを造ると言うことは「この程度のことで、
希望を叶えると言っても、少し間取りをいじるだけで、
本当の意味での、希望を叶えているのではない」と考えていたところです。
 したがって、費用がある程度高くなったことに疑問を感じて、
知人への問い合わせとなり、私への連絡となった訳です。

 実際に見た図面は、1種低層住居専用地域と言う、一番条件のきつい良い環境を、
保つ必要がある地域に建設するので有りながら、3階建の木造住宅として計画し、
よりきつい制約を背負い込み、自由が利かない形にして、設計を進めていたのです。
 自分で自分の首を絞めるような形で、設計を進めていたのですから、この条件では、
希望を叶えるのが大変で、構造や防火関係の費用ばかりが、
嵩んで行くのは仕方のないことだったのです。

 一般的に考えれば、普通に行われている設計手法ですので、
建て主はこんなものだと考えて、「これでやるか」との方向に傾くのです。

 しかし、設計の難しいところは、同じ希望でも叶える設計方法が、
多様に有るところです。

 この問題を解くのに、私が使用した設計方法は2階建ての中庭案でした。
3階建てでしか、希望を満たせないように見えた計画でも、
観点を変えて、見直すと2階建てでも十分満足のいく設計が出来るのが、
設計の不思議なところであり、面白いところなのです。

敷地の特性を考え、建て主の希望を入れて、尚かつ2階建てで可能になった訳は、
次回に廻します。
次回からは、写真等も提示しますので、ご期待下さい。

 今回は以上です。

ありがとうございました。


apss設計までをお願いします。

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