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◆         健康と住まいのQ&A−10         ◆◆◆
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◆◆◆◆                 present by apssk


朽木 醒(くちき あきら)と申します。
健康と住まいの10回目になりました。

発行部数
10・「換気と家族関係」


 「換気と家族関係」
 換気と家族関係は密着した関係を持っています。
 前回、高気密高外断熱の新しい換気方式「スパイラルエアー換気システム」の
話をしました。この話の詳細はまた機会をみて行いたいと思います。 

 私のサイトでは、住まいの空間と家族関係についての調査をしていまして、
住まいの空間が家族関係に与える影響も加味して前回hpに提案したモデルプラン
は考えています。
 それは、なるべく住まいの中で部屋と部屋の換気を良くすることが、家族関係の
親密度を増すことになるからです。

 換気が悪いことを、昔から風通しが悪いと言われていますが、人間関係の疎通を
欠くことも、俗に風通しが悪いと言われます。
 それほど風通しは重要な要素だと昔から考えられてきたのです。
 したがって、住まいの風通しを良くすることは、現実に人間関係を改善し、
家族関係を良くすることになります。

http://www.bekkoame.ne.jp/ro/apssk/kennkou/kennkou1.html
 hpのモデルプランを見ていただくとお解りになると思いますが、玄関の視界は直接
居間には届きませんが、空間としては居間と連続した空間となっています。
 玄関上の吹抜けは居間の吹抜けと連続しており、玄関、居間、階段、
2階ホール、吹抜けが一体の空間となって、各室に繋がっています。
この、中心の吹抜けを含む大空間に、風通しが取れる、扉、欄間、窓等を付ける
ことによって、各部屋は住まいの中心の居間の吹抜大空間と繋がることになります。
 各室の空間が風通しによって連続し、「けはい」が感じられ家族はお互いを
意識することになります。

 今までの住まいは、変にプライバシーを守るとか、勉強のための個室などとの
考えで個室の独立性を高くし、家族の中でも排他的性格を増長し、かえって
人間関係を損なってきました。
 責任と言う意識のない子供の時から、独立性の高い閉鎖的な個室に居ることで
家族のことも、他人のことも意識しない我が儘な自我が育ち、家族崩壊の芽と
なるのです。
 日本の伝統的住まいは、襖や障子で区切られた、とても風通しの良い空間で家族が
生活していたのです。
 戦後、欧米崇拝の機運が高まり、住まいにも欧米の空間構成が押し寄せてきて、
日本の伝統にも合わない、中途半端にプライバシーを守る個室空間が各家庭に
取り入れられたのです。

 この影響で住まいの風通しが悪くなりました。
空間自身の風も家族関係と言う風も共に流れなくなってしまったのです。
 風通しが悪くなってきたことにより、住まいに使われている化学物質やカビ、
ダニ等の量が増え、様々な悪影響を及ぼし始めたのです。
 現代の住まいで化学物質を全く使用せずに、造ることはとても難しいことです。
 高断熱高気密住宅が過ごしやすいとの単純な発想で住まいを造ると、カビやダニが
繁殖し易い環境を造り出し、さらに化学物質までもが排出され難い空間に
なる恐れがあります。

 換気も省エネルギーとの考えで減少させてしまうと、住まいはまるっきり
化学物質やカビ、ダニの為の住まいになってしまうのです。
 ある人は、現代の日本の住まいを称してペットボトル住宅と名付ました。
 断熱はともかく、ビニールですっぽり住まいを覆てしまう高気密にすることで、
ペットボトルの中に居るのと同じ状態になっているとの例えですが、とても上手く
表現していると思います。

 以前にも記述しましたように、換気を減少する試みはアメリカのオフィスの
省エネルギー環境を創り出す際に試みられ、実質的にシックビル症候群との症状が
オフィス使用者に広がり、換気量を減らすかたちでの省エネ対策は失敗に
終わっています。
 換気量を減らすことは決してプラスにはならないことが、このことからも解ります。
 換気量の最低限は50m3/人h程度で、オフィスの喫煙者の必要量と考えるのが
適当との記述をしましたが、現在の高気密住宅の計画換気はそれより少ない量で
計画換気しても問題がないとの方向で進みつつあります。
十分にお気をつけ下さい。

