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◆ 健康と住まいのQ&A−09 ◆◆◆
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◆◆◆◆ present by apssk
朽木 醒(くちき あきら)と申します。
健康と住まいの9回目になりました。
発行部数
09・「スパイラルエアー換気システムを高気密高断熱住宅の換気として提唱」
換気の考え方−5
「スパイラルエアー換気システム(高気密高外断熱住宅)」
前々回から高気密高断熱住宅の換気の重要性を記述してきました。
そこで、高気密高断熱住宅の換気方法の1つとして、新しい換気方式を提唱致します。
「スパイラルエアー換気システム」と言う換気システムです。
この換気システムは、室内の空気が吹抜の空間から壁中を通り、外部に排出されるまで螺旋状に回転しながら換気をする方式です。
この方式の前提条件としては、木造在来工法の外断熱の住宅です。
それ以外の住宅でも方法を工夫すれば出来ますが、時間と費用の問題となります。
木造在来工法の住宅であれば、断熱方法を外断熱にすることによって、
システムを取り入れることが可能です。
まず、「スパイラルエアー換気システム」とはどのような換気システムなのか?
吸気を自然換気と機械換気の両方で行いほぼ半々に取り入れます。
機械換気部分はカットしても問題はありませんが、冬以外はなるべく稼動させる
こととしています。自然換気は常時換気とします。
この2つの換気を主に居間から吸気をし、吹き抜けや欄間を通して家の中全体に
空気を回します。
家の中で、空調や換気扇で混合されかき回された空気は、吹き抜け空間の壁より、
壁の中に入り、壁の中の空間を伝ってまた下に降りて行きます。
壁の中に室内で空調をした空気を送り込む為、外断熱の工法が必要になります。
さらに、壁中を下り始めた空気は徐々に床下に達します。
ここで、床下も重要な換気の部分になりますので、基礎部分も外断熱をし床下換気口
は必要無くなります。
床下換気口を取り付けるとこの「スパイラルエアー換気システム」
は全く役に立たなくなります。
床下に達した空気は、基礎の外断熱とコンクリートの蓄熱効果により、再度ゆっくり
と壁の中を上昇し始めます。基礎はベタ基礎とし断熱材でくるむ必要があります。
上昇始めた壁の中の空気は天井裏の空気を伴い、小屋裏に達します。
小屋裏の一番高い部分に換気口と換気扇があり、最終的に室内の空気を放出します。
この「スパイラルエアー換気システム」と従来の換気との違いを説明します。
「スパイラルエアー換気システム」の換気過程は長く、ゆっくりと換気をすることが
出来る点です。従来型の換気はその部屋か良くても居間と吹き抜け空間の換気です。
空気の滞留時間が短く、空調等で熱を加えてもすぐに熱を捨てることになります。
したがって、熱が多量に必要になりますが、「スパイラルエアー換気システム」の
場合は、熱を持った空気が壁の中を上下し床下や小屋裏にも滞留しますので、
2次空調の役目を果たし、構造材の耐久性にも空気を動かすことにより、大幅な向上
が望めます。
従来型の内断熱の場合はこの壁の中で空気が断熱材のため、動きが悪くなり、
結露をし構造材の腐朽を招いていました。
壁中の空気を積極的に動かすことで、空調の負荷(エネルギー消費)も軽くし、
木材の耐久性を延ばすことになります。
しかも、床下まで室内の空気を送り込みますので、室内の熱により夏は涼しく冬温かく
なり床暖房より温度は低いものの、十分に空調の効果を発揮することになります。
施工的に見ても、外断熱として外壁面で高気密にする場合は、室内側で気密性を
上げるよりずっと楽に施工が行えますので、費用面でもプラスです。
室内側での気密性工事の難しい部分の一例をあげますと、コンセントやスイッチ、
照明器具があります。
これらの部分の隙間を塞ぐのは、結構やっかいで気を使う仕事になります。
手間がかかる仕事は、時間の経過と共に隙間が出来やすいものです。
外断熱の場合は構造材の外部で気密工事をしますので、コンセント等も
ほとんどありません。広い大きな面を気密シートで被えばよく、施工の面からも楽で、
隙間が出来る場所もほとんどありません。
「スパイラルエアー換気システム」は壁の中も室内の延長と考えて施工出来ます
ので、仕上げ材の隙間等にも気を使う必要が無く、日本古来の住宅の隙間を生かせる
工法と考えて良いのです。
考え方としては、内部は昔からの住宅で外部は欧風の機能をもった、
和洋混交住宅と言えます。
