私は建築が専門ですが、住まいの中での健康に付いて研究しています。
その一部を今回皆様に提供するべく、本メルマガを発行することとしました。
ハウスメーカーやゼネコン等でも研究していますし個人的に研究している方々も
いますが、なかなか本音を言えないこともあります。
しかし、最近新聞にも「シックハウス」症候群の原因物質を法的に規制する動きも
出てきました。
そこで、本音で住まいの健康について迫ってみたいと
思っております。
4月13日付の新聞によると、建材に使われる化学物質の規制が主に対象になる
ようですが、その他シロアリやカビ除けの農薬(これも有機化合物)、
さらにはカビやダニの温床となる結露や湿気についても記述していきます。
換気の件もとても大切な分野です。
住まいの本質は「安全で快適」なことですが、現状は住まいが病気を作り出しています。
これは、家を建てる人が知識を持たずに、ハウスメーカー、建設業者や設計事務所任せに
することが原因の多くを占めています。
住まいを「安全で快適」に過ごそうと思われる方々の知識の味方になれることを願って
研究の内容を提供してゆきます。
疑問や質問等にもお答えして参ります。
今一つ、少年の長距離バス乗っ取り事件があり、殺人をしてみたかったとの事件があり、
最近少年の不可解な事件が頻発しています。
これらも、神経毒性を有する化学物質の蓄積のため、判断能力や抑制力が、
子供時代より欠落してくる傾向にあるとの情報も入手しています。
ますます化学物質について、よく把握し考えてみる必要があると思います。
これらの件に関しても徐々に情報を発信して行きたいと思っております。
最初は規制される化学物質についてです。
1・「VOC」て何?
VOCとは揮発性化学物質の総称として使われています。
正式名称は(Volatile Organic Compounds 揮発性有機化合物)の頭文字を
使った略称でVOCと呼ばれています。
揮発性の有機化合物全体を指しますので、良く新聞等に出てくるホルムアルデヒド
のほかトルエン、キシレン、パラジクロルベンゼン、酢酸ブチル、
イソプロピルアルコール等色々な建材の材料や防虫剤等に使われている化学物質が
全て含まれます。
その用途は、接着剤、断熱材、油性ペイント、水性ニス、ビニールクロス、
カーペット、ワックス、木材防腐剤、家庭用品や防虫剤等に使われています。
このVOCをWHO(世界保健機関)で室内環境汚染の観点から沸点(揮発の早さ)の
温度により区分けしています。
その区分けでは、沸点がマイナス〜50度Cまでが高揮発性有機化合物、
50度C〜260度Cまでが揮発性有機化合物、240度C〜400度Cまでが
半揮発性有機化合物、380度C以上が粒子状有機物質と区別しています。
その中でも高揮発性有機化合物、揮発性有機化合物が特に住まいの室内環境に影響を
与える有機化合物と考えられています。
因みに、ホルムアルデヒドの沸点は−21度、トルエン110度、キシレン140度と
なっており、この3種が室内汚染の発生頻度も高く、主な除去対象と考えられています。
また「TVOC」とは(Total Volatile Organic Compounds)の略称として
使かわれています。要するに個々のVOC濃度の合計値としての総計です。
室内のVOCの全てを特定することは専門家でも難しいようで、計量出きる範囲のVOC
を、トルエンかヘキサンに換算して求めています。
化学物質過敏症だと思っても、ホルムアルデヒドやトルエン、キシレンの場合は、
化学物質の特定がまだし易く濃度も測りやすいのですが、あまり知られていない化学物質の
場合は特定が難しいため、空気中の濃度を測るのも困難なことがあります。
規制と同時に公開が必要です、どの様な化学物質を使ったのかきちんと提示してもらう
必要があります。規制するのは良いことですが、規制した化学物質に取って代わった
化学物質が同じ様な毒性があるにもかかわらず、なにか解らない闇の化学物質となることが、
一番悲惨な状況となります。公開してもらうのが原則です。
規制が始まる前から出来ることは、ともかく化学物質の使用量を少なくしてもらうことです。
さらに、使用した化学物質を提示してもらうことです。
提示によって、もし問題が起こった時には、空気中の濃度も測りやすくなりますし、
治療も極めてやりやすくなります。
化学物質 | 発生源 | 症状及び毒性 |
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ホルムアルデヒド | 接着剤、防カビ材 | 目・喉の痛み、頭痛、臭覚の鈍化、アレルギー性皮膚炎、発ガン性、催奇性、呼吸器・視力障害 |
トルエン | 洗剤、ラッカー、塗料、接着剤 | 疲労、めまい、耐力減退、不眠、ぜん息、神経毒性、生殖毒性、肝臓・腎臓障害 |
キシレン | 塗料、接着剤、芳香剤油性マーカー | 目・鼻・喉を刺激、バランス感覚疾患、神経毒性、生殖毒性、発ガン性、皮膚アレルギー、環境ホルモン作用 |
パラジクロロベンゼン | 防虫剤、防臭剤 | めまい、頭痛、発ガン性 |
酢酸ブチル | ラッカー、人工皮革プラスチック | 結膜炎 |
イソプロピルアルコール | 芳香剤、速乾性インキ | めまい、頭痛、吐き気、うつ状 |
フェニトロチオン | 畳の防虫材、殺虫材シロアリ防除材 | 視力・免疫低下、自律神経障害、生殖毒性 |
テトラクロロエチレン | 絨毯洗剤、しみ抜き材ドライクリーニング溶剤 | 頭痛、皮膚炎症、しびれ、 |
ペンタクロロフェノール | シロアリ駆除剤 | 目・鼻・喉を刺激、環境ホルモン作用、発ガン性、神経毒性 |
塩化メチル | 殺虫スプレー、芳香剤ヘアスプレー | めまい、頭痛 |
スチレン | 接着剤、クッキングラップフィルム | 粘膜の炎症 |
ベンゼン | 殺虫剤、ワックス、洗剤人工皮革 | 粘膜の炎症、皮膚の炎症 |
メチルエチルケトン | ラッカー、ニス、化粧品人工皮革 | 目・皮膚の炎症、頭痛、喉の刺激 |
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