 さて、モデル住宅では各室を大きな吹抜け空間に繋げて、換気を住まい全体の
風として回転させ、部分的な換気は厨房やトイレ等の空気の汚染源のみに限定する
ことにしています。
 また、各室に2面以上の窓面を設けて、風通しを良くし窓を開放して使う
エコロジー的使い方も自在に出来るようにしています。
 建物の中心としての居間の他に、半外部的な中心空間として1階にパティオ(中庭)
空間を、2階に大型バルコニーの中空パティオ空間を設置し、外部空間との繋がりを
密にした空間構成にしています。

 気候の良い時期に外部空間に簡単に出られるようにする事が、窓からの自然の風
を取り入れて生活をする、エコロジーな環境を生み出すことになります。
 空調がいらない時期にも空調を使うことほど無駄なことはありません。
 高気密高断熱住宅だから24時間1年中完全空調する、との考え方もありますが
これからの環境を考えれば、賛成出来ない論理です。
 自然の風を取り入れる方がよっぽど気持ちよく生活できます。
 自由度の少ない生活空間は結局負担になり、そのような住まいで生活を続けると
束縛からの解放を望むようになります。
使用方法が限定された住まいを、自由な使い方をすると、結露により
住まいの耐久性が落ちたり、カビやダニの温床になったりします。

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 住まいのモデルは和室を1室と洋室を3室、ダイニング・リビング、厨房、
玄関ホール、2階ホールが主な部屋構成です。
 このうち、ダイニング・リビング、厨房、玄関ホール、2階ホールは吹抜けを含んで
1つの大空間となっています。
これに半外部空間の1階と2階のパティオが一体となり、さらに大きな住まいの
空間を提供し家族みんなで楽しめる空間としています。
 また、厨房はアイランド型の厨房で、流しが居間に向いており、家族で料理や
あとかたずけ等を楽しみながら協力出来る配慮がしてあります。
 2階のベッドルーム−1、−2も中空パティオや2階ホールで繋がっており、
開放的な空間となっています。

唯一ベッドルーム−3のみ、適度に独立性が高い個室としての空間になっています。
 この部屋は、この住まいの中で一番小さく、北向きで居心地も悪く、個室には
あまり向かない部屋ですが、家族の中の孤独を癒やすための、一種の駆け込み寺的
要素も含み、プランニングしています。
 階段は普通13段程度で勾配も45°程度の急な階段が一般的ですが、
モデルプランは16段約35°の上り下りが楽に出来る階段を、居間から
上るようにし、家族が顔を合わせる機会を増やすようにしています。

 このように、モデルプランは心理的な面と機能的な面とをミックスさせて
家族関係の密度を濃くし、単に化学物質やカビ、ダニ等の汚染物質から体を守る
だけでなく、家族関係を良好に保つ為のアイディアや空間を用意しています。
 住まいとして考えた場合、化学物質やカビ、ダニ等から健康や建物自体を護る
だけでなく、心理学的面からの家族関係の密度を高める空間構成が必要になります。
 そこで、考えられるのが風通しの良さなのです。
 風通しの良い空間とする事で、家族同士がお互いに相手の気配を感じる空間になり、
常に相手がいることを意識し、相手を思いやる心が生まれてきます。

 この相手を思いやる気持ちが最近、子供達に欠けてきていることが、中高校性の
金属バット事件や殺してみたかった事件を引き起こしていると思いますが、
本当の原因はまだよく判っていません。
 化学物質も大いに影響していると思いますが、家族の繋がりの欠如の方がより
大きな影響になっていると思っています。
 住まいを創る上でプランニングの考え方と、壁の中を換気の風通とすること、
さらに、床下も室内扱いをし、室内の換気空間の一部と考えることで、
家族関係の密度を濃くし、化学物質やカビ、ダニ等の汚染物質からも家族を守る
本来の意味での住まいを考えなくてはいけない時期に来ています。


 今回は以上です。
 次回は家族関係と住まいの空間についてさらに考えてゆく予定です。

ありがとうございました。


apss設計までをお願いします。

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