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◆         健康と住まいのQ&A−08         ◆◆◆
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朽木 醒(くちき あきら)と申します。
健康と住まいの8回目になりました。

発行部数
08・「高気密高断熱住宅の換気方式を考える」



 換気の考え方−4「高気密高断熱住宅の換気方式を考える」

 高気密高断熱住宅の換気の重要性を前回記述しました。
換気方式については、まだ高気密高断熱住宅の歴史が浅いため確立していません。
現在一般的には計画換気方式が一番多く取り入れられています。
 この計画換気方式とは、前回にも少し触れましたが、自然換気では不足する換気量を
機械換気(集中式の換気扇とダクトによる排気及び吸気口の設置)により24時間排気
用換気扇を一定の風量で動かす方式です。
 この方式は、空調機も一定量24時間連携して稼動させる必要があります。
排気による熱量の放出部分を空調機からの熱で補う必要が有るからです。
この考え方はオフィスの空調方式とほとんど変わりがないことになります。
 換気量も熱量も各自がそれぞれ管理しなければならないのです。
 さらに省エネルギーの考え方を取り入れ、最小限の換気量で賄おうとの考え方が
主流になりつつあります。
しかし、良く考えて下さい。家庭できちんとした管理が出来るでしょうか?
 オフィスの場合は、管理人や管理の機械、ソフトなど、管理体制を整えることが
出来ますが、住まいにまで持ち込むのは、出来ないことなないのですが、
管理のために疲れてしまっては何にもなりません。
 住まいの換気と空調には管理より、少し余裕を持たせる必要があります。
 住まいの生活に余裕を作り出すために、オフィスの空調方式を少し見てみましょう。
 オフィスの場合でも空調と換気では目的が違いますので、換気と空調の目的を考えて
別々に分けて考えることにしましよう。
 まず、換気の機能は汚染空気の清浄化(希釈を含む)であり、外気をそのまま使用
 する場合は、外気の汚染度にも注意をはらう必要があります。
 住宅地では、特殊な場合(ゴミ処理場がある、幹線道路が通ってる、汚染物質放出
工場等がある)を除いてほとんど問題はありませんが、一度廻りを見てまわることを
お薦め致します。
 室内では汚染発生源は居住者の生活、特にタバコが最大の汚染源と考えられます。
 他に化学物質があります。住まい自身からの発生としては、ホルムアルデヒド、
キシレン、トルエン、ベンゼン、シロアリ防止材、木材防腐剤などがあります。
また居住者が室内に持ち込む汚染物質としては、殺虫剤、防虫剤、殺菌剤、芳香剤
などの薬剤類や空気中に漂っている、細菌、カビ、ダニなどの生物汚染源が繁殖する
場合もあります。また室内の埃や砂や土の埃も侵入してきます。
 その中でもタバコの汚染度が高く、前回の記述にもありましたように、タバコを吸わ
ない人の必要換気量の2倍の換気量が、タバコを吸うことで必要となります。
 シックビルの件でも述べましたように、省エネのために換気量を減らすと、化学物質
や細菌、カビ、ダニ等の放散や繁殖の影響が深刻になりますので、タバコを吸わない
場合の換気量の約2倍、50m3/h/人を計画換気の基準換気量と考えています。
この量はタバコを吸う人に対するオフィスの換気量とほぼ等しい値です。
 高気密住宅の換気の大雑把な考え方として、室内からの漏れ換気(気密ロス)25%
給排気口を設置し自然に給排気させる換気量を25%、機械換気による24時間換気量
50%と設定し、空調の熱ロスが少しあっても換気量を多めにすることを薦めます。
 換気量の配分を前記のようにする事により、機械排気が止まった時でも、自然な
給排気によって、換気不足を避けることが出来ますし、最低量の換気は停電や事故等
の際にも確保出来ることになります。
 次ぎに空調による冷暖房は、気持ちの良い体感温度を保つことを目的とします。
 したがって室内の空気を汚す冷暖房は不向きです。
 ガスや石油のファンヒーター、石油ストーブ、気化熱式冷房機などが、高気密高断熱
の住まいには不向きな冷暖房機器類です。
 また、換気量を増やすことに因る、冷暖房エネルギーのロスは避けられません。
 前記の2点を前提条件とし、メインの空調機器は共用の吹抜け空間に設置することを
考えます。
 サブの空調機は換気計画と関連して、熱量不足になりそうな場所に補助的に設置
しますが、あくまでも住まいを一体空間として空調を行う、との考えで計画します。
 さらに、空調に関しては24時間一年中つけっぱなしではなく、夏冬に少し長めに
空調をするとの考え方にする必要があります。
 高気密高断熱の住宅で、換気・空調共に少量で24時間年中無休稼動させる住宅を
よく見かけますが、高気密高断熱の住宅に関しては的を得ていない考え方です。
 換気は24時間年中無休の方が良いのですが、冷暖房に関しては全く無駄です。
窓の開けられないオフィスは中間期(春と秋の冷暖房不要期)が非常に短くなります。
そこで、一年中空調をしてもあまり変わりがありません。
 しかし、住まいは住んでいる人数が限られており、居住者の住まい方に合わせられる
方式が最良の方法です。こまめに窓の開け閉めや日射の遮蔽が出来る場合は、掃除や
洗濯物、布団などのために、大いに窓を開けて、外気を取り入れられるようにしておく
べきなのです。
 少量の完全空調は、細菌やカビ、ダニの繁殖が考えられ、危険な場合もあります。
 空調が嫌いな人や、自然の風を楽しみたい人もいます。
 余計なエネルギーを使いたくない人などもいます。
 住まいの室内環境については、メーカーなどで「多くの人が満足できる環境だ」
との考え方で、使い方を施工者が決めて一方的に住まいの環境を押しつける場合が
ありますが、住み手にとって自由が利かず、不満が残る住まいになる場合多いのです。

ちょっとコーヒーブレーク、一休みして下さい。

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 前記のような考え方で「高気密高断熱の住まい」を考えられるのかが気になります。
今なぜ高気密高断熱の住まいが叫ばれているかと申しますと、快適性と耐久性を兼ね
備えるためです。高断熱の住宅は以前から造られていましたが、高断熱の中で結露の
考え方が間違っており、窓や壁の中に結露を起こし高断熱住宅は、自身の結露のため
寿命を短くしていました。
そこでこの欠点を直すべく付け加えられた技術が高気密なのです。
 気密性を高くすることによって、壁の中や天井裏に漏れる室内空気を極力減らし、
壁内部や天井裏での結露を減らすことを考えたわけです。
 但し、方法としては各自に任されています。高気密は断熱と違い材料も重要ですが、
材料以上に工法が重要な要素となります。
 気密性で問題になる場所はほとんど決まっています。
 壁と床の結合部分、壁と天井の結合部分、窓やトップライトなどとの取り合いの部分、
そして電気のコンセントやスイッチ、照明器具や他の設備との取り合いの部分等です。
 フラットな壁面や床、天井などは気密性を高くすることは容易ですが、他の材料との
取り合い部分や連結部分などの気密性を高めることが難しいのです。

 これらの施工のしずらい部分を含めてどのように気密性を高め、室内空気を壁内等に
流さないように出来るかが、高気密の工法にかかる重要なポイントなります。

 今回は以上です。
 次回は高気密高断熱の決め手となる方法の一つについて記述します。

ありがとうございました。


apss設計までをお願いします。

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