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◆ 健康と住まいのQ&A−02 ◆◆◆
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◆◆◆◆ present by apssk
朽木 醒(くちき あきら)と申します。
健康と住まいの2回目になりました。
02・「VOC」の基準値は?
前回のMM(メールマガジン)で、身近な身の回り、特に住まいの中に、
VOCが含まれている建材や家庭用品が沢山あふれていることが
お解り戴けたと思います。
その他にも、工場の排煙や、車の排気ガス、石油ストーブの排気、
石油ファンヒーターの暖気等にも含まれています。
このVOCを人体が一定期間に一定限度以上を蓄積すると、
ホルモンのバランスを混乱させたり、毒物に対する免疫機構を破壊される等の影響で
化学物質過敏症となるようです。
但し、この化学物質摂取量の限度は人によって個人差が大変大きく、化学物質を特定することは難しいのです。
農薬の散布時や歯科の治療時など原因がはっきりしている場合には、
一般に理解が得られ易いのですが、住まいの中で複合的に
化学物質を摂取することによって、化学物質過敏症になった場合などは、
原因が特定出来ないことが多く、なかなか一般の理解が得られず、
本人や家族だけで苦しむことになります。
さらに、化学物質が住まいの中に増えていることは確かなことで、
注意をしていないと、誰にでも被害に遭う可能性は高くなって来ています。
私の考えでは、ここ10年前後で花粉症やアレルギー症が増えてきたのは、
この化学物質の影響が複合的に現れている現象の一つだと思もっています。
さらに、花粉症やアレルギー症は化学物質過敏症をひきおこす予兆のように
感じられてなりません。実際にもアレルギー症の方は化学物質過敏症になりやすい
体質であることを示すデーターも出ています。
花粉症やアレルギー症、喘息などの疾患を抱えている人の割合がここ10年あまりで
増加しているのは、化学物質の使用量とも微妙なリンクを見せています。
しかし、これらの化学物質は、現在の私たちの生活に深く関わりすぎており、
全てを排除することは現状では不可能です。
いかに摂取量を少なくするかが最大のポイントとなります。
そこで、これらの化学物質の基準値はどの程度になっているかを記しておきましょう。
●日本での基準値
日本ではまだ室内に対する、建築部材からの化学物質の放散値の基準はありません。
唯一、ホルムアルデヒドにガイドライン(法的強制力無し)として、
室内の30分平均値で0.1mg/m3、これは0.08ppmに相当します。
図らずも、WHOと同じガイドラインとしていますが、1997年に提示した値です。
今のところ強制力を持たないあくまでもガイドラインとしての値です。
(現在上記の基準を法的基準値にするべく自民党が議員立法の検討委員会を設置)
因みに、ホルムアルデヒドにおける諸外国の例を挙げますと
WHO(世界保健機関)が0.08mmp(ガイドライン)としています。
オランダ0.1ppm(基準値)、デンマーク0.12ppm(勧告値)、
スウエーデン0.12ppm(勧告値)、
フィンランド0.13ppm(ガイドライン、勧告値)、
ドイツ0.1ppm(勧告値)、オーストリア0.08ppm(勧告値)、
オーストラリア0.1ppm(ガイドライン)、
カナダ0.1ppm(アクションレベル)、
カリフォルニア0.05ppm(勧告値)、
ウィスコンシン州0.2ppm(基準値)などです。
日本はホルムアルデヒドに関してだけガイドラインがあります。
しかし、実際には最近の新築住宅の室内ホルムアルデヒド濃度は
0.1ppm程度まで改善されてきているのですが、まだガイドライン値以上です。
また、0.5ppmを越えるような新築住宅もたまにあります。
壁装材料協会も内装から放散するホルムアルデヒドの濃度を自主規制値ですが、
0.05ppmと定めて低減化に取り組んでいます。
しかし、内装材だけでなくカーペットや家具、本などホルムアルデヒドを放散する
備品が室内に数多くあります。生活する場としての室内をWHOの基準内に押さえる
ことは、いかに仕上げ材からのホルムアルデヒドの放散を少なくするかにかかります。
合板をホルムアルデヒドの含有量で区別しているJAS基準でF1、F2、F3との
区別をよく耳にすると思いますが、F1の10倍がF2さらにF2の2倍がF3との
放散値を示すものです。
因みに、F1とはホルムアルデヒドの放散値が0.5mg/L以下(平均値)、
0.7mg/L以下(最大値)との値が実際の値です。
この基準値は水中に合板の試験片を24時間放置した後の水の中のホルムアルデヒドの
量を示す値で、要するに水中濃度です。室内に気化して放散する放散値とは違います。
おおよその値として換算する場合は前記の水中濃度x0.4でほぼppmとなります。
0.5x0.4=0.2ppmとなり、F1はほぼ0.2ppmが放散値です。
日本の基準値はバラバラでJASやJISにしても比較しずらく、
消費者にとても分かり難い基準値を使用しています。
このようなかたちでの基準値作りが、化学物質の影響を分かりにくくしています。
さらに、F1合板でもは室内の温度が高くなると、多量の放散量になります。
F2、F3合板などは、住まいには全く使用してはならない材料であることが
お解り頂けると思います。
また、壁紙も当然ホルムアルデヒドをほとんど含まれない物を選ぶことが大切ですが、
可塑剤等の化学物質も含まれており、壁紙の接着材にも目を光らせる必要があります。
ともかく、最低レベルの放散量の材料を選び出して使用することで、
やっとのこと、WHOの基準を満たすことが出来るのが日本の現状です。
ただ、WHOの基準を満たしたから誰でも安全と言えるわけではありません。
人によっては、WHOの基準値以内の室内で、化学物質過敏症になることもあります。
今まで、ホルムアルデヒドの場合を話しましたが、そのほかにもトルエン、キシレン、
パラジクロロベンゼンなどは、日本でも基準値を設けようとしている化学物質であり、
他にも人体や環境に危険性が考えられる化学物質は沢山あります。
したがって、本来は総合的にTVOCとしての室内に対する化学物質の総量の
放散基準を決める必要があります。
しかし、世界でTVOC(化学物質の総量値)として基準を定めている国は、
ほとんどありません。
ありがとうございました。
次回はVOCの怖さや未来の予想です。
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