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◆ 健康と住まいのQ&A−12 ◆◆◆
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◆◆◆◆ present by apssk
朽木 醒(くちき あきら)と申します。
健康と住まいの12回目になりました。
発行部数
12・「住まいの個室化は男の子をダメにする」
12・「住まいの個室化は男の子をダメにする」
前回までのマガジンで室内の間取りをオープンにし、室内の空気と屋外の外気とが、
なるべく混じり合わない様にし、空気を動かし空気の停留をさせないようにしながら、
給排気することが、住まいを長持ちさせる「こつ」だと言うことが、
お解りいただけたと思います。
長持ちだけではなく、最近問題となっている「シックハウス」にも、
排気が上手に出来れば、十分な効果が期待出来ます。
住まいの室内の空気を動かす為には、個室を独立させると効果がありません。
効果を高めるためには、個室の扉は開け放しか、なるべく開放していることが必要です。
アメリカでは個室は造りますが、子供の時には個室の扉を必要の無い限り、
開放しておくのが普通のことです。
よく、アメリカ映画で子供を罰として部屋に閉じこめることがありますが、
扉を閉めて、閉じこめられることは、恐怖心を与えたり、家族と触れ合いが
出来ないなど、子供にとっては「閉じこめられたくない」との感覚を持たせることで、
より開放的な住まいを望むようにすることも、含んで考えられた躾だと思われます。
個室の扉が開いている場合は、個室の中に子供が居ても、視覚的にも感覚的にも
家族との繋がりが確かめられ、家族からの疎外感や、孤独感を感じずに
過ごせることになります。
個室の扉は、着替えや睡眠の時に必要なものであり、通常は扉を開けて使います。
扉とは元来、外敵を防ぐために必要な、砦に付けられた出入口だったのです。
日本でも、戦国や江戸時代の城門の扉は内開きでした。欧米でも街を守る門の扉や
城の扉は当然内開きですし、住宅の扉も内開きです。
内開きの扉は、外敵から身を守る為に適しています。
外から押し入って来ようとする敵を防ぐには、押すだけで締まる扉が適していますし、
門外に敵が押し寄せて来ている時に、外に打って出る場合は、
内開きでないと自由が利きません。
このように、扉は個人を守るためにあるのではなく、集団を守るための道具として
発展してきたものなのです。
日本の家庭では、戸(襖や障子等)は開けたら閉める(開けっ放しはだらしがない)
との思想から、個室でも通常は扉を閉めておき、出入りするときのみに開閉する
使い方をするため、個室を多く計画するプランは、閉鎖的な住まいになります。
個室を多くする計画は、建物の寿命を短くすると共に、家族関係までも触れ合いのない
状態にする原因にもなるのです。
近頃のニュースを見ていますと、中学生から高校生の男子の「きれた」、「頭の
中が真っ白になった」等の証言をしている訳の解らない、突発的な行動による、
尊属殺人や知人、果ては無関係の人まで巻き込んだ事件が多発しています。
その子供達のほとんどは個室を持っており、個室に入ると孤独な状態で
コンピューターゲームや漫画などで過ごしているケースが多いそうです。
孤独を楽しむ状態を続けると、家族の目がうるさく感じられ、
本当は声を掛けてくれたり、一緒にテレビを見て話をしたりすることを望んでいる
にもかかわらず、家族との触れ合いの訓練がなされていないため、わずらわしさが
先に立ち、個室に引きこもってしまいます。
そして、この個室を与えられた子供達で、孤独に過ごしたことで影響が出るのは
男の子により多く見られる現象なのです。
男性と女性では、女性の方がより動物的感覚に優れていると言われています。
孤独に生きる動物は希で、ほとんどが群を作って生活してきました。
原始時代の人々も集団で過ごしていたことが、文献に載っています。
より、本能に近い感覚を持っている女性は、個室に居ても本能的に家族の所に出てきて
触れ合いを求めることが出来ますが、本能よりも理性で考えようとする男性の場合は
一度個室に入ってしまうと、自然に家族の場に出てきて触れ合うことが出来にくく
なります。
さらに、女性には生理と言うリズムがあります。
この体に備わったリズムは、子孫を増やすとの遺伝的情報から発せられていることは
誰でも知っています。
生命体の根元的要求によって創られている体のリズムは、体自身の中から
さらに本能的な感覚を引き出します。
家族との触れ合いも、人々の体の中に刷り込まれた一種の遺伝情報と言う
ことが出来ます。
したがって、男性の場合は自然に本能からの要求として家族の触れ合いを
求める場合より、躾として体に備わった場合に家族との触れ合いが
自然と出来るようになることが多いものなのです。
大人になっても女性による、家族や知人、さらには面識の無い人に対しての
触れ合い方は、男性よりもよほど自然です。
家族との触れ合いを体が要求するので、女性は個室に居ても家族の居る場に自然と
出てくる傾向が強いのです。
体にリズムがあることは、個室に居るときでも孤独に陥ったままの状態が長くは
続かず気持ちが外向きになる時期が自然と訪れると言うことでも優れています。
男性のように体のリズムが希薄ですと、一端孤独に陥るとずーっと孤独で落ち込んだ
状態が続くことになります。
このように、個室を与えられた男の子は、普段から家族にいるところに定期的に
出てくる、躾が身についていないと、個室に閉じこもり孤独で落ち込んだ状態になる
傾向が、多く見られるのです。
そのため、前記のような訳の解らない事件を起こす確立が高くなります。
さらに、男性の体は女性のようにリズムが無いので、自然に体を元の状態に戻す
安全装置が無いことも原因の一つであるとの見解も出ています。
もちろん、女の子の場合でも、体質的には孤独状態を脱する能力が備わっている
とは言え、家族との触れ合いの躾が全くなされていない場合は、
やはり閉じこもりの状態に落ちいることを覚悟しなければなりません。
この状態を打破するにはどのようにしたら良いのでしょうか?
家族の団らんを、子供が小さいときから定期的におこない、家族の触れ合いの
時間を何時も持つことにすることが最良な方法であること当然なのですが、
歴史や伝統がない場合、なかなか上手くは出来ないものです。
そこで、建築的な解決方法として、オープン化が必要になります。
個室の扉は引戸にし、扉自身に開口を取り付ける。
障子や襖のような窓を室内側に設け通気や気配を感じられるようにする。
兄弟を1つの部屋に住まわせる。
時々、子供達の部屋替え(姉と弟の部屋を入れ替える等)を行う。
TVやTVゲームなどは居間で家族と見る、漫画も専用本棚を居間に作り居間で見る
ようにする、等々が上げられると思います。
他にも方法はあると思いますが、居間に出て来たくなるような設備を整え、
個室の居心地を悪くする方策を考えることです。
さらには、個室を自分の部屋(城)と思わせないようにし、住まいは家族皆の
共有のものであり、親の権利が強いことを納得させることなのです。
今回は以上です。
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次回は、夫婦の住まい空間についての予定です。
ありがとうございました。
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