両方の良いところを、外壁面を境にして取り入れるわけです。
高気密高断熱住宅の室内環境は今までの住まいの室内と同様には考えられません。
今までの日本の住宅にはなかったシステムだからです。高断熱だけならありました。
土蔵がそうです。土の壁を厚くし断熱効果を高めたのです。
気密性能は火事対策のために、ある程度はありましたが、
高気密と言える空間ではありませんでした。
かえって、換気が重要な要素でした。ものを保存する為には、換気は無くてはならない大切な要素なのです。
窓を造り、入口を格子にして、換気に心がけていたのがお判り戴けると思います。
高気密高断熱住宅を、現状の他の室内環境に比較すると、高層のオフィスビルに
似通った室内空間です。
確かに似てはいますが、完全空調で過ごす環境を住まいに持ち込むのも、
なにかシックリこない面があります。
春や秋の気候の良い季節には窓を開けて風を取り込み、鳥の声を聞きたいものです。
とても良い環境を創ったから、人は建物に合わせて生活しなさい、と言われて納得
する人がどのくらい居るでしょう。
色々な使い方が出来るように考えてあるのが住まいなのです。
高気密高断熱住宅だから自然とは融合出来ないのでは、本末転倒も最たるものです。
そこで、取り入れられたシステムが、内部和式空調システム+外部洋式外高断熱
であり、中間部分で高気密にする「スパイラルエアー換気システム」になるのです。
ちょっとコーヒーブレーク、一休みして下さい。
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高気密高断熱住宅は従来型の住宅の考えでは、室内の空気が漏れだすことが
考えられていません。
なぜならば、高気密に処理することで、カバーしているからです。
しかし、完成当初は高気密に出来ると思いますが、時間が経つにつれて隙間は
増えてきます。
どんなにきちんと施工しても、コンセントやスイッチ等の設備や仕上げの取り合い
部分は経年変化によって隙間が生まれます。
室内部分はどうしても、そのような部分が多いいものです。
そして、室内の空気が壁の中に漏れだした途端に、結露の恐れが出てきます。
従来型の住宅では、断熱性も気密性も日本家屋本来の換気の良さの伝統を
引きずっていますので、どうしても見えない部分に隙間が残ります。
また今までは、その隙間が役に立つ結果となっていたのです。
しかし、高気密高断熱住宅は隙間を容認した途端に結露による、カビ、ダニ、
シロアリ等の影響を受けることになります。
これを防ぐには、換気の新しい考え方を取り入れる必要があります。
北欧やドイツ等の外断熱の建物では、やはり外壁材の外に断熱材を取り付けますので、
外壁部分で、気密性を高く保つことが容易に出来ます。
この外断熱の工法により、内部の仕上げ材の裏に室内の空気が漏れても、
結露等の恐れが無いわけです。
仕上げ材の裏に漏れる室内空気を積極的に使うのが、
「スパイラルエアー換気システム」なのです。
「スパイラルエアー換気システム」は当然良い面ばかりではありません。
短所として上げられる部分は、費用が割高になることです。
全体をすっぽり断熱材で覆うことが前提ですので、断熱材の面積が増えます。
中途半端に断熱をすると、かえって結露を増やす結果になりますので、
基礎部分もしっかり外断熱する必要があることです。
再度述べますが、高気密高断熱住宅を考える場合は従来の考え方の住まいの延長と
思わないで下さい。質的に全く違った方式の住まいだと考えて下さい。
「スパイラルエアー換気システム」が唯一の解決方法ではありませんが、
換気方式がとても重要になることを、心に留めて置いて下さい。
さらに、どのような考え方に基づいてシステムを構築しているかを確かめて下さい。
新築病と言われている化学物質過敏症も、VOCによる環境ホルモンもさらには
カビやダニ、シロアリ、腐朽菌等の問題も換気によりほとんどは解決します。
昔からの日本家屋は湿気が多い環境だからこそ、換気に富んでおり、ほとんど内部と
外部の空間がつながっていたのです。
湿気の多さにも関わらず法隆寺等の古い木造寺院建築は、1000年以上の長きに
渡って存続しています。
空気にさらされていることが、木造の建物の耐久性を高める方法なのです。
「スパイラルエアー換気システム」を図やプランで判りやすく示したサイトを
下記の専用hpに載せますので、興味を持った方は是非ご覧下さい。
専用hpはapsskのメインページにつながるようになり、他にも面白いサイトが
今回は以上です。
次回はVOCと住まいの間取りや家族関係についての予定です。
ありがとうございました。
apss設計までをお願いします。